「オレンズネロ」

 各文房具メーカーからさまざまな「折れない」シャープペンシルが発売されており、まさにその技術は進化し続けています。私は以前に、このシャープペンの群雄割拠状態を「文房具大戦争」と呼びました。⇒コチラです 私は、毎日原稿書きに、できる限り細いシャープペンを使っているので、新製品には特に注目しているんです。「文房具の八ちゃん」とも呼ばれているぐらいですから(笑)。

 「オレンズ」は、2014年2月に0.2㎜芯タイプが登場(税抜500円)。「きれいにノートを取りたい」という学生のニーズに応えるために開発されたシャープペンで、それまでになかった超極細書きができることから大反響となり、一時は品薄になるほどの大ヒットとなりました。超極細芯でも折れないのは、芯が減るのに合わせて先端パイプがスライドする「オレンズシステム」を搭載し、「芯を出さないで書く」という新しい使い方が可能になったからです。ノックを1回すると芯ではなくパイプが現れるのですが、そのパイプが常に芯をサポートしているので、不思議なほど芯が折れないのです。ちなみに、ノックをするのはこの1回のみ。このルールを守っていれば、芯が折れる心配はまずないでしょう。パイプがスライドして芯を保護するというコンセプトで、オレンズ」のパイプの先端は丸くなっていて、紙面に引っかかりにくくなっています。発売当時、これは画期的なことでした。

★技術を結集して作った究極のシャープペンシルだ!!「作りたいから作った」

 そうした「オレンズ」シリーズの頂点に立つのが、今日ご紹介する2017年2月に発売された「オレンズネロ」(3,000円税別)です。株)ぺんてるが最高峰のシャープペンを作ろうと、半世紀にわたり追求してきた技術を結集して開発した商品です「ネロ」とはイタリア語で「黒」のことです。従来品と同様に、超極細でも折れずに書ける「オレンズシステム」を搭載(芯が減るのに合わせて先端パイプがスライドする)していますが、それに加えて新たにノック1回で芯が出続ける「自動芯出し機構」を搭載(ノック1回で芯が出続ける)したのが最大の特徴でしょう。芯径0.2㎜でこの機構を採用するのは世界初になるとのことです。ペン先のパイプが紙面から離れるたびに、自動で芯が出てくる仕組みになっていて、わずか1回のノックで極細の文字を書き続けることが可能になりました。3000円と高価ですが、スタイリッシュなマットブラックボディは12角形で手にフィットし握りやすくなっています。ペンの上部にあたる後軸と下にあたる前軸に継ぎ目がなく、軸の凹凸で滑りにくい作りになっているのも嬉しいですね。握った時の満足感と書きやすさを実現するように、低重心にバランスを置いています。

 ちなみに、オレンズネロ」をアルファベットで表記すると「orenznero」となり、英文で左から読んでも、右から読んでも、どちらから読んでも同じになります。面白い!もちろんこれは偶然ではなく、「自動で書き続けられる」ことと、イタリア語の「nero(黒いという意味)」を込めて、このネーミングに決めたといいます。オレンズは超極細芯なので、一生懸命に書くと芯の減り方がちょっと早いです。その度にノックをするのは手間だなと自分で使っていて感じていたので、自動芯出し機構を採用したらどうかと考えました」と担当者。パイプが紙面から離れる度に芯が出る機構が「オレンズネロ」に採用されたものです。芯が自動で出る作用は筆記時に抵抗を生むが、その力を弱めると今度は芯が出てこないので、パイプスライドと自動芯し機構を両立させ、なおかつ書き心地にこだわり、適度に芯が出るようにする仕上げが難しかったです」とのこと。そして、「より難しかった」という問題があったといいます。実は、自動芯出し機構(ボールチャック)を使った商品は20年以上も作られておらず、そのノウハウが途切れていたのです。技術そのものが埋もれかけていたので、それを引っ張り出してくるのが大変でした。“何故今さら?”という声もありましたが、“これしかないだろう”と考えていたので」 当時のことを知る定年間近の先輩技術者などに教えてもらいながら、ものすごい細かい調整をしながら開発にこぎつけたそうです。2つのスプリングのバランスを取るために2グラム刻みの強さでスプリングを作り、何通りも試し続けました。

 機構面だけでなく、デザイン面でもぺんてる社製図シャープのDNAを受け継ぎ、12角で黒軸”というデザインを採用しました。握りやすく転がりにくい特性を持った軸です。このボディは、削り出した金属部品の「塊」を表現しているそうですよ。ちなみに、口金が見やすいように先端を細くデザインしていますが、これもぺんてるが他社に先がけて最初に行ったものだといいます。「製図は、シャープペンを回しながら書いたりするので、丸軸が最適ですが、それだと転がりやすいので、一番丸に近い12角にしています。握りやすくて筆記しやすいかたちですまた、持ち心地も重視し、ボディの素材には樹脂と金属を混ぜ合わせた新素材を採用。部品が多く重くなったので、軸には軽い素材を選びつつ、低重心になるように加工しています。後ろ半分は樹脂、前半分は金属粉を混ぜた樹脂で出来ていて一体化しています。樹脂と金属の粉を混ぜて、それを射出成型していますが、そのバランスを上手くとって開発しています」と。バランスは重要なので、この素材はどうしても必要だったそうで、昔ながらの技術だけでなく、新しい素材も使っているのです」と言います。手に持った時の手に吸い付くような感触と、筆記時のペン先を軽く自在に動かせる重さのバランスの良さは、この独特な軸の製法と素材のおかげです。

 従来の「オレンズ」よりもかなり多くの部品点数を採用して、しかもそれをほぼ手作業で組み立てているといいます。こだわり抜いただけに、シャープペンシルとしては高額の税抜3,000円という価格になりました。価格だけ考えると決して安いとは言えませんが、これだけのさまざまなこだわりが詰まっていて、しかも手作業で組み立てているという話を聞くと、逆にもっと高い値段でも良かったのでは?とも思ってしまうくらいの完成度です。「使っていただかないと意味がありませんので、3,000円に収めないとだめだろうと考えました。技術面もデザイン面もあまり妥協はしていませんが、そこに焦点をしぼり、努力しながらコストを下げて開発しました

 「オレンズネロ」は、“芯のことをほとんど気にせずにボールペンのように文字を快適に書き続けられるシャーペン”だということが、検証結果で判明しています。これはつまり、書き手の集中力を切らさないこと、さらには筆記の時短化にもつながりますね。マークシート式の筆記試験などでは特に重宝するでしょう。芯径0.2mm/0.3mmタイプということもあり、製図用にももってこいです。このスタイリッシュな細い軸の中に、シャーペンの最先端技術を2つも搭載したぺんてるの技術力に賞賛を贈りたいし、総合的に見て3,000円の価値は十分にあると感じています。私は辞書原稿のゲラに鉛筆で大量に書き込みをするので、どうしても細字のシャープペンが必要で、B芯の0.2ミリが必需品です(一度芯が切れると詰まりやすい傾向があるので丁寧に使う必要あり。そのために後軸に付いている消しゴムの下に、芯が詰まった時用のクリーナーピンが付属)。私はオレンズネロ」の0.2ミリを毎日使っています。

 高価格からしてターゲットが分かりづらいところがありますが、ぺんてるの人は「作りたいから作った」と言っておられました。当初は、文房具好きの大人の男性は買うだろうと予想していました。子どもたちがこぞって買うのは予想していなかったようです。発売してみると、高額商品にもかかわらず、小・中・高生や大人の女性にも買われており、購買層は幅広くなっています。小・中・高生はシャープペンを毎日使いますから、見る目が厳しいんですが、そんなヘビーユーザーに認められたところが、爆発的な人気を呼んだ理由でしょう。長らく入手困難が続き、売り場には「品切れ ご迷惑をおかけしています」と出ていることが多く、私は、米子・松江では手に入れることができないでいました。手作業なので大量生産は難しいという側面があるのですね。徐々に生産が追いつき始めたようで、お正月に松江のぶんぶん堂」に入荷したので、早速買って来て使っています。快適!!発売以来、さまざまな文房具誌で、シャープペンシンル部門第1位に輝くのは、ごく当然の出来映えなんです。❤❤❤

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