イノダコーヒ

◎週末はグルメ情報です!今週はコーヒー

 千年をも超える長い歴史を持つ古都・京都はまた、「喫茶店の街」でもあります。戦災を免れた京都には、多くの老舗喫茶店が健在であり、独特の喫茶文化が息づいています。昭和初期の頃、自家焙煎の草分けや欧風の調度を取り入れたサロン的空間が誕生して、新たな交流の場となりました。戦後になり、コーヒー専門店や名曲喫茶など独自の個性を持ったお店も加わって、日々の憩いと娯楽の場を提供しました。それら新旧のお店が縦横につながり共存する中で、図らずも築かれたのが京都の喫茶店文化でした。その多様な喫茶文化を支えたのが、伝統産業の職人や商家の旦那衆、画家や作家、大学教授らインテリ層、そして大学の街に集う学生たちでした。京都には時代を超えて息づく素敵な喫茶店が多いのです。

 京都に行ったら絶対に「イノダコーヒ」(㊟コーヒーではありません。イノダコーヒーは誤りで、京都ではかつて他店も含め「コーヒ」と書いた習慣が残っています 例:タナカコーヒ)の「アラビアの真珠」を飲まねばなりません。京都駅八条口「アスティロード」「イノダコーヒ」の支店があるので、私は必ず寄ることにしています。昭和15年、猪田七郎(いのだしちろう)がコーヒー豆の焙煎と卸売りを始めました。召集でいったん店を閉じますが、復員後、昭和22年に小さな喫茶スペースをオープンしました。若い頃に画家を志していた七郎は、コーヒー店を立ち上げてからも絵を描き続けました。コーヒーカップに描かれたエンブレムも七郎の手によるものです(写真下)。

 普段はコーヒーはブラックで飲む私ですが、このモカをベースとしたブレンドコーヒー「アラビアの真珠」に限っては、ミルク・砂糖を入れて飲むのが絶品と聞きました。ミルクと砂糖をあらかじめ入れて提供するのがイノダの伝統です。コーヒーが冷めるとミルクが混ざりにくくなるため、話に夢中になっているお客さんにも美味しく飲んで欲しいという配慮から生まれた流儀ですが、現在は注文時にミルクと砂糖の有無の好みを聞いてくれます。店員さんは制服着用で蝶ネクタイ姿、礼儀正しくキビキビとした接客も老舗ならではの魅力です。蝶ネクタイをした女性店員さんが「ミルクとお砂糖を入れますか」と訊いてきました。もちろん入れてもらいます。イノダコーヒのこだわりの伝統を味わいたいならぜひ砂糖・ミルク入りです。このミルクもまた、他の喫茶店のミルクや家庭用のミルクとは一味違うものなんだとか。カップは肉厚で冷めにくくなっており、脚が付いています。それと、初めてお邪魔した時に食べて絶品と感じた「アップルパイ」も一緒に注文です。このアップルパイ」が最高なんです。私は「アップルパイ」には目がないので、美味しいと噂を聞くといても立ってもいられなくなります。しっとりしつつもアップルのシャリシャリした食感が堪らないアップルパイ」です。中に入っている私の大好きなレーズンもうれしい限り。パイ生地に香り豊かな発酵バターを折り込んで、こぼれそうなほどたっぷり入ったリンゴが堪らないスイーツです。ちょっと大きめサイズのアップルパイ」は、ナイフとフォークでお上品にいただきます。お店の空気感の中で、時間を忘れてゆっくりと楽しみます。

 こだわりのコーヒー「アラビアの真珠」は、モカマタリをベースにしたヨーロピアンタイプの深煎りのブレンドで、昭和15年以来変わらずに、圧倒的な味を保っているそうですよ。酸味40%、香り38%、コク28%、苦味13%、までは判明しています。確かに美味しいコーヒーでした。それにしても、喫茶店に行列して並ぶというのは、松江では考えられないことです。店内も満席状態です。京都で一番の喫茶店なんですね。

 ついでながら、コーヒーが美味しいのはもちろんなんですが、提供されるお水がまた抜群に美味しいんです。京都の美味しい水を使って淹れられた一杯は、ここでしか味わうことができません。ずいぶんこだわった一杯だなと感じます。ちなみに今までにお水が美味しいと思ったのは、私の定宿である広島・リーガロイヤルホテル最上階のフレンチ・レストランだけです。私は思わず「こんな美味しいお水飲んだことない!」と店員の方に告げていました。以来、私は必ずここで食事をすることに決めています。店頭では焙煎豆のほか、カップセット、ロカ器、コースターなどのオリジナル商品を多数販売しておられ、お土産に買って帰ります。❤❤❤


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