geek

  geek /gi:k/といえば、かつては「変人」とか「オタク」とか「マニア」「いやなヤツ」「世間知らず」「全くくだらない人」「おかしな人」といった、あまり良くない否定的な意味で使われるのが一般的でした。今でも英和辞典にはそのような訳語が並んでいますね。元々は、サーカスやパレードなどの見世物で、ヘビや鶏を食いちぎったり、昆虫を飲み込んだりするパーフォーマーのことを指していたり、1950年代のプロレス界では、敵を「へたれ野郎」とののしる挑発の言葉としても広まった語です。しかし1990年代のコンピューター産業・インターネットの躍進と、それに伴うgeekたちの活躍により、今では「専門家の」(=expert)とか「博識の」(=knowledgeable)といった褒め言葉として使われるようになってきました。そのことは、中村良夫・髙橋邦年・Alexander McAulay・山之内哲也『ネイティブの語感に迫るアクティブな英単語力<大学入学レベル>』(開拓社、2018年)の125ページにも「意味の変化に注意」として出ていました。

My wonderful brother Tom, who is a computer geek, fixed my laptop.(僕の兄のトムはコンピュータの達人でね、僕のノートパソコンを直してくれたんだよ)

 そのことは、英米の辞典のgeekの定義にも見て取ることができます。“a person who is preoccupied with or very knowledgeable about computing” [CED] / “a person who is very  interested in and knows a lot about a particular field or activity : She’s a computer geek.” [MWALED] / “a person who is very interested in and who knows a lot about a particular subject : a computer geek” [OALD]   明らかにポジティブな意味で使われています。この語はコンピュータに関してよく用いられるようですね。コンピューター雑誌に勤務するネイティブの人が言うには、geekは、“at least somewhat knowledgeable computer enthusiast”を指す言葉だということです。多くのネイティブたちの意見も同様です。時代の変化と共に、この単語の意味に変化が見られることは、オックスフォード大学辞書編集部のブログの、“How ‘geek’ has changed over time”(2013)にもはっきりと書かれています。⇒コチラで読むことができます   geek, nerd, dweeb, dorkの意味のかぶりを分かりやすく表したベン図を見つけました。

 同じような意味として使われてきたnerdは、依然として、頭はいいけれど社交性のない「変なヤツ」という否定的なニュアンスが強い単語のようです。CEDgeeknerdの項の定義を読み比べるてみると、そのことがよく分かります。このことはさらに、“informal + usually disapproving” [MWALED] / “―used to show disapproval” [LDOCE] / “informal, disapproving” [OALD] といった辞典のレーベルにも現れていますね。しかし、この語も、今は徐々にポジティブな意味で使われ始めていると、北高ALTのジーノ先生(ニューヨーク出身)が教えてくれました。でもgeeknerdも、今ではあまり普通に使われる単語ではなく、最近はやりの丁寧な単語としては、[形]tech-savvy(〔人・企業などがコンピューターなどの〕現代テクノロジーに精通した)だそうです。勉強になりました。❤❤❤

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