単複同形

 私は、このところもっぱら高校3年生・浪人生ばかりを指導しているので、高校1年生の時に、いったいどのような文法指導が行われているのか不明です。ただ何となく感づいていることは、ルールを教えるのみで、その背景やら理由には全く触れられていないのでは?ということです。いつも思うことですが、「yをiに変えて複数形の-esをつけたり、動詞の過去・過去分詞を作るために -edを付けたりする」ことは知っていても、なぜそうするのかという根本的な理由が分かっていないために、そのまま-es や-edを付ければいいのに、間違ってyをiに変えてしまう、あるいはその逆という誤りが結構見られるんです。「これはどうしてかな?」と疑問に思う姿勢が必要です。⇒解答はコチラをご覧ください  英文法には、こうした「なぜ?」と思わせるものがかなりあるんです。かつての松江北高では、このような問題を集中的に取り上げる「学問探求講座」というものがありました。それぞれ学年担当の先生が得意とする分野を、日頃の授業では経験できないような講座を開講し、生徒が自由に選択して参加するものです。北高の伝統行事となっていました。⇒コチラに紹介記事が  私は毎年「英語のなぜ?」と題して、英語の数々の不思議に迫っていました。生徒たちには好評だったんですが、残念ながら、「受験に関係ないから」という理由で廃止になりました(私は最後まで抵抗しましたが)。目先の利益にとらわれて、北高の先輩たちから長年受け継がれてきたこの伝統をぶち壊したとこら辺から、この学校の迷走が始まったように思われます。この講座で生徒たちに配布した資料が下記のものです。

・「松江北高学問探究講座~英語のなぜ?」 (編)八幡成人⇒コチラで読むことができます

 例を挙げてみましょう。英語の名詞で、魚や鳥や獣を指す単語で、単数形複数形が同形となる「単複同形」の語がありますね。これがなぜそうなるのかを意識している生徒は少ないようです。高校で使っている学習参考書にも、「単複同形」という事実は書いてありますが、その理由を取り上げているものはほとんどありません。私は生徒たちに、該当する語を挙げられるだけ挙げてもらい、それに共通するポイントは一体何か?を考えさせるようにしています。deer(鹿) sheep(羊) salmon(さけ) carp(鯉) trout(ます)などが挙がってきます。

これらの動物は、群をなして生活しているので、集団として、いわば“量的”にとらえられるので複数形をもたないのである。[注]cows, hens, monkeyなどは、“個性”を認められて、-sをとる。  ―安藤貞雄『基礎と完成 新英文法』改訂版(数研出版)p.190.

 上記は、私の恩師の故・安藤貞雄先生(広島大学名誉教授)が、高校生向けの文法参考書として書かれたものですが(若い頃、私も協力させていただきました。詳しくは⇒コチラをご覧ください)、他書にはないキラリと光る説明が随所に見られる、八幡イチオシの文法書です。それでは【宿題】です。複数形単複同形と、-sをつける形の両方を持った名詞があります:duck, ducks(カモ) herring, herrings(ニシン) antelope, antelopes(レイヨウ)これは一体なぜでしょうか?考えてみて下さい。

 「松江北高補習科」でも「勝田ケ丘志学館」でも、疑問に思ったことは分かるまで追求する姿勢を大切に指導しています。答えをすぐに私が言うのではなく、生徒たちに自分で調べてもらって、みんなでそれを共有するように心がけています。♥♥♥

【追記】 その昔、島根県立松江南高校で教えていた頃に、高校1年生の文法教材に「形容詞の並び順」のルール(評価→大小→新旧→色→材料)が書いてあったので、「なぜそんな並べ方をするんだろうね、そこには何か法則のようなものが働いているんだろうかね?」と、疑問を投げかけました。すると次の授業でK君が(今は医者として活躍しています)、「形容詞の並び順」の本質を、前に出て1時間かけて説明してくれたんです。そこで述べられたのは「主観的」「客観的」という概念でした。なんとその問題が、彼らが3年生になった時に、「センター試験」に出題されたのです!平成4年のことでした。

The Browns live in a (       ) house.

① big, white, two-story
② two story, white, big
③ white, big, two-story
 white, two story, big

 これは、全国的に見事に全滅した問題でしたが、私のクラス全員が正解したのは、このK君の3年前の説明をみんな頭に残してくれていたからでした(私がその場で解説していたら、みんな忘れていたことでしょう)。私はこの時以来、上で述べたように、疑問を生徒自身が解決する授業を心がけているんです。♦♦♦

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中