戻ってきた鬼束ちひろ

   私が大好きな鬼束ちひろ(おにつか)さんが、デビュー20周年を記念して、オールタイムベストアルバム『REQUIEM AND SILENCE』をリリースしました。私が「スタジオワンダー」まででかけて購入したのは初回限定版(3800円)で、全シングルを網羅した全29曲2枚組アルバムです。「月光」、「眩暈」、「流星群」、「infection」、「私とワルツを」など、チャートを賑わせたヒット曲はもちろん、近年ドラマ主題歌となり、話題を集めた「End of the world」(初CD化。新たにヴォーカルをレコーディングし直した配信シングルとは別ヴァージョン)、今作のために書下ろされた未発表最新曲「書きかけの手紙」を含む(実話と語るエピソードが盛り込まれた一曲)、レコード会社の枠を越えた、最強のオールタイム・ベストアルバムです。

 決して平坦ではなかった彼女の音楽人生です。例えば私の解説はコチラ 2作目の「月光」が異例のロングヒット、さらにはファースト・アルバムはミリオンセールを記録し、瞬く間にトップアーティストの階段を駆け上がりました。ところが過密なスケジュールの中、不安や軋轢によって心や体調を崩し、「パニック症候群」となり休業を余儀なくされます。大騒動を起こしたこともありました。メイクもケバくなり、以前の鬼束さんとは似ても似つかぬ様相となったことも。不器用ながらも、それでも決して歌うことを諦めませんでした。逃げなかった、ひとりの人間の生き様が刻み込まれた20年の記録。時代によって味わいを変えるヴォーカルの変遷とともに、デビュー当時から現在に到るまで、変わることなく珠玉の名曲を生み出すソングライターとしての、圧倒的な才能も再認識させられる、鬼束ちひろという、規格外な稀代の音楽家のまさに集大成的作品となっています。

 2月1日、NHKの音楽番組「SONGS」に出演した彼女の姿を見て、「あ~、以前の姿に落ち着いたなんだな」と思わせてくれるくらい、表情もにこやかで、昔の鬼束さんに戻っていました。「月光」「流星群」「書きかけの手紙」を歌いましたが、突き刺さるような歌詞に、ポップなメロディー、圧倒的な歌唱力を改めて認識したことでした。本人から提示された「ねこ」「ピアノ」「ファッション」「あきらめない」といった、自らを表す“キーワード”を基に、インタビューが行われました。私の大好きな「月光」に関して、初めて語る場面がありました。自身「色フェチ」だと語る鬼束さんが捉える「月光」の色は、「紫」だと断言します。デビュー前に曲をたくさん書くようにプロデューサーから言われた時には、1曲を作るのにワンピース1枚をご褒美に買う、と決めていたと言います。1日7曲作った時にはもう「破産」状態、その時の1曲が「月光」だとのことです。「私の名を知らしめたすごい曲」で、自分の「子ども」だと思っている、と。改めて「すごい歌詞だと思う。腐敗っていう言葉が出てくるんですけど、それを当時のプロデューサーにどうしようねって二人で悩んだんですけど、なぜか私はすごいその腐敗をやめたがらなかったんです。若さあるあるです。その当時なりの意地があったんでしょうね。あと、美的感覚っていうか。自分の世界観が。それ以外の言葉が思い浮かばなかったり。」 これからも全身全霊を込めて歌い続ける、「全開、全力」で生き抜いていく、と宣言しました。20周年の歳月を経た今だからこそ語ることのできる、シンガーソングライターとしての矜持や、歌にかける思いを赤裸々に明かす番組で、とても面白く観ました。

 今回、この新アルバムで、デビュー曲から順に聴いてみて、圧倒的な歌唱力に改めて感動するとともに、ふと気がついたことがあります。曲のアレンジを、この頃は、全部羽毛田丈史(はけたたけふみ)さんがやっているんですが、この人のピアノ・アレンジが、鬼束さんの歌声と対照的に、「動」「静」を成していて、歌の迫力を増して、独特の世界を創り出しているということです。羽毛田さんの切ないピアノメロディーが、歌声の背後で輝いていますね。私はピアニストとしての羽毛田さんも大好きです。♥♥♥

カテゴリー: 私の好きな芸能人 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中