cannot help V-ing

 受験英語でもしょっちゅう出てくる“can’t help V-ing”ですが、これを熟語集や問題集に挙がっているように、機械的に「Vせざるを得ない」と覚えているだけでは、いろいろと問題が起こってきます。(1)なぜそのような意味になるのか?(2)正しい使い方は?の二つに、注意しておく必要があります。

(1)help「助ける」としか覚えていない人は、なぜそのような意味になるのかを理解することができません。覚えてもすぐ忘れてしまいます。helpの元々の意味は「困難を取り除く」です。そこから「助ける」とか「避ける」という意味が出てきます。cannot help V-inghelp「避ける」という意味です。

I can’t help laughing whenever I hear the story.
「その話を聞くたびに笑いがこみあげてきます」

「笑うことを避けることができない」ということで「笑わずにはいられない」というが意味が理解出来るでしょう。こうして、ちょっとしたツボを押さえておくだけで、忘れることはなくなります。結果だけを丸暗記するのではなく、その過程も理解しておくということです。

(2)「~せざるを得ない」という訳語で機械的に覚えていると、次のような誤った使い方をしてしまいます。何でもかんでもcannot help V-ingを使うのが、日本の高校生のよくやる誤りです。

× I couldn’t help going to the office on foot because my car had been broken.
「車が故障していたので歩いて会社へ行かざるを得なかった」

×He gave me a ticket to the concert,  so I couldn’t help going.「彼がコンサートのチケットをくれたので行かざるを得なかった」

 そもそも“can’t help doing”は、自分でコントロールができない無意識下で行われてしまう行為を言うときに使う表現です。(1)で最初に挙げた英文は「その話を聞くと思わずいつも笑ってしまう⇒笑わざるを得ない」という意味で問題はありません。もう一つ見てみましょう。

 I couldn’t help overhearing you.
「ついお話を立ち聞きしてしまいました」

これも「思わずお話を聞いてしまった⇒聞かざるを得なかった」という感じで、正しい文章です。つまり、自分の思いとは裏腹に「~してしまう⇒せざるを得ない」という考え方です。「自分でコントロールできない」というニュアンスですね。したがって、上の二つの誤った英文では、全て意図的な行動を言っていますからオカシナことになるわけです。つまり、日本語の「~せざるを得ない」にとらわれて英文を作ろうとすると、このような不自然な英文を作ってしまうということなんです。上のような「~の行動を余儀なくされる」場合は、単純に、have to V を使うか、have no choice but to Vを使うと良いでしょう。これは多くの日本人に共通するミスだとして、T.D.ミントン先生『日本人の英文法 完全治療クリニック』(アルク、2019年8月)において、取り上げておられました。ミントン先生によれば、cannot help V-ingが適切に使われるにのには、次の全ての条件を満たす必要があると述べておられます。

1.実行を余儀なくされる行動が、①制御・回避することが困難/不可能な、②自発的でない、無意識なものであること(例:爆笑、嗚咽、くしゃみなど)

2.その行動、およびそれに伴う結果が望ましいものでないこと

3.当人がその行動を①実行したくなかった、②実行すべきでなかったと思う、③後悔している、ということ

(3)さらには、三番目の問題があります。現場で使われているほとんどの熟語集や文法・語法問題集では、cannot help V-ing = cannot but Vと示されていますが、これにも大いに問題があります。

(a) I couldn't help laughing when I heard his story.
(b) I couldn't but laugh when I heard his story.
(c) I couldn't help but laugh when I heard his story.

 『旺文社レクシス英和辞典』「プラネットボード」によれば使用率は下記のようです。(c)は、(a)と(b)の混交によってできた形です。

(a)  <米> 98%   <英> 100%
(b)  <米> 18%   <英>  32%
(c)  <米> 90%   <英>  90%

(b)はほとんど使われず、(c)の使用率が非常に高いという点に注目したいと思います。少なくとも、これは現場の理解とはかなり違ったものです。♥♥♥

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