as good asはalmostか?

 as good as~という成句に関して、まずは高校現場で広く使われている参考書類の記述をご覧ください。

as good as「…も同然だ」(= almost)  ―『英文法・語法 ヴィンテージ』(いいづな書店)

as good as~ ’~’の部分に形容詞や副詞などがきて、「~同然(=almost)」という意味を表す。 ―『ゼスター総合英語』(Z会)

as good as…「…も同然」=almost… ―『ブライトステージ英文法・語法問題』(桐原書店)

as good as でalmost(ほとんど)の意味を表すことができる。 ―『総合英語be』(いいづな書店)

as good as~が「~と同じくらいよい」ではなく、「(ほとんど)~も同然で」(= almost)の意味を表す慣用表現として使われる場合がある。―『ジーニアス総合英語』(大修館)

as good as~(=almost, nearly~)「ほとんど~も同然で、実質上~と同じで」 ―『チャート式基礎からの新々総合英語』(数研出版)

 最後の記述の、almostnearlyが同じだなどという暴論は論外としても、はたして、as good asalmostとイコールでつなぐことができるんでしょうか?まずalmostは、「センター試験」、「試行テスト」、「共通テスト」本番で繰り返し出題されたように、「ある動作をもう少しの所でやりそうになるが、結局はやらない」「ある状態にもう少しの所で達しそうになるが結局は達しない」という基本的なイメージを持った単語です。⇒私の詳しい解説はコチラコチラをご覧ください  高校生が「ほとんど」と日本語の訳語だけで覚えてしまうと、この意味を正確に捉えることができないのです。注意が必要なポイントですね。つまりalmost Xと言えば、Xの状態には至っていないことを表します。それに対して、as good as Xに関しては、実質上・事実上Xの状態に至っていることを表します。元々は「~と同等に良い」の意味ですから、何ら優劣を含意する表現ではありません。したがって、次のような意味の違いが認められます。

He is as good as dead.「彼は死んだも同然だった」

He is almost dead.「彼はほとんど死にかけている」

She as good as promised it.「彼女はそれを約束したも同然だった」

She almost promised it.「彼女はもう少しのところでそれを約束するところだった」

 このように両者には、明らかに基本的な意味上の違いが観察されるのです。興味のある方は、友繁義典『英語の意味を極めるⅠ 名詞・形容詞・副詞編』(開拓社、2016年)をご覧ください。最近同じ会社から出た、中村良夫『大学で英語を教える父が高校生の娘に贈るプレミアムな英文法・熟語』(開拓社、2020年)は、as good as=almostとしており、その他の熟語の扱い(意味・現代性)を見ても雑であまりお薦めできません。♥♥♥

▲同じ会社の本でも中身は雲泥の差

カテゴリー: 英語語法 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中