特急「いさぶろうしんぺい」に乗ってきた

▲小倉駅に入線してきた「いさぶろう・しんぺい」号 このほど引退が発表になりました!

▲列車の至る所にロゴマークが見られるのが水戸岡流です

 「いさぶろう・しんぺい」号は、JR九州が鹿児島本線・肥薩線で運行する特急列車です。令和2年7月の豪雨災害で肥薩線が被災して不通になったために、現在は、鹿児島本線の門司港―博多間で臨時特急として運行されています。この「いさぶろう・しんぺい」という愛称の由来は、肥薩線開業時の逓信大臣であった山縣伊三郎と、同じ頃に鉄道院総裁だった後藤新平にちなんだものです。1909年、九州縦貫鉄道が全線開業した時代の運輸と鉄道の最高責任者で、いわば九州の鉄道の恩人というわけです。当初は普通列車でしたが、2017年から一部の区間が特急列車となりました。全国でも珍しい人名起源の列車愛称です。

 「いさぶろう・しんぺい」は、「昔懐かしい20世紀の旅」のコンセプトで設計され、外観は九州新幹線にも使用された小豆色に似た伝統的の「古代漆色」となり、エンブレムやトンネル内を照らすためのフォグランプが前面に新設されました。車内は昔ながらの汽車を連想させるような内装で、雰囲気は古き良き列車という感じです。私の大好きな水戸岡鋭治(みとおかえいじ)先生(ドーンデザイン研究所)のデザインです。和洋折衷スタイルの室内は、この地に鉄道が開業した明治時代を想起させるものになっています。私は水戸岡列車には全部乗りたいと企んでいます。今回JR小倉駅からこの特急列車に乗ってきました。

 車内は日本家屋風の濃い茶色を使用した木目調、座席はテーブルが配置された4人用のボックスシートが中心で、背もたれ上部には特徴ある縦格子の装飾が施されており、古典車両風を思わせます。日よけのブラインドも木素材を生かしたすだれ風のものとなっています。4人掛けのボックスシート(ボックス間ピッチは約1,450mm、座席幅は1,040mmで、結構窮屈な感じはします)にはテーブルが備え付けられています。元になった通勤車両の窓割りをそのままに、どこのボックス席でもちょうど窓1枚が収まるようになっていて、窓無し区画はありません。ドア付近の座席は2人掛けの座席となっています。ここは窓割りがちょっと残念な状態。天井には丸いグローブ灯が使用され、床はフローリングで仕上げられています。床や座席の背もたれや肘掛けなどに、難燃性の木材が多用されたレトロな雰囲気のインテリアです。濃い色合いの木素材をふんだんに使っているので、車内はとても落ち着いた雰囲気になっています。車両の端にはソファ席があり、ちょっとくつろぐこともできます。

 デザイナーの水戸岡鋭治先生らしいデザイン画が車端部には飾られています。JR九州の水戸岡先生デザインの車両(例えば、新幹線「みずほ」「さくら」、特急「かもめ」「ハウステンボス」の車端部)ではよく見かけますね。肥薩線沿線の出身の偉人紹介など、地域をアピールする姿勢も見て取れます。ゴミ箱が竹カゴ製ですが、周りの雰囲気とマッチしていていい感じです。

▲大きな窓にカウンターテーブルを設けたコモンスペース

 

   2023年4月1日の「日本経済新聞」の人気シリーズ「鉄道の旅」でも、この列車と「小倉工場鉄道ランド」が特集され、ちょうどこの私も、別府温泉の帰りにここに立ち寄ったばかりだったので、興味深く読んだことでした。♥♥♥

▲「日本経済新聞」に「いさぶろう・しんぺい」号が取り上げられた

    するとJR九州は、2023年5月10日に、新たなD&S列車の運転開始を発表しました。 コンセプトは「ゆふ高原線の風土を感じる列車」で、「雄大な自然の中を走るゆふ高原線、その沿線の食・歴史・伝統・自然を五感で楽しむことができる列車」となっています。新たなD&S列車は、全席グリーン車となり、車内では久大本線沿線にちなんだ食事(弁当)が提供されるということです。 また、車両をデザインするのは、長らくJR九州を担当してきた水戸岡鋭治先生ではなく、鹿児島県にある株式会社 IFOOの担当となります。このため、これまでのJR九州のイメージからは少し変わった車両となるかもしれませんね。これまでJR九州の全ての観光列車は水戸岡先生がデザインしてこられました。今回の発表はJR九州が脱・水戸岡路線に向けて舵を切ることになるのか、注目されるところです。現在鹿児島本線などで暫定的に運用されている「いさぶろう・しんぺい」のキハ40、キハ47の車両を再改造して使用することが報じられています。このため、「いさぶろう・しんぺい」としては2023年秋ごろに運行を終了する予定ということです。私はちょうどタイムリーにこの列車に乗ってきたことになります。ラッキー!!♥♥♥

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