代替エネルギー源

 松江北高補習科勝田ケ丘志学館の英語読解演習で、代替エネルギー源」に関する評論文を読んでいます。2002年度の茨城大学・教育学部の入試問題です。

    Modern economies need a steady supply of cheap energy. At present, they depend on fossil fuels and nuclear power, but this situation cannot continue indefinitely: the burning of fossil fuels is changing the global climate; and atomic energy has proved to be extremely dangerous. The widespread interest in alternative sources which developed after the 1973 oil crisis and faded out soon after has recently been revived.

 この英文を読んで、本文の内容にもとづいて、現在のエネルギーの主な源を2つ(A)欄に書き、さらにそれらの問題点を(B)欄に書きなさい。(日本語で)」という問題に答えます。生徒たちは、「(A)化石燃料 (B)燃えると地球の気候を変化させてしまう。 (A)原子力エネルギー (B)極めて危険であることがわかっている。」といった解答を挙げ、正解をもらいます。その後に、数々の代替エネルギー源の候補(水力、潮力、波力、海洋熱、太陽光、風力)に関する記述を読んだ後で、「問4 今後のエネルギー源としてどういうものが適切だと思うか、あなたの意見を、その理由とともに書きなさい。(100語程度の英語で)」の問題に解答し、この英文を読んだまとめとします。

 さて、この問題はこれでいいとして、この英文のように、単純に「原発=危険」という、あまりに一面的な安易な刷り込みには若干疑問が残ります。福島の原発事故以来、全国各地の原発を一斉に止めてしまったために、毎日100億円もの経費が重くのしかかってきて、貿易収支が大赤字になっていることはあまり知られていません。我が国のエネルギー源は、火力60%、原子力30%、水力7%という割合です。それが2020年度の国内発電量に占める原子力の割合は、4%にまで落ち込んでいます。1キロワットを発電するためにかかる経費も公表されています。原子力6円、天然ガス7円、石油9円、風力発電が14円、太陽光発電が45円(電気事業連合会)です。こうした実態も承知しておく必要があるでしょう。「危険、危険」という確証のない思い込みこそ危険です。客観的な事実もきちんと教えておくべきだと感じています。お金は出すのはイヤだ、でも自らの安全にはこだわりたい、では虫が良すぎます。原発廃止論ですっかり抜け落ちているのが(例えば小泉元総理)、この経費の問題だと感じています。

 私の住んでいる島根県・松江市は、日本全国の県庁所在地で、唯一原発がある街です。そのために年に一回は、原子力避難訓練を各小・中・高等学校でも実施しています。その島根県の丸山達也知事は、昨年6月2日、全国で唯一県庁所在地に立地する、中国電力島根原子力発電書2号機の再稼働への同意を表明しました。「再稼働は現状においてはやむを得ないと考え、容認することとします」「再稼働に不安や疑問を抱く住民がいることは事実。不安や心配のない生活の実現には原発がない方がよく、なくしていくべきだ」「日常生活や産業を維持するのに必要な電力の供給に、現状では原発が一定の役割を担う必要がある」「再稼働しなかった場合、雇用を含めた地域経済への影響は大きい」「県民に心配が残るものであり、苦渋の判断だ」原発の安全性、必要性、避難計画の実効性、そして地域経済への影響、の4点が判断の大きな要素でした。島根原発2号機は、大事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型炉(BWR)で、東日本大震災以降に再稼働した例はありません。

 中国電力の販売電力量に占める火力発電の割合は約6割を占めます。2022年3月期連結決算は過去最大の397億円の最終赤字(前期は134億円の黒字)に転落しました。赤字は島根原発3号機の停止で、燃料費が急増した2014年3月期以来、8年ぶりとなりました。そして今年の6月から中国電力は電気料金を大幅に値上げしています。島根原発の半径30キロ圏内には、約46万人が居住しています。この原発問題、地元でもなかなか難しい状況です(英語ではこれをdilemmaと呼びます)。

 岸田首相は、昨夏以降、再稼働済みの原発10基に加え、追加で東日本を含む7基の原発を、順次再稼働させる方針を示しました(現時点で再稼働したものは高浜1、2号機のみ)。2030年代以降、次世代の革新的原子炉の開発・建設に向けた検討にも言及しました。原発の新増設や建て替えは想定しないとした、従来のエネルギー政策の基本方針の大転換となります。ロシアのウクライナ侵攻で燃料価格が高騰、安定調達も難しくなるなど、日本のエネルギー安全保障が脅かされています。以降も電気料金の上昇や需給の逼迫は続くとみられ、対応が急務だったという背景があります。さらには加えて、原発の使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設の確保という問題もあります。この英文を読み、このような話を生徒に伝えて、さらに考えてみるように課題としました。♥♥♥

カテゴリー: 英語指導に関して パーマリンク

コメントを残す