福沢諭吉

▲故・竹内 均先生

 尊敬する故・竹内 均先生(たけうちひとし、東京大学名誉教授)がかつて次のようにおっしゃったことがあります。「一回限りの人生です。皆さんは好きなことをやって生きていきなさい。ただし、好きなことをやって生きることにはそれなりの努力を必要とします。しかし、目標から目をそらさずにうまずたゆまず勤勉に働けば、必ずや好きなことをやって食べていけるようになるでしょう。もっと勤勉に働き続ければ、皆さんのやっていることが多くの人の認めることとなるでしょう。自分の好きなことをやって、それで食べられて、なおかつ世人に認められるようになることを“自己実現”といいます。自己実現のために、みなさんの人生はあるのです」

 私は余計なお金がもらえるわけではないのに、仕事時間を過ぎても、あるいは土曜・日曜にかかわらず、一生懸命仕事をしてきました。「仕事」は「遊び」に近いものがありました。「仕事が遊び」そして「遊びが仕事」でしたから、いくら「ブラック」と呼ばれても、決して辛いとか「働き方改革」を訴える気持ちにはなりませんでした。「仕事」が「遊び」と一体化するまで仕事に打ち込んできました。すると仕事がずいぶんと楽しくなってくるものです。この仕事が大好きでした。教えた生徒達が卒業して長年経ってから訪ねてくれるのも大きな励み・喜びになりました。その際、常に意識してきたのは、次の福沢諭吉の言葉でした。

   人生において、一番楽しくりっぱなことは、一生涯を貫く仕事があること。
   人生において、一番さびしいことは、することがないこと。
   人生において、一番みじめなことは、人間として教養がないこと。
   人生において、一番醜いことは、他人を羨むこと。
   人生において、一番貴いことは、奉仕して恩をきせぬこと。
   人生において、一番美しいことは、すべてのものに愛情を持つこと。
   人生において、一番悲しいことは、うそをつくこと。
   人生において、一番素晴らしいことは、感謝の念を忘れぬこと。

 竹内先生は人生の三大徳目として、「勤勉」「正直」「感謝」の三つを掲げておられました。私もこの三つを何よりも大切にして生きてきたように思います。中でも「正直」「正直」に生きてきました。「約束したことは必ず実行する」「できないことは約束しない」ことを大切に生きてきました。自分のためだけでなく、人のために何か自分にできることはないかと常に思いながら、今まで頑張ってきたように思います。「お金を追うな、仕事を追え」の精神で、人に喜んでもらうと、後で自分に返ってくることをいつも感じながら、「感謝」の気持ちを忘れないように「勤勉」に生きてきたように思います。教員になり手が少なくなったという報道を聞くに、こういうことができなくなったんだろうな、と悲しく思います。

 竹内先生からは、人と付き合う場合、自分に似たような人だけでなく、できるだけ「異質」「異業種」の人と付き合うように、と教えていただきました。人間の幅や視点が広がるからという理由からでした。私は小・中・高・大の教育現場の人だけでなく、出版社の社長、営業、編集者さん、歌手、ピアニスト、プロマジシャン、プロレスラー、予備校の理事長、飲食店のご主人(中華、フレンチ、ラーメン、ケーキ、居酒屋)、書店員さん、塾経営者、コンピュータエンジニア、旅行業者さん、お医者さんなど、いろいろな人とお付き合いをさせていただいています。♥♥♥

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