台所?~赤本は捨ててはいけない

 勝田ケ丘志学館では、週3回の英語の授業の中で、毎週金曜日を英作文の指導に充てています。テキストには新津若生(編)『大学入試システム英作文』(桐原書店)を使っています。英作文の指導には実に使い勝手のよい教材で気に入っています。4月~7月はBasic問題(基本文法)Standard問題を、8月~11月中盤はAdvanced問題を、そして11月中盤~2月は入試発展問題(最後の3問)へと徐々にレベルアップしていきます。さらに毎週1題の入試問題を取り上げて、希望者10人ほどにホワイトボードに書いてもらい添削・採点をしていきます。「共通テスト」が終わると、希望者に自由英作文の添削をやっていきます。

 その『システム英作文』(桐原書店)の今やっている12課「否定」の問題の一つに、「台所は、アメリカの歴史のなかでは必ずしも自慢すべきところではなかった」(大分大学)という問題がありました。The[A] kitchen was not always an admired place in American history./ The kitchen was not necessarily a proud location in the history of America./ The kitchen was not always a proud part of American history./ In American history the kitchen was not always a place which people were proud of. などといった生徒の答案が板書されていますが、これはこれでいいとして、これだけでは、この文章が一体の何の話なのかがさっぱり見えてきません。生徒たちは「アメリカの台所は汚い」「女性差別か?」という反応。私は私で、昔の奴隷問題に関係するかも?と思ったりもしたのですが、いまいちよく分かりません。ALTに聞いても分からないと言います。もう入試問題の原典に当たるしかありません。

 松江北高進路指導部は保管場所がないことから、古い赤本は次から次へ全部処分してしまっていますから、役に立ちませんでした。一方、補習科の資料室「捨てないで」とお願いしているのでかなり古いものまで取ってあります(最近は在籍人数が少ないので新しい赤本が買えないという苦しい台所事情もあり)。でも該当する問題は見当たりませんでした。大分大学教育学部・経済学部・医学部で問題が違うので、それぞれにあたらないといけないので厄介です。自宅に戻り、あきらめかけていたところ、毎年買っていた古い旺文社の『全国入試問題正解 英語(国公立大編)』の2008年度版(つまり2007年入試)にこれを見つけたときには、「ヤッター!!」と飛び上がりました。

▲毎年こうやって入試問題を解き、使えそうないい問題には付箋を付けていました

 (1)台所は、アメリカの歴史のなかでは必ずしも自慢すべきところではなかった。植民地時代には、煮炊きにともなう煙の問題もあって、家族の住む母屋とは別のところに台所用の小屋がつくられていた。(2)調理にたずさわるのは女性たちであったが、食事の準備のたびに外に出なければならなかった。その後台所は母屋のなかに取り込まれ住宅の一部となるが、せまくて暗いのが普通であった。(3)今日でもニューイングランド地方の古い住居を訪れるとこうした台所を見ることができる。ところが、20世紀初頭から台所の位置が変わってくる。台所は住宅の中心部につくられるようになってきたのである。これは極端な例であるが、当時活躍した著名な建築家フランク・ロイド・ライト(日本の旧帝国ホテルの設計者)のつくる個人用住宅は台所が中心となっており、居間や寝室はすべて台所をとり囲むようにしてつくられている。台所に対する考え方が変わってくると同時に、台所で大部分の時間を過ごす家庭の主婦に対する態度が変わってきた。つまり主婦の発言力や権利が大幅に認められるようになったのである。

 (4)家屋のなかで台所が重要な位置を占めるようになり、主婦の立場が強くなると、最新の技術を利用した機器類が台所に導入された。電器オーブンやガス・オーブン、トースターは言うに及ばず、蛍光灯や電話、インターカム等が最初に取りつけられたのも台所であった。    (大分大学・経済学部・2007年前期)

▲これをきっかけとして、他の下線部英訳箇所(2)(3)(4)を演習

 そうか、そういうことだったのかと納得しました。疑問が氷解!私がよく話す「あー、そうだったのか!」と、まさに「?→!」体験でした。こういうことからも、古い年度の赤本、『全国入試問題正解』は捨ててはいけないということを実感させてくれる出来事でした(私は二次試験は過去問を10年分やっていくように指導しています)。せっかくなので、この問題の(2)(3)(4)を次週への宿題として、今日の授業で解説しました。♥♥♥

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