『空と風と時と~小田和正の世界』

 楽しみにしていた追分日出子(おいわけひでこ)さんの新刊『空と風と時と~小田和正の世界』(文藝春秋)が届きました。事前予約は5,000冊以上(私もその一人)、amazon本総合ランキングで予約段階から1位(10月30日~11月1日)という異例の注目度が集まっています。発売前から重版が決定したという大人気です。「私も予約しました」「読み応えありそう」「〈とにかく音楽が好きだったから〉という帯、ぐっときますね」とSNSでも多くの反響が寄せられています。

 1970年のデビュー以来、美しい歌声とハーモニー、伝説の10日間日本武道館公演などで知られるバンド「オフコース」として約20年間活躍し、その後、ソロとなり、数多くのヒット曲や心に沁みる楽曲を紡いできた小田和正さん。今年8月、史上最年長アリーナツアーの自己記録を更新。76歳となった今でも、ライブに駆けつけるファンは年間30万人を超え、広いアリーナを縦横無尽に駆け抜けながら3時間近くのライブを精力的に展開しています。

 ただ、そんな小田さんの人生について、これまで詳しく語られたことはありませんでした。本書では、著者が約20年にもおよぶ年月をかけ、小田さんの幼少期から現在までの76年の音楽人生を、本人インタビューを中心に取材。この約20年間の小田さんの言葉がずっしりと入っています。幼少期に出会った音楽、学校の帰り道、聖光学院の同級生だった鈴木康博さんとビートルズの歌をハモる楽しさを知り、音楽の道へ。13人しか観客が来なかったコンサートなど、二人のオフコースの下積み時代、五人のオフコースとなり、スーパーバンドに成長していく中での鈴木康博さんの脱退、そして四人のオフコースになるも解散……。当時のレコード業界やレコーディング風景から、「さよなら」「眠れぬ夜」「YES-YES-YES」「ラブ・ストーリーは突然に」など大ヒットした数々の名曲の誕生秘話も明かされます。元「オフコース」のメンバーである、鈴木康博さん、清水仁さん、大間ジローさん、松尾一彦さんに、バンド解散後、全員に取材。メンバー全員と、一人ずつお会いし、じっくりとお話を伺ったことは貴重だと思います。「オフコース」の〈光と影の歴史〉について、当事者たちが語る初めての本になりました。盟友・吉田拓郎さんから見る「人間・小田和正の魅力」や、初期のファンクラブ会員だった作家の川上弘美さんが見た2人のオフコース時代も読みどころの一つです。さらに、多くの楽曲について、その背景を知った上で、改めて味わっていただくために、300近い楽曲の中から厳選した60曲もの歌詞を引用しています。小田さんの歌詞は、ご自身の心のなかを見つめ、それを言葉にしています。また1970年代、音楽の世界が大きく変わっていく現場にいた人々の貴重な証言など、〈時代の中の小田和正〉を意識しました。さらに2022年2023年の全国ツアーにはスタッフのようにすべて同行、ツアー随行コラムを評伝の間に挟んでおられます。年表、直筆の楽譜、表紙をめくった見返しの部分には東北大学時代の卒論にあたる「卒業設計」東北大学から取り寄せて掲載し、まさに76年の音楽人生の全てが詰まった一冊です。巻末には「小田和正バイオグラフィ」という76年にわたる年表も収録されています。ストイックなまでに、自分の理想とする音楽を追求してきたアーティストの一大叙事詩ともいえる632頁に及ぶ記録です。普通の単行本の3冊分のボリュームで、アーティスト評伝としては前代未聞の大作です。本の中には素敵な特製しおり「とにかく音楽が好きだったから 小田和正」が付いていました。とにかく面白くて、ワクワクしながら読み進めています。 

 「こんどこそ、君と!!~小田和正 ライブ&ドキュメント 2022―2023」が放送されることが決定しました。今から楽しみです。♥♥♥

◎2023年12月1日(金) NHKプレミアム4K 22:30~23:59
◎2024年1月1日(月・祝) NHKBS 21:00~22:29

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