足立美術館21年連続日本一!

 日本庭園と横山大観らの近代日本画コレクションで知られる「足立美術館」(島根県安来市)は、米国の日本庭園専門誌「数寄屋リビングマガジン(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)」(Sukiya Living Mgazine : Journal of Japanese Gardeningの2023年の日本庭園ランキングで1位に選ばれました。2003年のランキング開始から21年連続というからすごい記録ですね。山をも風景に取り入れた広大な日本庭園が魅力となり、多くのリピーターや外国人客が訪れる足立美術館。同館の日本庭園は、1968年頃から創業者の足立全康(あだちぜんこう、1899-1990)さんが造園に着手したものです。「庭園もまた一幅の絵画である」と、理想を追い求めて自ら庭師たちを指揮して手を加え続け、約15年の歳月をかけて借景の山々と繋がっていく庭園の基本形を完成しました。「枯山水庭」「苔庭」「白砂青松庭」など総面積約16万5,000平方メートル(5万坪)です。

 国内外の専門家が日本にある約1,000カ所の庭園を総合評価しました。2位は桂離宮(京都市)、3位は山本亭(東京・葛飾)、4位は皆美館(松江市)で前年と変わらず、5位に庭園の宿・石亭(広島県廿日市市)が入りました。上位50カ所のランキングには、ほかに島根県東部の4カ所が入り、この地のレベルの高さを示していますね。

 足立美術館足立隆則館長「庭は繊細な生きもので、手入れを怠るとすぐあちこちにほころびが生じる。日本一であり続けるのは職員全員が朝早くから清掃に取り組み、一日も休まず専心してきた結果」とのコメントを出しました。庭園部の専属の庭師さんたちが1年365日1日も欠かさず手入れをして、さらに開館前には職員総出で清掃を行っているのです。まさに「神管理」です。さらに、1970年の開館以来、年中無休で開館してきたという実績にも驚くほかありません。このことは、最近NHKテレビの特別番組で「驚異の庭園」として大きく取り上げられました。

 ランキングは、アメリカ在住のダグラス・ロス氏による隔月刊の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデン」が発表。毎年1,000ヶ所の日本庭園を様々な視点から評価し、ランク付けがされています。国内外で数ある日本庭園の中から、1位に輝いた足立美術館の庭園は、庭園部の少人数の庭師さんによって年間を通して管理されています。

 館内には、横山大観魯山人をはじめとした日本画の美術界発展に寄与した芸術家たちの作品を多数展示。作品は、安来市出身の実業家で、足立美術館の創設者でもある、足立全康氏が蒐集したものです。

 ここで私が心惹かれるスポットに、「生の掛軸」「生の額絵」があります。床の間の壁をくりぬいて、あたかも一幅の山水画が掛かっているかのように見える、また窓枠がそのまま額縁となって大小の木や石がバランスよく配置され、芝生の稜線が美しい「足立美術館」の名物です。足立さんが師と仰ぐ、米子商工会議所の名誉会頭だった故・坂口平兵衛さん(山陰合同銀行・米子信用金庫を創設)と、皆生温泉で一杯やっている時に、「いいですか、これはあくまでもヒント、ヒントだがね、足立さんとこの床の間の壁をぶち抜いたらどうやろうなあ」「はあ、そりゃまた、どういうわけで…?」「壁の向こうは、あんたが手塩にかけたご自慢の立派な庭や。それが玄関に立ったら、パッと床の間の中央に見える。人は一瞬、これはどうなっとるんだろうと、目をパチクリさせるに違いない。どう、ちょっと、面白いように思うんだがね。いちいち絵を取り換えなくても、朝な夕なに自然が勝手に景色を演出してくれる。子規の変化はなおさらのこと、風情があって面白いよ」「なるほど。それは面白いアイデアですねえ。床の間に掛かっているのは絵でもなければ、墨書でもない、生きた風景、つまり生の掛軸というわけですね」足立さんは、早速美術館に帰ると、この前代未聞の発想を職員らに提案しました。しかし全員がこのアイデアには猛反対しました。「床の間に穴を開けるなんて」「とても出来ない相談」冗談もいい加減にしろ、といった口ぶりです。「それじゃ、ワシがひとりでやる」アッと驚くみんなを尻目に、大きなカナヅチでドンドンと壁をぶち抜いてしまいました。大工はまるで腰を抜かさんばかりの顔をして「私はこれまで、趣向を凝らした家や部屋をいくつも見てきたが、床の間をくりぬいた御仁には初めてお目に掛かりました。いやあ、世の中にはとんでもないことを考える人がいるもんだねえ」 こうして「生の掛軸」は、横山大観コレクションと並んで美術館の名物となりました。ガラス越しに向こう側の白砂青松庭が望め、自然の木々や滝、石組みなどが、ちょうど床の間にかかる一幅の山水画のように眺めることができます。これがきっかけとなって「生の額絵」も生まれました。私のお気に入りの場所がこの「生の額絵」です。喫茶室「翆」を出て、順路を進んだところにあります。

▲まるで絵画のような日本庭園

 広大で美しい庭園のみならず、一流品が並ぶ館内展示も見ごたえがあり、来館者を魅了します。「庭は繊細な生きものです。そして正直です。手入れを怠ると、すぐにあちこちにほころびが生じ、取り返しがつかなくなってしまいます。“神管理”とは、特別な技術、作業を指すものではありません。全員が心を一つにして取り組む、日々の地道な手作業の結晶に他なりません」とは足立隆則館長

 足立美術館で広報を担当する、北高の教え子の管野綾夏(かんのあやか)さんから、2月11日(日)にNHKテレビで「驚異の庭園 〜美を追い求める 庭師たちの四季〜」として同庭園の特集番組が放送される、と知らせてもらいました。私はちょうどその日は岡山で講演をした後に道後温泉に回っていたので、録画をしておいて後日見ました。海外の日本庭園雑誌のランキングで21年連続1位の島根・足立美術館の庭と、2位の日本庭園の傑作と評され、400年受け継ぐ技“御所透かし”で、伝統を見事に守っている京都・桂離宮の庭を対比しながら、異なる個性の2つの庭園で、美を形にする庭師たちの四季折々の奮闘を追う番組でした。日本画の巨匠、横山大観の風景画を現実世界に再現した、白砂に生える松林や人工の滝は圧巻で、5人の庭師が約2000本にものぼる膨大な樹木を葉の一枚一枚まで徹底管理する様を、1年間にわたり追いかけた番組でした。「庭師は陰の存在であって、本当は取材は受けたくなかった」「日本一のために手入れしているのではない。毎日来て下さるお客さんのためにやっている」との言葉が印象的でした。

 私は仕事で疲れた時には、ここにやって来て、お庭を椅子に座って眺めると不思議とリフレッシュするので、昔からよくお邪魔しています。まだお越しになったことがない人はぜひ一度足をお運び下さい。間違いなく感動体験を味わうことができます。JR安来駅から無料シャトルバスも運行していますよ。♥♥♥

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