「報告書」~共通テストの分量

 新課程入試を控え、4月に実施された「第1回全統共通テスト模試」では、英語リーディングの全国平均点が40点台にようやく乗るという惨状でした。今年の「共通テストリーディング」が過去最低の平均点(51. 点)だったことを受けての出題です。来年の「新課程共通テスト」では、今までにない新しい形式の問題が出題されることもあり、事態は一層深刻です。米子東高校の現役三年生たちも最後まで行かなかった生徒が多いようです。続いて全国で404,419人が受験した「6月進研共通テスト模試」においても、平均点が41.1点(現役40.9点 浪人60.1点)と、「全統模試」に引き続き低い平均点が出ました。

▲2月10日私の講演会の資料より

 分量の多さに、ほとんどの受験生が最後まで解き終わることができないという実態に直面しています。本番でも問題語数がどんどん増え続けているのです(上図参照)。昨年までの「共通テスト」でもそうだったのですが、新課程になり問題構成が変わり(第1問~第8問)、さらには新課程の新たな目玉問題で今までに経験したことのない問題(第4問・第6問)が加わり、さらにこの悲鳴は深刻なものになってきました。つい先日実施した「全統共通テスト模試」でも、勝田ケ丘志学館で最後まで80分で解き終えた生徒はわずか3人でした。

 大学入試センターから新しく公表された「共通テストリーディング」に関する「問題評価・分析委員会報告書」でもこの分量の多さについての言及がありました。

◎過去最高の語数であり、問題文だけで4ページにわたる設問があったことに鑑みると、全体的に受験者が落ち着いて問題に取り組める大問構成とすることを健闘してもよいと思われる。(高等学校教科担当教員の意見・評価)

◎ただし分量については再考を要する。上述のように各設問の設計は適切であるものの、全体の分量が試験時間に比して過大であるように思われる。思考力・判断力・表現力等を適切に測るべく出題に様々な工夫をする場合、受験者が十全に力を発揮することができるよう解答時間を保障することが不可欠である。(高等学校教科担当教員の意見・評価)

◎速読と精読のバランスの観点、特に思考力を測定する観点からすると、これ以上語数を増やすことは有効でないと考える。(教育研究団体の意見・評価)

 このような切実な要望に対して、「問題部会」は次の様に答えています。

高校教員からは、全体の分量が試験時間に比して過大であり、分量の適正化を検討するよう要望があった。読む量だけでなく、内容の複雑さも適正となるよう、今後の出題に向けて検討を続けて行きたい。(問題作成部会の見解)

 これを読むと、来年は少しは分量面での改善が期待できそうです。ただ本番までの受験生が受検する模擬試験は多めの分量の出題が続きそうです。

 このように「報告書」をじっくり読むと、いろいろなことを感じさせてくれ、来年度の出題のヒントが得られます。これまでもそうでした。新傾向の問題が登場する時は、前年の「追試問題」とこの「報告書」から読み取ることができました。

 例えば、今年の第5問に関して、「英文自体が体温を感じるものであり、今後もこのような英文が扱われることを期待したい。幅広い読解力を育成する、という意味でも、このような文章を読む機会は受験者に是非持ってもらいたい。」と研究団体が評価したことに対して、問題作成部会は大喜びしています。第5問の「いい話」は2年連続で出題されていますが、間違いなく来年度もこの傾向は続くものと思われます。

▲2月10日私の講演会の資料より

 さまざまなジャンルの問題文が出題される(今年の出題は上表)ことに関して、問題部会は「リーディングは、たくさんの情報をより多く頭に入れることではなく、それらの情報を頭の中で整理して深く理解し、必要に応じて考え、活用することである。また、テストにおいてたとえ同じ力を測る場合でも、その方法は多岐にわたる。受験者には日ごろから様々なタイプの英文に触れ、そこで得た情報を理解するだけでなく整理し活用しながら、目的や場面に応じた問いかけに柔軟に対応できるリーディングの力を付けることを意識してほしい。」とはっきりと述べています。来年も間違いなくさまざまなジャンルの英文が出題されることでしょう。日ごろの授業で読む種々の英文を大切にして取り組むことが重要です。♥♥♥

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