巨人の外国人ルート

   開幕当初は何かと酷評された阿部巨人軍でしたが、オールスター前󠄂までの前半戦を首位で折り返しました。しかもセリーグ5球団全てに勝ち越しで、これは球団としても34年ぶりの快挙です。ただし首位巨人から4位の阪神まで3.5ゲーム差という稀に見る大混戦でした。何と後半戦に入っても広島・阪神と大接戦を演じ、現時点(8月30日)で広島を抜いて首位に躍り出ました。何がこの位置を支えているか、その原因を探ってみたいと思います。

 昨年と全く違うのは、投手陣の踏ん張りです。去年までとは比べ物にならないくらいの安定感にどれだけ助けられたことか!それは先発・リリーフ陣の防御率にはっきりと現れています。ただ、投手力を数字で確かめてみると、防御率自体は広島と阪神の方が上なんです。打撃についても成績が良いとは決して言えるわけではありません。走力も4番目です。では首位でいられる大きな要因はどこにあるのでしょうか?間違いなく「守備力」です。エラーの数33(そのうちの9個が守備のうまいはずの門脇選手であるのはいただけません)はセリーグでも断然トップです。後のチームは軒並み40~50台のエラーを記録しています。盗塁阻止率も意外や意外、巨人の岸田捕手が・500でトップです。記録には表れない美技(特に吉川選手)もたくさん思い出に残っています。

 もう一つ注目すべき点があります。そんな今季の巨人で昨季までと大きく異なる点といえば、助っ人外国人が当たっていることでしょう。開幕前にメジャーで8年連続2桁ケタ本塁打を記録したオドーア外野手(推定年俸2億円)を獲得しましたが、あろうことか開幕2軍行きを嫌い早々に帰国してしまいました。それでも焦らなかったのは国際スカウト部で、5月にはヘルナンデス外野手(推定年俸5,000万円)を獲得しました。メジャーでは通算14試合しか出場経験がないにもかかわらず、3割4分台の打率をキープして貧打の巨人を救いました。「いなかったらと思うと、ゾッとするよね。彼が打って、今もずっと出続けてくれているから、この位置にいられると思う」阿部監督談)ヘルナンデス選手は国際部が単独でリストアップした選手。その部長は今、吉村禎章編成部長が兼任しているんです。これまでの巨人といえば、外国人助っ人がハズレ続き。そこで吉村部長はメジャーだけではなく、中南米にもスカウトマンが動けるシステムを作りました。巨人はヘルナンデス選手に関して、2年前から獲得に向けての調査を続けてきたそうです。両者にその長期間の信頼関係があったからこそ、今回の緊急補強も実現したわけです。さらに年度途中でモンテス内野手(推定年俸3,000万円)を補強しています。この助っ人も選手登録されるやすぐに大活躍です。

 そしてそれを支えているのが、2019年末に、西武や横浜などで活躍し、メジャー人脈が太いデニー友利氏を「海外スカウト」として中日から引き抜き、吉村部長の右腕としたことでしょう。かつて巨人は大枚をはたいて助っ人を獲得することでお馴染みでしたが、そこからの脱却への努力が、阿部監督の就任とタイミングを同じくして実り始めているのです。外国人選手の働きはチームの成績に大きく影響すると考え、ドミニカ共和国などさまざまな地域に太いパイプを持つデニー氏に白羽の矢を立て、新たな助っ人発掘ルートの開拓で、選手層をさらに厚くしています。 

 デニーさんは、1967年9月21日、沖縄県生まれ。現役時代は大洋、西武、横浜でプレーした後、2005年は米レッドソックスのマイナーでプレー。気迫あふれるサイドスローで主に中継ぎとして活躍しました。2006年から中日で日本復帰して翌年に引退。その後はレッドソックスで巡回投手コーチを務めて松坂、岡島の活躍を後押しした実績もあります。2014年からは中日でコーチ、国際渉外担当として活躍。巨人に所属経験はありません。現役時代の日本通算成績は399登板18勝29敗30セーブ、防御率3・89。

 日米での豊富な経験を買われ、中日時代から国際渉外担当として新外国人選手発掘に尽力してきました。中日で大活躍だったロドリゲス、R・マルティネス、ロメロらの獲得に大きく貢献しました。巨人のメルセデス(現・ロッテ)もそこから成功をつかんだ一人です。2016年中日入団のビシエドは首位打者。2017年入団のゲレーロは同年の本塁打王、R・マルティネスはセリーグNo.1の救援投手として才能が開花しました。昨年まで巨人にいた助っ人・ウォーカー(現・ソフトバンク)は守備はひどかったですが、長打力で活躍しました。彼もデニーさんの“秘蔵っ子”で、米独立リーグ「アメリカン・アソシエーション」で新記録となる33本塁打をマークするなど、2年連続MVPに輝いたウォーカー。実はデニー海外スカウト担当がマークを続けていたといいます。

 かつは中日の森繁和前監督の右腕として新外国人選手発掘に尽力してきたデニーさん。中日の調査力、交渉力、特にドミニカを筆頭とする中南米ルートは中日の独壇場でした。森前監督が強固なパイプを築いているため、巨人は後手に回るケースが多かったのでした。じだんだを踏んでいるところに、さんとデニーさんが中日を退団したのをきっかけに、巨人はすぐに動いてデニーさんを獲得。球団はドミニカを中心とした中南米ルートを、デニーさんを通じて手に入れているのです。

 かつては大リーグの実績をひけらかし、日本野球を格下に見下す大物助っ人外国人を引っ張ってきては、そのほとんどが不発・ハズレに終わっていた巨人でしたが、ここ最近のデニーさんの眼力によって、安価で掘り出し物の外国人助っ人に当たり始めました。ハングリー精神にあふれ、日本でひと花咲かせたい、と必死で真面目な外国人を発掘しておられます。

 外国人助っ人に関しては、昨年まで必ず原前監督が口を出してきました。「全権」監督でしたから仕方がないにせよ、外国人野手の条件として「長打力と性格」と注文を出していました。そうなるとどうしても、当たれば飛ぶけど……のようなタイプになり、近年獲得の野手はほとんど成功したことはありませんでした。今季の補強は全面フロント主導です。阿部監督は現段階では補強に口出しをしていません。原監督が退団したことで外国人野手の条件として「ミート力」「低めの変化球を見極められること」の2点に絞って野手を探しているそうです。前監督が重視した「本塁打」は関係ありません。獲得時には、ヘルナンデスモンテス「パワーがない…」と心配されましたが、ミート力さえあれば、狭い東京ドームならサク越えはすぐに打てます。モンテスはまだ0本塁打ですが、ヘルナンデスは8本打っています。♥♥♥

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