「勤勉・正直・感謝」

 東京大学時代に地球物理学で数々の輝かしい業績を残された後、退官なさってからの故・竹内 均(たけうちひとし)先生のご活躍がすごいと思います。東京大学名誉教授、科学雑誌『ニュートン』の創刊(編集長)、代々木ゼミナール札幌校の校長、メガネの三城のCM出演、そのかたわらに全国を講演で飛び回り(松江にも来られました)、かつ500冊に近い著書の数々を書いておられます。 

 この竹内先生から学んだことはもう山のようにありますが、中でも一番大きかったことは、「15分活用法」です。あれだけ忙しく飛び回っておられる先生が、どうやってあれだけの膨大な著作を残すことができたのか?先生は時間のユニットを15分と考えておられました。どんなに忙しい人でも、1日のうちには何度か15分くらいの空き時間を見つけることはできます。この短い空き時間で、小さな仕事をまとめ、それを積み上げていくというやり方です。この15分に取り組む仕事は、必ずしもその前の15分の続きでなくてもかまいません。全く違った種類の仕事でもいい。とにかくこうして、その場その場で取り組んだ断片的作業を、少しずつ積み上げていくことが大切なのです。当時の竹内先生はテープレコーダーに吹き込んでおられました。それが積もり積もってあれだけの膨大な著作につながっていったのですね。私は若い頃から、これを真似てちょっとした時間があると、ちょこっと書き留めたり、パソコンに入力作業したりをしていました。私が作った膨大な教材のほとんどは、こうして出来上がったものなんです。

 先生は人生の理想は、自己実現」にあると考えておられました。先生流に「自己実現」を、①自分の好きなことをやり、②それで十分にメシが食えて、③のみならず、それが他人の役に立ち、また他の人から評価される、とまとめられました。私はこれを借用させていただいて、生徒たちに「理想の職業とは?」と語りかけたものです。好きなことをやり、②食べるのに十分なお金が手に入り、③ときどき人から感謝される、そんなやりがいのある職業に就きたいね、と。竹内先生もそうでしたが、私自身も「教職」はそんな理想の職業だったと言えます。今でも生徒たちにこの話はよくしてあげ、先生の著書を読むように薦めています。

 その竹内先生の座右の銘は、「①勤勉・②正直・③感謝」だといいます。自己実現をするための「自分の好きなこと」が見つかったとして、それから後は、この三つを実行すればよいとされました。それは先生の母親が周囲から「仏」と言われていたことから、母親の所作を見ていて勤勉・正直・感謝という言葉が自然と出てきたのだといいます。まさに親子ともども継続の天才、正直、感謝の心を忘れない誠実な人であったようです。

 自己実現をしようとする者はまず「勤勉」に働かなければなりません。勤勉のポイントとしては、「やれることからやる」ことだと竹内先生はおっしゃいます。自己実現のための「自分の好きなこと」「大きい夢」と呼ぶとしたら、今すぐに「小さい一歩」を踏み出せと言われます。「大きい夢」「小さい一歩」の間には、無限の隔たりがあるように思われ絶望的な感じになることもあります。しかし、「小さい一歩」をうまずたゆまず続けていると、最初考えたよりはずーっと早く「大きい夢」が実現してしまうものなのです。また「正直」は、「約束したことを必ず実行し、実行できそうもないことを約束しない」ことであり、「感謝」「勤勉・正直を実行していささかの成功をおさめた場合には、それを他人のおかげとし、失敗した場合にはそれを自分のせいにする」ことです。中でもこの「感謝」が特に実行しにくいものです。そんなことをしていたのでは、自分の手柄をが全部他人に持って行かれてしまうようい見えるからです。しかし決してそうではなく、長い目で見ると必ず、「感謝」を実行した人が自己実現をするのです。竹内先生はこの「勤勉・正直・感謝」が物理学における「運動の法則」と同じくらい確実な因果律だとされました。

 以上のように、竹内先生は人生の三大徳目として、「勤勉」・②「正直」・③「感謝」の三つを掲げておられました。私もこの三つを何よりも大切にして生きてきたように思います。中でも「正直」「正直」に生きてきました。「約束したことは必ず実行する」「できないことは約束しない」ことを大切に生きてきました。自分のためだけでなく、人のために何か自分にできることはないか?と常に思いながら、今まで頑張ってきたように思います。「お金を追うな、仕事を追え」の精神で、人に喜んでもらうと、後で自分に返ってくることをいつも感じながら、「感謝」の気持ちを忘れないように「勤勉」に生きてきたように思います。教員になり手が少なくなったという報道を聞くに、こういうことが難しくなったんだろうな、と悲しく感じます。それにしても、最近の大学生が会社を選ぶ理由として、「第1位 倒産しない 第2位 給料がいい 第3位 残業なし」という基準で選んでいるという記事を読んで、ガックリきたものです。♥♥♥

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