◎週末はグルメ情報!!今週は「御座候」
関西では回転焼きの代名詞でもある「御座候」(ござそうろう)。職人が目の前でアツアツを焼き上げてくれる店頭販売スタイルで、発売から70年を越えてなお愛される定番の和菓子です。こだわりが生む、風味豊かな味わい。「御座候」の命とも言える中身のアンには、創業当時からの信念と、独自のこだわりが生きています。 自然の恵みである小豆の風味を多くの人に味わっていただきたい、 できたてで熱々の美味しさをいつまでも大切にしたい、という気持ちが込められています。1個 110円(税込)と、信じられない安さで、おやつに土産、来客のもてなしにと、年間約5千万個を売り上げます。私はいつも岡山市の「天満屋」や「高島屋」の地階にある「御座候」のお店でこの「大判焼き」を買って、帰りの特急「やくも」号の中で美味しくいただいています。「美味しくて、廉い」が、「御座候」の商品作りの理念です。華美な包装や宣伝をせず、それでいて原材料と製法には妥協しないことで、値打ちを感じてもらえる商品を目指しています。私の大好物なんです。
焼きたてをその場で一口。パリッとした皮のほんのり香ばしい香りとともに、ぎっしり詰まったあんこが口の中にあふれます。熱々で、ハホハホ!ほどよい甘さと上品な味わいで、あずきの風味もたまりません。これこれ、この味この味! 「創業当時から味は変えていないんですよ。そのころから原材料にはこだわっています」と話すのは三代目社長の山田宗平さん。「御座候」はもともと、山田さんの祖父の昭二さんが1950年に、佐賀で冷菓業として創業。夏場はアイスなどの冷菓がよく売れたのですが、冬場には目玉商品がなく、思案する中で思い出したのが、父親が買ってくれた回転焼きのぬくもりでした。1955年に故郷の兵庫県姫路市に移転後、戦後の物資不足の中ではありましたが「本当においしい回転焼きを」と、高品質な北海道産小豆と上白糖を使用して売り出したところ、おいしさが口コミで評判を呼び、一般的な回転焼きの倍の値段(10円)だったにもかかわらず大人気になりました。客の列は3軒隣にまで延びたと言います。回転焼きは赤あんと白あんの2種で、原料の豆は、赤い方は赤アン用の「エリモショウズ」。白い方は白アン用の「絹てぼう」という品種です。どちらも大きさや色など手間暇をかけて選び抜かれた素材。白アン用の豆の名前についている「絹」はやさしくなめらかな口当たり、という特徴にちなんで名付けました。赤白ともにファンは多いんです。私はいつも「赤」を買って帰ります。
あの絶妙な甘さについて山田さんは、「豆の風味を生かしながら、甘みのバランスを考えて試行錯誤の末、今の配合になったのでは」と話します。また、1955年の販売当初は、回転焼きという名前だったとのことですが、いつの頃からか、「回転焼き」ではなく「御座候ください」と屋号で注文する客が増えたため、商品名を屋号と同じにしたのだそうです。ちなみに「御座候」の名前には、「お買い上げ賜りありがたく御座候」という感謝の思いと、「私か焼いた回転焼きでございます」という自信と誇りが込められていると言います。現在店舗は関西や中部地方の他、関東、北海道など全国に77店舗。昨年の繁忙期の1日の最大販売総個数は、なんと26万4,000個だったといいます。
小豆あん作りへのこだわりは、原材料の品質が物語っています。山田さんは「小豆は選別が一番重要で、粒の大きさがそろっているほど良い。大小が交じると大きいものに合わせて煮える時間が変わり、小さいものは煮えすぎになる。粒のそろった小豆を最短の時間で煮ることで小豆の風味が最も残るのです」と言い、「農協さんによると、選別基準はどこの和菓子屋よりも厳しいそうです」と胸を張ります。また、食の安全にも注力し、製あんは工場に設けたクリーンルーム内で行う徹底ぶりです。以前の工場では、120kgのあずきを一釜で煮ていたのを、新しい工場では半分の60kgにしました。「たくさん煮るのは早くて効率的だけど量が多いと粒や仕上がり具合などにムラが出てくる場合がどうしても発生する。だから半分にした。北海道の良い豆なので、その素材の良さを最大限引き出したい」のだそうです。時間や量よりも品質を重視!子どもから大人までに愛される、美味しくてやさしい本物の味を多くのお客さまに届けたいという、創業時からの信念と独自のこだわりが生きています。頭が下がりますね。
さらに同社は「御座候」に最も適した小豆を使用するため、2005年から民間で初めて品種改良に取り組み、10年以上かけて「紫さやか」という新品種を完成させました。2009年には本社に隣接して小豆の文化や歴史が学べる施設「あずきミュージアム」を開館するなど、さらなる魅力を発信しています。「あずき文化を現代に継承していくこと。そして何より焼きたてを召し上がってもらいたいので、100周年を目指し職人が目の前で作る。手焼きを伝承していきたい」と山田さんは瞳を輝かせます。手焼きにこだわり続けた70年。「喜ばれる品を気持ちよく廉く」をモットーにして仕事をしておられます。焼き時間は約5分。実はこの焼き担当の方は全国の店舗で社員の方が担当。一人前になるには1年から数年かかるのだそうです。ポイントは、高い温度でパリッと焼くこと。火が弱いと皮(生地の部分)が硬くなってしまい、分厚くなるのでおいしくなくなってしまいます。熟練していない人は、粉を流したり、アンを入れる手さばきが遅いので、生地が渇かないように弱火になる。強火でできないので、おいしくなくなるという理屈。アン有り生地と受け側生地を合わせるのは素手!まだ慣れていない人は、手にアンの入った生地を乗せると火傷したり、熱くて手を引っ込めてしまいます。「上達するにつれて、御座候の皮は薄くなるけど、指の皮は分厚く硬くなる」のだそうです。こうした職人さんの鮮やかな手焼きの手さばきは必見ですよ。私はいつも目の前でじーっと観察しています。♥♥♥




