otherwiseをどう覚えるか?

     難関大学の入試問題を演習していると、「その他の点では」「別の方法で」という意味のotherwiseがよく出てきます。力のない生徒はその文をたいてい「もしそうでなければ」と訳して、つじつまがあわなくなって困り果ててしまいます。そうです、otherwiseには、①「もしそうでなければ」(=if …not)の他に、②「その他の点では」(= in other ways)、③「別の方法で」(= in a different way)、という三つの意味があることを頭に入れておく必要があるんです。私はここで生徒に尋ねます。「何でこんな意味が出てくると思う?」 丸暗記では限界があります。これらを丸暗記してもすぐに忘れてしまうことでしょう。授業ではこういうことをいつも生徒と一緒に考えています。私が理想の単語集として評価する『LEAP』改訂版(p.304)では、「①さもなければ ②ほかの点では ③ほかの方法で」と記述し、other-「ほかの」+-wise [=way 方法、点]」として成り立ちを解説しているところが素晴らしい点です。ただ私ならもう一歩進めて、wise←way+sと踏み込みたいところです。 

 otherwise は、歴史的にother + ways  ← other + way + sから派生した単語です。最後の-sは副詞の状態を表す語尾の-sで、英語にはかなり見られます。always, sometimes, nowadays, besides, towards, indoors, outdoors, perhapsなど、みなそうですね。 -s は、古英語の属格の転用であろうと考えられていますが、中英語の段階で副詞形成語尾になりました。またonce, hence, whence, since などの -ce-s の変形です。この話をすると生徒たちは「エーーッ、そうだったのか!」意外という顔をします。今まで知らなかった(未知)事項が、自分の知っている世界(既知)と結びついた時に、進歩が生まれます。この「副詞のs」が理解できると、思わぬ波及効果も期待できます。

 そこで、wayがいろいろな意味を持つ(「状態」「点」「方法」)ことに着目すれば、「他の状態では」⇒もしそうでなければ」、「他のでは」⇒②「その他の点では」、「他の方法」⇒③「別の方法で」、と考えれば一目瞭然ですね。このことを説明した後で、忘れないように「別の 点 なければ」と、語呂合わせで覚えておくように指導しています。ちょっとしたことなんですが、これが大きく物を言うことがあるんです。このことは、clockwise(時計回りに) crosswise(斜めに)が出た時にも応用できますね。

 私が尊敬する故・渡部昇一先生『人生の出発点は低いほどいい』(PHP研究所、2007年、2014年に復刊)にはこんな記述がありました。この本を私は何度も何度も読み返しています。♥♥♥

 これは大学の先生に限らないのですが、教師が常に忘れてはならないのは、教育熱心であることと熱心に教えることは違うのだ、ということです。
 教育の主目的は、学生が自主的に学ぼうと意欲を誘いだすことです。と同時に、教師は学問を深く修めるという大切な責務を忘れてはなりません。自分の学問を二の次にして、「教育とは、教育とは」と論じてばかりいるのでは良い教師とはいえません。あまりうるさく教えても、そうそう生徒のアタマの中に入るものではありません。むしろ「淡々」に近いぐらいでいいのです。もちろん、質問されたら、ピシッと答えることができなくてはなりませんが。
 私が学部で英文法を教えていた頃、学生たちによくこう話したものです。
 「このような英文法は、君たち自身が教えることはまずないだろう。しかし、君たちが家庭教師になったり、教壇に立ったり、あるいは塾で教える時には、生徒の中にできる奴が必ず何人かいる。そして、そいつは変な質問をするに違いない。その時、スパッと答えられるか答えられないかで、その質問した生徒の運命が決まることがある。だから、その時、答えられるためにこの英文法をやっているのだ。『十年兵を養うは、一日これを使うがためなり』と。
 英文法というのは、そういうものなのです。たとえば、「nowadaysの末尾になぜsがつくのですか」「このsは複数なのですか」というような妙な質問をする学生がいないとは限りません。その時、教師がスパッと答えられるか答えられないかが、その学生の学問的な目がパッと開くか開かないかの分かれ目になることもあります。教師というのは、そういう瀬戸際に立ち会うこともある職業なのです。私はつねづねこのことを、弟子たちに話しています。(pp.88-89)

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