私は長年毎日7つの新聞に目を通しています。そして気になった記事をノートに貼り付けてスクラップをしています。もう数十年間、そのノートはコクヨの「キャンパスノート」のB中横罫100枚のものを使っています(写真下)。
コクヨの「キャンパスノート」は、昨年に「発売50周年」を迎えた超ロングセラー商品です。発売は1975年で、灰色の糸とじノートが主流だった時代に、平らに開く無線とじでカラフルなノートは画期的でした。英語で「Campus」と書かれたおしゃれな雰囲気も人気で、瞬く間に学生たちの「定番」となりました。発売以来、累計販売数38億冊を誇るノートです。特徴としては、機能とデザイン性を兼ね備えたノートです。Ⓐタイトルスペース Ⓑ罫内容の実寸表示 Ⓒ名前スペース Ⓓ使いやすい無線とじ製本 Ⓔ筆記ができる丈夫な背クロス Ⓕ背タイトルをそろえる目印 Ⓖ縦に線を引きやすい三角形の目印 Ⓗ短い定規でも線が引ける罫線上の3カ所の目印 Ⓘ行数が数えやすい5行ごとの目印
「キャンパスノート」の中紙には、筆記性を優先するため再生紙を使わず、適切に管理された「森林認証紙」を使用しています。森林認証紙とは、適切に管理された森林のパルプから作られた紙のことで、「適切な森林管理が行われているか」「持続可能な森林経営が行われている森林か」など世界的な基準で審査され、認証されています。コクヨのモノづくりは、常に環境保全も考えられているんですね。独自の原紙基準を設定、厳重な品質管理のもと満足いただける書き心地を提供しています。使用しているのは、酸化による紙の劣化を防ぐ中性紙です。
今の学校現場では最近タブレット学習が進み、「ノート学習」は減っているものと思われがちですが、実際にはアナログへの回帰傾向もあり、中高生に人気のノートです。コクヨでは、立命館大学との共同研究で、『ノートとタブレットへの筆記における記憶効果の比較』を実施して、ノート筆記の方が得点2割アップという結果が得られました。紙のノートを使用したグループは、タブレットを使用したグループに比べて、暗記テストで有意に高い成績を収めました。紙のノートを用いた参加者は、学習内容の詳細や構造をより正確に再現し、長期的な記憶定着において優位性を示しました。一方、タブレットの使用グループは、筆記の滑らかさや修正の容易さといったデジタル媒体の利便性を評価しましたが、記憶の定着度では紙に劣る結果となりました。この差は、紙のノートが触覚的・視覚的な情報を同時に提供し、脳の情報処理や記憶を強化した可能性があるからと考えられます。紙のノートがタブレットに比べて記憶の定着において明確な優位性を持つことを実証しました。この結果は、デジタル機器が教育現場や日常生活で広く普及する中、紙媒体が依然として学習プロセスにおいて重要な役割を果たすことを強調しています。紙のノートが提供する物理的な筆記体験(ペンの感触、紙の質感、空間的なレイアウトの自由度など)は、情報を深く処理し、記憶に定着させるプロセスを促進する可能性が高いのです。これに対し、タブレットのデジタル筆記は、効率性や整理の容易さを提供する一方で、触覚的・空間的な情報の欠如が記憶効果を抑制する要因となったと考えられます。
広く長く使われている「キャンパスノート」のほとんどが、コクヨの主力工場であるコクヨ工業滋賀(滋賀県愛荘町)で作られています。約2万㎡という広大な工場では、コクヨの創業者、黒田善太郎像が出迎えてくれます。「コクヨ」の社名は「国(コク)の誉(ヨ)れ」から来ています。
大きなロール紙からノートが出来上がるまでのスピードに驚き。要所要所、人の目でチェックして、少しのずれも見逃さないのも印象的です。工場内は紙の品質を保つため温湿度管理されていて、気温は20℃くらい、特に大切な湿度は55%に統一されているので人にとっても快適です。工場内には大小30以上の機械があるのですが、無線綴じノートの製造を始めた50年前にドイツから買い付けた機械が現役で動いています。「故障する時もあるのですが、熟練工が修理しながら使っています」。物を大切にする心が伝えられているのですね。工場内がきれいなのは、細かい紙の端材も無駄にせず、リサイクルに回しているからです。ノートの中紙となる大きな原紙がセットされるところから始まり、罫線印刷、折り、カット、糊付けと高速で作業が進み、アッという間にノートの形となり、箱詰めされるところまでの工場内の製造現場が映像で公開されました(下記)。文房具マニアとしては、興味津々で見ています。♥♥♥


