丸選手の批判

 巨人の丸佳浩(まるよしひろ)外野手(36歳)が12月3日、都内の球団事務所で契約更改に臨み、1億2000万円ダウンの2億円(金額は推定)でサインし、来季から新たに2年契約を結びました。来季中の通算2000安打(残り71)、同300本塁打(残り11)、同1000打点(残り56)の大記録のトリプル達成が期待されています。

 その丸選手が交渉の席で、球団に現在の3軍制度について強烈な意見を述べました。巨人がもっと強くなるための思いを持つからこその批判でした。今季、丸選手は開幕前に負傷離脱し、リハビリ中に三軍の選手たちと共に活動していました。そこで、彼は三軍選手たちの意識や運営の課題について疑問を抱いたといいます。「見て感じたことを伝えさせていただきました。球団としても育成選手にも実戦の場を設けてくれている。当然、お金も人手もかかっています。そこに3軍の選手がどういう意識を持ってやってるのかお話をしました」と語りました。巨人では2016年に創設された育成選手メインの3軍です。同制度を設けるソフトバンクホークスの育成選手からは甲斐周東牧原大らが急成長して育ちましたが、「なかなかそういう選手がジャイアンツに出てきていない」と厳しい視点で批判しました。「(3軍選手は)一番練習しないといけない立場。何をやらないといけないかの意識改革じゃないけど、そういう意識をどう持っていけばいいか。今の時代に合う指導法をしつつ、どう向上心を持ってやっていけるか」と、球団側と話し合ったといいます。自身は猛練習・不断の努力の末に広島で定位置をつかみ、巨人でも不動の地位を築いてきました。「新体制になってから、また今までと違った取り組みをしていくという話だった。僕も見ていきたい」。常勝球団の復活へ、あらゆる面で力になろうとしています。このニュースでは、丸選手が具体的な批判を球団に伝えたことが特に注目されます。なかなか勇気を持って言えない発言です。それだけ丸選手のはらわたは煮えくり返っていたのでしょう。現役選手の立場から見た育成の現状についての意見は、今後のジャイアンツの戦略に大きな影響を与える可能性があります。また、三軍制度の意義が問われる中、来シーズンの進展が注目されます。三軍制度は今季で創設から10年目を迎えています。三軍を始めて10年。このまま鳴かず飛ばずの状態が続くと、球団のメンツにも影響し、存在意義も問われるとの危機感も広がっています。来シーズンは、巨人の三軍制度の真価が問われる年になることでしょう。

 福岡ソフトバンクホークスで育成選手が一軍での成功を収めていることに言及しました。現役選手が球団の運営や組織の活動について意見を言うことは極めて珍しく、丸選手はそのもどかしさを感じていたようです。桑田真澄2軍監督駒田徳広3軍監督が今年限りで退団したので、来季に向けては、二軍、三軍監督やコーチ陣の顔ぶれが大きく変わります。ジャイアンツの一~三軍の首脳陣はリモート会議を積極的に行い、情報共有を円滑にする方針を示しています。

 丸選手が言及したように、ソフトバンクホークスの育成選手には、千賀滉大投手(現・ニューヨークメッツ)、甲斐拓也捕手(現・読売ジャイアンツ)、周東佑京選手牧原大成選手石川柊太投手(現・千葉ロッテマリーンズ)など大成した選手が多くいます。なぜこれだけホークスは育成選手をうまく育てられるのでしょうか?これに関しては、工藤公康・元監督が最新刊『工藤メモ』(日本実業出版社、2025年)の中で触れておられました。

 ホークスの育成選手がなぜ大成できるのか?よく言われるのは、「一軍、二軍、三軍がうまく機能しているから」ということです。確かに、ホークスには王会長をトップとしたシステムがしっかり構築されています。二軍のみならず三軍にまで目が行き届き、王会長以下、各監督、スタッフ間で情報の共有がちゃんとなさえている点は12球団随一といってもいいかもしれません。

 あともうひとつ、私がホークスの育成力として優れていると思うのは「一芸を伸ばす力」です。「この選手のここが誰よりも秀でている」と見抜いたら、その一芸=長所を徹底して伸ばしてあげる。この見抜く力と育成力があったからこそ、先述した育成出身の選手たちは大きくせいちょうできたのです。甲斐選手は、方の強さとフットワークのよさが大きな魅力でした。だから入団当初はピッチャーをリードする力やバッティングには目をつむり、彼の長所を伸ばすことに注力しました。まずは彼の最大のウリとなるポイントを認めてあげて、経験を積ませたわけです。  (pp.48-49)

 育成入団の選手は多いので、活躍できずに消えてしまうケースも多いのですが、中でもどんな選手が育成から這い上がるのかに関しては、活躍する選手の共通点は、投手なら球速・変化球・制球力、野手なら強肩・長打力・俊足などで、誰にも負けない1つの武器を持っていることでしょう。あとはこの世界で絶対に活躍するという負けん気の強さですね。甲斐牧原周東選手は若手の時から目の色が違っていたといいます。科学的トレーニングの発達で練習の質が重視される時代ですが、一流になる選手は想像を絶する練習量をこなしています。実際、現役時代に他球団からソフトバンクに移籍したOBは、野球に向き合う姿勢の違いに驚かされたといいます。「春季キャンプで今宮健太、松田宣浩など主力選手たちがユニフォームを泥だらけにしてノックを受けていました。豊富な練習量は小久保裕紀監督、松中信彦さんの現役時代から継承されていると聞いて、強さの秘訣が分かりました。ファームにいる選手たちも千賀、甲斐、牧原という育成入団からサクセスストーリーをつかんだスターを見ているので、追いつきたいと練習や試合に取り組むモチベーションが高い。各ポジションで競争のレベルが高いので常に緊張感が漂っていました」 一方で、巨人の育成入団からは1軍でブレークするケースがほとんど出てきません。育成契約に限らず、支配下で入団した選手も一本立ちせずに伸び悩むケースも多く見られます。場当たり的なFA補強も一因でしょう。丸佳浩のような球界を代表する選手は獲得する価値がありますが、力に陰りが見えている選手をFAで獲得しても戦力としてプラスにならず、若手の出場機会が失われるデメリットのほうが大きいと思います。巨人の2、3軍を見ると磨けば光る素材は多いんですが、チャンスがなかなか巡ってきません。かつて高橋由伸監督は、どんなに打てなくても辛抱して岡本和真選手をずっと使い続け、球界を代表するスラッガーに育て上げました。さらには、巨人の2、3軍で指摘されるのが練習量の少なさです。入団しただけで満足し、周りからは他球団以上にチヤホヤ祭り上げられて、ろくに練習も積まず消えていく選手をたくさん見てきました。ハングリー精神で何としてでも這い上がってやるという気概が足りないのでしょう。巨人を取材するライターは違った見方を示します。「桑田さん、駒田さんが練習をやらせないということはない。質だけでなく量も重視した上で、桑田さんは『自分で何が足りないか考えて取り組まないとダメだよ』と若手の選手たちに伝えていました。ネットスローやウエートトレーニングなど遅くまで自主練に取り組んでいる選手たちはいますし、能力を伸ばしてきて楽しみな選手が多い。育成から支配下昇格した菊地大稀、三塚琉生、ファームで今年結果を残した育成の宇都宮葵星、園田純規はチームの核になれる逸材です。彼らが1軍で活躍すれば、刺激を受けて台頭する選手がどんどん出てくる可能性があります」育成入団選手がブレークすれば、チーム全体の士気が上がります。果たして来季、丸選手の提言は生かされるのでしょうか?♥♥♥

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