ミー・アウト・キー・イン・ドアガッチャン

 かつて、さだまさしさんのバックバンドでマリンバを演奏しておられた宅間久善(たくまひさよし)さんが大好きでした(「空蝉」の演奏など最高です)。彼は4歳の頃よりマリンバを習い始め、僅か5歳でNHK「私の秘密」でデビューし、「天才・宅間木琴兄弟」として、民放各局に多数出演していたこともありましたっけ。武蔵野音楽大学の学園祭に、「グレープ」さだまさし吉田政美のフォークデュオ)を呼んだ際の実行委員長でした。武蔵野音楽大学を首席で卒業後、すぐにさだまさしさんのバックバンド・グループに参加しました。さださんがソロになった第1回目のコンサート(1976年)以降、3,000回以上、ステージを共にしていました。さださんのコンサートでの人気はバックメンバーの中でも一番でした。

 宅間さんは、さださんのコンサートツアーで、トークのネタにされることが多くありました。「乳母車(うばぐるま)をにゅうばしゃ」と読んだとか、「山形新聞(やまがた・しんぶん)をさんけい・しんぶん」と読んだとか、「最上牛(さいじょう・ぎゅう)をもがみ・ぎゅう」と読んだなど、漢字ネタが多くありましたね。

 中でも最高の傑作があります。ハワイでオートロックのホテルに宿泊した際、誤って鍵を部屋の中に入れたまま、ドアを閉めてしまい、部屋に入ることができません。さださんはきっと何かやるに違いないとビデオを持ってフロントまで付いていきました。慌てた宅間さんはフロントに駆け込み、あろうことか、フロントの担当に「ミー・アウト・キー・イン・ドアガッチャン」(Me out, key in, door gacchan )と説明して自分の危急を訴えたのです。すると“I see.”と、なんとこの英語で通じてしまったというのがハワイらしいお笑いですね。こういった失敗というのは結構よく聞く話で、タレントの伊集院光さんもかつて中京テレビの番組で同様の経験をしたことを語り、その時は、“Key inside, me outside. Oh my god!”とフロントに訴えて助かったという話をしたことがありました。

 ではこういう時には英語でどう言えばいいのかが、今日の話題です。鍵を部屋に置いたまま、自動ロックがかかってしまい部屋に入ることができません。フロントへ行って「部屋に鍵を忘れました」と言いたいのです。生徒に英作文をさせると、日本語につられて、“I forgot a key in my room. ”と書く人がいます。でもこれでは「部屋の中で、ある鍵を持ってくるのを忘れちゃった」と聞こえてしまいます。鍵を忘れたのではありません。閉め出されたのです。こういう時には、“I’m locked out of my room.”/“I’m locked out.”/“I locked my key in my room.”などと言えば、きちんと伝わるでしょう。里中哲彦・キャサリン・クラフト『その英語は、ちょっと恥ずかしい!?』(王様文庫、2014年)にも取り上げられていました。それにしても宅間さんの「ミー・アウト・キー・イン・ドアガッチャン」は傑作でした。♥♥♥

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