「ハードスケジュール」は和製英語?

 その昔、『ライトハウス英和辞典』を一括採用しておられる大阪の高校の先生から研究社の辞書編集部に「ライトハウスにはhard scheduleが載っているが、これは和製英語ではないのか。他の辞典にはそう書いてあるものが多いが、一体どちらが本当なのか?」という疑義が寄せられました。確かに『ライトハウス英和辞典』(第2版)には、I have a full[ heavy, tight, hard] schedule for next week.(来週は予定がぎっしり詰まっている)という用例が載っていました。『ルミナス和英』にも「★heavy, hardやtoughも使える」と注記が挙がっていますし、『グランドセンチュリー英和』にもa hard scehduleという用例が収録されています(同じ三省堂の『グランドセンチュリー和英』は和製英語として食い違いをみせます)。ところがそれに対し、今でも「ハードスケジュールは和製英語」と断言している学習辞典もあります(ジーニアス英和、ジーニアス和英、ウィズダム英和、ユースプログレッシブ英和、コアレックス英和など)。一体どちらを信じたらいいんでしょうか?

 以前親しくしていたALTが、”I have a hard schedule.” “I had a hard schedule today.”とよくこぼしていたので、徹底的に調査をしたことがあります。「まれ」とか「自分は使わない」と条件を付けた人はいましたけれども、間違いではないということで意見の一致をみました。故ボリンジャー博士イルソン博士とも、何ら問題なしという反応でした。もちろん普通には、BBI(2009)が挙げているようにfull, heavy, tightを使うのがよいのでしょう。私の調査では、arduous, backbreaking, busy, difficult, firm, full, hard, heavy, packed, relentless, rigid, rough, severe, stiff, strenuous, strict, tight, time-consuming, toilsome, toughなどの形容詞が、ほぼ同様の意味で使われることが判明しました。

 tight scheduleは「予定がぎっしりと詰まっている」という感じであるのに対して、hard scheduleのほうは「多くの難しいことが詰まっている」というニュアンスを持つことは注意してよいでしょう。頻度の面を考慮して、『ライトハウス英和』第6版(2012)では、コロケーションとしてfull, busy, tightを示すにとどめてあります。先日もkey holderに関して書いたことですが(⇒コチラ)、「和製英語」の判断は難しそうですね。

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