上原浩治投手『不変』

上原

 背番号19に込めた雑草魂

 大好きなボストン・レッドソックスの絶対的抑え、上原浩治(うえはらこうじ)投手の新刊『不変』(小学館)を読み終わりました。巨人の新人投手時代に20勝4敗の好成績で、新人賞をはじめ、主要な投手部門の賞を総なめにした時以来のファンです。巨人時代の通算成績は112勝62敗33セーブ、押しも押されぬ大エース・ピッチャーでした。忘れられないのは、20勝のかかった、最終先発のヤクルト戦のマウンドです。松井秀喜とヤクルトのペタジーニとの間で本塁打王争いが繰り広げられていました。この年、ペタジーニを無安打に押さえ込んでいた上原は、1・2打席目では勝負して打ち取ります(ピッチャーゴロ)。しかし、この間松井が一貫して敬遠気味の四球で歩かされ続けたことで、7回裏にペタジーニの3打席目を迎えたところで、ベンチの長嶋監督から敬遠の指令を受けます。指示に従いストレートの四球で歩かましたが、勝負できない悔しさから、マウンドの土を蹴り上げ、全力で投げ込み、何かをぐっと飲み込む様子で、やがて目からは悔し涙があふれ、ユニフォームの袖で拭っていました。この純な姿が今でも目に焼き付いています。前横浜市長だった中田宏さんの新刊『失敗の整理術』(PHPビジネス新書、2014年)を読んでいたら、この時の上原投手の思いが載っていました。あの試合、ペタジーニの最初の打席から敬遠のサインが出ていたんですが、二打席までは勝負させてくれと言って勝負したんです。ところが、ヤクルトは松井さんの最初の打席から敬遠したので、三打席目の勝負は許されなかったんです」そして「もうメジャーに3年いますけど、ああいうことは米国では見たことがないです」と。

 彼は、高校時代も目立たない控えピッチャー(元ヤンキース建山義紀の)。大学受験に失敗し、19歳は予備校通いが続き、野球をやりたくてもできない日々が続きました。警備員のアルバイトをしながら、その合間に自宅近くの公園でトレーニングを続けたといいます。同学年の高橋由伸(現巨人)や川上憲伸(現中日)が大学で華々しく活躍しているニュースが伝わってきます。負けるものか、と対抗心が雑草魂に火をつけました。この浪人時代の19歳を絶対に忘れないという思いで、プロに入ってから、そしてメジャーに行っても、常に背番号は19番をつけます。これが上原投手の原点だからです。

 オリオールズ、レンジャーズと渡り歩き(肘の故障から一時は引退も考えた)、今シーズンは、ボストン・レッドソックスのワールドシリーズ最後の一球を投げたのが上原投手でした。6月から抑えに回り、37打者連続アウトの空談記録を達成、7月9日のマリナーズ戦から9月13日のヤンキース戦まで、日本人メジャー最長の27試合連続無失点記録も樹立し抜群の安定感を見せました。彼は、球威では勝負できない分、抜群の制球力で、直球と三種類のスプリッット(=フォークボール)の2球種を自在に操り、芯を外したり、空振りを奪うのです。日米通算15年間で121勝72敗68セーブの成績です。

 これまでずっとやってきたこと、継続してきたことが実を結んだ。3日、4日の継続ではなくて、何年もの積み重ねが、今年やっと花開いたという感じです。あとは全力投球。悔いを残したくないという思いで一球一球、全力で投げていたので、それがいい方向にいったんだと思います。

 フォームは日々変わるものです。毎日毎日、同じフォームで投げることは不可能だと思っています。たとえば、体調に合わせながら、試合ごとに自分のフォームを作らないといけない。その日によって体調はまったく違うものですから。また、肘の上がり具合が1ミリでもズレていたらフォームは違うだろうし、体重が0.1キロでも変わって入れば、それだけでもフォームは変わってくる。だから、その日その日のフォームをどう作るかを、僕はいつも考えています。

 これが上原投手の、長年変わることのない思考です。今シーズンもそう思って投げ続けました。だからこそこう言います。僕の野球は変わっていない。変わったのは野球の結果だけ」と。

①目の前の野球と向き合い、悔いの残らない全力投球で挑む。
②立場が変わっても、やるべきことは一緒。一球たりとも手を抜かない。
③年齢は関係ない。その世界で戦う覚悟を持ち続け、そのための準備を怠らない。
④何事も徹底し、継続する。毎日コツコツと準備する。
⑤逆境に屈せず、何事にも動じない心の強さを持ち続ける。
⑥あらゆる局面の対処法を見つけ出し、「引き出し」のバリエーションを増やす。
⑦自分で考えて行動を起こし、いち早く自分のスタイルを見つけ出す。
⑧自分の武器を最大限まで引き上げる。
⑨自分の「目」を信じ、直感力を大事にする。
⑩適度な感覚とバランスを保ち続ける。
⑪感情を吐き出し、すぐに気持ちを切り替える。
⑫大きな力に立ち向かう「反骨心」を持ち続ける。

 『Number』1月号(2014年)にもインタビューが掲載されていますが、「なにも変えないこと。それが一番だと思います。常に一緒ということです。気持ちのもっていきかたというのは80から120の間ぐらいでいったりきたりしているけど、体は同じ。それはシーズンの1試合目だろうが162試合目だろうが、ポストシーズンだろうが関係ないんです」と、言っています。上原投手のブログは、シーズン中からずっとチェックしています。その日その日のガス抜きを、ブログを通じてやっておられた印象です。とっても面白いので、ご覧になってみてください。⇒コチラ

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