タモリさん

 32年間続いたタモリさんの「わらっていいとも」が最終回を迎えました。翌日の新聞各紙はこぞってこの話題を取り上げ激賞していましたね。このお化け番組は、プロデューサー3人と、各曜日と増刊号のディレクターの計6人を含め、総勢150人のスタッフで放送されてきた番組です。

 すいません。立っていただいて申し訳ございません。あの、こんなに集まっていただいてありがとうございます。お忙しい中…。感謝します。
 出演者、スタッフのおかげで32年間、無事やることができまして、まだ感慨っていうのタモリが、まだないんですよね。ちょっとホッとしただけで。来週の火曜日くらいから(感慨が)来るんじゃないかと思います。
 明日もアルタに行かなきゃなりません。楽屋の整理があります。私物がいっぱい置いてありますんで。みなさんのおかげで本当に、ここまで来ることができました。
 まあ、考えてみれば、気持ちの悪い男でしてね。こういう番組で以前の私の姿を見るのが大嫌いなんですよね。何かこう、気持ちが悪い。ぬれたシメジのような感じ。いや~な、ぬめ~っとしたような感じで、本当に嫌でして、私いまだに自分の番組、見ません。
 また、それで性格が当時、ひねくれておりましてね。不遜で、生意気で、世の中をなめくさってたんですね。そのくせ何もやったことがないんですけれども、これがどうしたわけか、初代の、亡くなられました横沢(彪)プロデューサーから仰せつかりまして、まあ、大体3カ月か半年くらいで終わるんじゃないかと思っていたところが、この32年になりました。
 まあ、生意気なことでやってたんですけども、その長い間に、視聴者の皆様方が、いろんなシチュエーション、いろんな状況、いろんな思いで、ずーっと見てきていただいたのがこっちにも伝わりまして、私も変わりまして、何となく、タレントとして形をなした、ということなんです。
 で、視聴者の皆様方から、私にたくさんの価値を付けていただき、またこのみすぼらしい身に、たくさんのきれいな衣装を着せていただきました。そして今日、ここで皆様方に直接、お礼をいう機会がありましたことを、感謝したいと思います。
 32年間、本当にありがとうございました。お世話になりました。(タモリさんの最後の言葉)

 さて、BS日テレで4月6日(日)18時から「久米書店」というインタビュー番組が始まりました。第1回目のゲストは『タモリ論』(新潮新書)を書いた樋口毅宏さんでした。司会の久米宏さんに、パートナーに壇 蜜を起用するなど、お色気を漂わせながら、久米さんらしく対談者の本音を見事に引き出しておられました。目的は本をまるで読んで気にさせる内容、そして実際に読んでみたくなるような番組だそうです。この番組、ブレイクしそうな予感です。初めて聞く数々のエピソードに交えて、この本のタモリの総括として、三つのキーワードを挙げて分析しておられましたね。なるほどとうなずかされるところが多々ありました。著者の樋口さんは『週刊ポスト』4月18日号で「いいとも最終回はテレビのお葬式だった」と題するエッセイを寄せています。これがまた秀逸な文章で感心することしきりでした。私個人は、タモリさんの一番大きな魅力は、「俯瞰する力」だと思っています。決して振り回されることなく、すべてを受け入れて、手のひらで転がしている、そんな感じです。なにせ、タモリさんは4,5歳の時、幼稚園の見学に行って、お遊戯する園児を見て「こんなバカなことできなIMG_3590い」って行かなかったそうですから。普通の子どもたちが幼稚園に行く間、ずっと道端に座って大人を見ていたそうですよ。長続きのコツを聞かれたタモリさんは、張り切らないこと」「反省しないこと」*だそうです。予定調和ではなく、アドリブの面白さを追求するのがタモリ流です。先日、安倍総理が出演されたときも、引き出し方は見事でしたね。最近、『タモリさんに学ぶ話がとぎれない雑談の技術』(こう書房)という本が出ています。

*「反省しないこと」が重要だ、とはチョット注釈が必要かもしれません。このことをタモリさんに叩き込んだのは、この番組を企画したフジテレビのプロデューサー故横澤彪(よこざわたけし)さんです。「反省したらダメだよ」が彼の口癖でした。テレビ局には反省会は付きものです。単なる飲み会ならいいのですが、「今日の番組で悪かった点」「視聴率が下がった理由」などを延々と続ければ、チームのムードは消沈し、勢いが萎んでしまい、責任転嫁、仲間割れ、他者への非難が始まり、空中分解が必至だからです。反省する暇があるなら、前に進め、というのが横澤さんの考えでした。

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