日本ではほとんど詳しく報じられることがありませんでしたが、 スパイ映画「007」シリーズの悪役などで知られる俳優のリチャード・キール(Richard Kiel)さんが9月 10日、米カリフォルニア州フレズノの病院で死去しました。74歳でした。患者情報の守秘義務を理由に死因は明らかにされていません。キールさんは「007 私を愛したスパイ」(1977年)や「007 ムーンレイカー」(1979年)で鋼鉄の歯を持つ悪役ジョーズを演じましたね。身長約2.18メートル、体重143kgと世界一の巨体俳優で(ギネスには認定されてはいませんが)、同シリーズで最も記憶に残る悪役の一人となりました。私は「007映画ボンドシリーズ」が大好きなので、ジョーズは忘れることのできないキャラクター(登場人物)です。
巨体、容貌魁偉、一度見たら絶対忘れられない存在感の持ち主、「役者は先ずその肉体で自らを表現すべし」を地で行く典型と言えましょう。第10作「私を愛したスパイ」でカール・ストロンバーグ=クルト・ユルゲンスの部下、鋼鉄の歯(牙!)を持つ男ジョーズ(彼には如何なボンドとて敵わない)として登場し、恐怖感の中にもユーモアを漂わせたコミカルな演技で人気を博しました。あのキラッと光る鋼の歯は、リチャード・キールさんを一躍有名にしましたが、プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリが「サメのような歯になるか、道具のようになるかはわからないけど、それはクロム鋼で作られていて、彼はその歯で人を殺すんだ」と語っていたものです。サメとの格闘シーンもありましたね。ボンド役のロジャー・ムーアは「リチャードは誰よりも不快な時を過ごしたんだ。なぜって、鋼鉄製の歯を口に入れるっていうのは、苦痛なことだからね。大体35秒ぐらいしかもたなかった。その後は猿ぐつわをはめられたようになっていたよ」 電車から放り出されてほとんど感電死するような状況の後でも、すくっと立ち上がってネクタイを直し、衣服の汚れをはたいたりするシーンは、とてもユーモラスで印象的でしたね。ジョーズが愛すべき憎めない敵に見えたりしたものです。元々の脚本では、最後で死ぬことになっていたそうですが、最終的に脚本は書き直され、ジョーズは生き残りました。
「本当はいい奴であって悪人ではない!」というファンの期待と人気。何とその勢いを駆って、次の第11作「ムーンレイカー」にもヒールとして再登場します。ところが、今度は途中から善玉に転向、破壊された宇宙基地からでもなぜか無事生還してしまう、という文字通り不死身のジョーズを演じました。生還させたのは、製作者が、あわよくば再々度登場の余地を残したものだと思いますが、やはり「ジョーズ」は悪玉でなくちゃあ~!、善玉になっては魅力半減!という評判であったのでしょう。二度と登場することはありませんでした。魅力的な役者さんでした。合掌。
PS 新作ボンド映画は、12月にクランクインして、2015年秋に公開予定です。



