『さだ丼』

▲五番街での特典

 大好きな歌手、さだまさしさん(69歳)が、4月21日、セルフカバー集第3弾となるアルバム『さだ丼~新自分風土記Ⅲ』を発売しました。私は「五番街」から発売日当日に手に入れています(特典は「さだ特製付箋」「ミニ色紙」の二つでした)。日本のソロ歌手として最多となる、前代未聞の4474回のコンサートを開催してきたさださんも、新型コロナウイルス禍で、一時はライブの中止や延期を余儀なくされました。しかし日本のコンサートの“トップランナー”として、専門家の知見に基づき、いち早くツアーを再開したのもさださんです。ライブもそう、そして今回のアルバムもそうですが、「今のさだの歌を聴かせたい」という思いに満ち満ちています。アルバムのほとんどの曲が、さだファンが10代、20代だった時代のものです。今回は、映画やドラマの主題歌、CMソングのタイアップ曲を集めたので、冗談半分で「こんな歌を全部聴かされたらおなかがいっぱいになっちゃうね。さだ丼ってどう?」と言ったら、スタッフに受けていいねって、すんなり決定したと言います。子どもの頃、さださんは長崎ではカツ丼を見たことがありませんでした。中学になってバイオリン修業で上京して初めて食べ、「こんなに美味しいものがあるのか」と感激しました。食べ物にはさほど興味はないものの、朝でも新幹線に乗る際にはカツ丼をリクエストすると言っておられます。今回のアルバム収録曲に見立てた丼も公開されています(料理研究家浜田陽子)。

 コロナ禍の第2波のピークから、まだ日も浅かった昨年の9月1日。埼玉県・川越市で、さださんのツアー「存在理由〜Raison d’être〜さだまさし コンサートツアー2020」が始まり、ライブが再開されました。無観客の配信ライブを除き、2月以来となるコンサートでした。「1人でも感染者が出たら即座に中止」。強い覚悟を持っての再開。3会場は中止となりましたが、残る41本のコンサートを全て乗り切りました。「いつもは取れないチケットが取りやすかった」と、初めてさださんのライブを聞きに来た初心者のお客さんも、いつもよりかなり多かったといいます。さださんが設立した公益財団法人「風に立つライオン基金」での活動で、「感染症の専門医とリモートで話す機会が何度もあり、何が怖いのか何が危険なのかをあぶり出せた」と言います。「感染者が1人いれば、5人の集まりでも危険。だが1人もいないのなら3万人が集まっても大丈夫。警戒することは大事だが、そこに気を取られすぎると何もかもが止まってしまう」こうした考えが、信頼度の高いコンサート運営につながりました。いつもは満席ぎっしりのさださんのライブですが、今回のツアーでは客数を制限したこともあり、商業的な採算ベースで大成功とはいきませんでしたが、コロナ対策は大きな“成果”といえるでしょう。赤字覚悟でもクオリティは決して下げないと奮起して、さださん含め9人の「さだ工務店」で全公演をやり切ったのは、「自分史」の中でも大切な出来事だったと言います。そして、さださんの動きは、後に続くミュージシャンらの始動を後押ししたのです。「スターダスト☆レビュー」がツアーを再開した今年1月、さださんと親交のあるボーカル、根本 要(ねもとかなめ)さんは、さださんからの電話に「さださんが走ってくれるから、後は楽ですよ」と答えたといいます。

 そうした中で、発売したセルフカバーアルバム第3弾は、2019年の『新自分風土記Ⅰ』『新自分風土記Ⅱ』に続くものです。今回は、テレビ番組や映画の主題歌、挿入歌などからセレクトされたものが大半となりました。この3枚のセルフカバーに共通するのが「今の年齢で歌い直す」ということでした。タイトルに「新」とあるのは、過去の歌唱の収録盤ではなく、新たに歌い直したことを伝えています。

 「オリジナルって一番下手。作ってすぐに理解できないうちに歌うから」と、さださんは笑います。かつてのレコードやCDを聞き慣れたファンからは「声も若いし、新鮮な感じがいい」という声も多いが、コンサートにすっかり慣れたファンには、今のさだの歌がいいという声があるのも無理からぬことです。「確かに40年もたてば、声も変わるし、表現も変わる。この年齢で、今の声であの歌をもう一度解釈し直したらどうなるのか」との思いで、今回もレコーディングに臨みました。1、2枚目のセルフカバーと異なるのは、大胆な歌い直しがあまりなく、「大げさなアレンジ変更はせずに、印象も変えないことを大前提とした」という点です。その上で、「若い頃のギリギリの声で歌うより、ちょっとキーを下げて落ち着いたほうが、今の自分っぽい」として、「天までとどけ」「道化師のソネット」「奇跡」などは、キーを一音下げて歌っています。今でもさださんの音域は変わっていないので、やろうと思えば、原曲のまま歌うことはできます。「でも髪の毛振り乱して164キロのストレートを投げなくても、158キロでいいんじゃないかと思う。9回でもまだ150キロは出るよ、というのが現役と思う」さださん(さださん、髪の毛振り乱すほどはないんですけどね…)。長崎の普賢岳災害のチャリティーソングとして、平成4年に発売された「SMILE AGAIN」は極端にキーを下げた一曲です。「こぶしを上げて頑張ろうぜ、ではなく、肩に手をおいて頑張ろう、という歌にしたかった」というのがその理由です。ここら辺のスタンスは、同じシンガーソングライターの小田和正(おだかずまさ、72歳)さんとはずいぶん違っています。小田さんは今でもキーを下げずに歌うことにこだわりがあり、下げざるを得なくなったときが引退と口にしておられました。

 アルバムの全てのアレンジは、絶大の信頼を寄せる作曲・編曲家で音楽プロデューサーの盟友・渡辺俊幸(わたなべとしゆき、66歳さんです。発売日の4月21日には、配信「さだ丼発売日だから生でさだまさし」でお二人のトークを楽しみました。最新の会報「まさしんぐWORLD」Vol.267には、アレンジャーの立場から、渡辺さんが全曲の解説をしておられ大変面白く読みました。

 このセルフカバーアルバムを抱えたツアーが、6月12日、埼玉・川口リリアメインホールから始まる予定です。今回のツアーでは、アルバムの楽曲全てを曲順どおりにやっちゃおうか、と宣言しておられます。米子コンベンションホール会場は9月9日の予定、楽しみです。しかし、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」も飛び出したコロナ禍の現状は予断を許しません。「今年6月からはいよいよ新しいコンサートツアーが始まります。会場への動員数が減りますと興行的には厳しいですが、どうにかして音楽の灯を守りたい。なかなかCDを買ってもらえず、コンサートもできない今、音楽家は非常に苦しい状況に置かれています。それでも、クオリティを下げず、今できる最高のものをやる。意地のような気持ちですが、きっと後になって頑張った意味がわかる日がくるだろう、と思っています。」さださんは力強い。下りのエスカレーターをあえて逆走して2階に上がろうとする、そんなさださんの挑戦を応援したいと思います。♥♥♥

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