「あと1マイル」

 レーズン」は、さだまさし(69歳)さんがデビューした時のギターデュオ「グレープ」を解散後、1991年に 吉田政美(よしだまさみ)さんとともにグレープ」として復活した際に、グレープ(ぶどう)が干からびてレーズン(干しブドウ)になったというジョークから、レーズン」というグループ名をつけました。その復活記念のアルバムが、『あの頃について~シーズン・オブ・レーズン~』です(写真上)。このアルバムには「祇園会」「糸電話」「夢しだれ」といった、私の好きな印象的な曲がいっぱい詰まっています。その中の1曲が、今回ご紹介する「あと1マイル」です。

 そもそも「グレープ」を結成したきっかけは、体調を崩し、病気療養のため大学を中退し故郷の長崎に帰っていたさださんの実家に、吉田政美さんが、キャバレー巡りのバンドの仕事を放棄し、長崎に転がりこんで来たのがきっかけです。グレープ」解散後は、レコード会社のプロデューサーとして活動していましたが、1991年、期間限定での「グレープ」復活となりました。さださんが、吉田さんのギターに惚れ込んでいたことは、トークや著書に書かれていますね。復活した時や、記念コンサートでゲスト出演した時などに、「グレープの頃より、上手くなって、ハモリなんかも出来て進化してる」と、吉田さんをいじり倒していました。当時から厚い信頼を置いている、唯一無二の存在だというのがひしひしと伝わってきます。その「グレープ」が、4月6日に東京国際フォーラム・ホールAで開催される「文化放送開局70周年記念公演」で復活します。武田鉄矢(72歳)さんがボーカルを務める海援隊や、南こうせつ(72歳)さんら同世代との共演も決まり、「ジョイントコンサートは生存確認みたいなもの。みんなが集まって、元気でステージに上がれるのがうれしい」と笑顔でユーモラスに喜びを表現しました。

 欲望と憎しみとを、この世の中から消し去ることができたなら、人は恐らく争わないですむのでしょう。生命はたった「ひとつ」です。その「ひとつ」を大切にするなら、「愛」という名の下で、戦争は断固否定されるべきです。さださんは広島に原爆の落ちた日に、長崎で無料コンサート「夏・長崎から」を20年続けることで、そのことを寡黙に訴えてきました(⇒このコンサートを辞めた理由についてはコチラに書きました)。2月26日(土)の「今夜も生でさだまさし」でさださんが歌ったのが「前夜」でした。日本・世界の問題を突き付けながら、I’m all right.と自分を納得させる歌詞。そんな自分が嫌だと思う心と現実。同じように悩む聞く人の心に寄り添う歌なのです。今日ご紹介する「あと1マイル」も、その延長線上に乗っかった歌でしょう。現在、ロシアウクライナに軍事侵攻するという許されない暴挙に出て、大規模な戦争となっていますが、一刻も早く停戦が実現して平和が戻ることを祈っています。

 戦場に行った彼からの手紙。銃弾に倒れた彼の場所は、味方まで1マイルの場所でした。彼女から贈られた時計は、日付がその日で止まっています。右下がりの特徴のある文字で綴られたあなたからの手紙が届いたのは、その知らせの1週間後のことでした。彼の手紙にはこんな風に綴られています。「(敵にむかって)誰があなたに撃てと命じたか?そんな風にお前を育てていない。母の声がいつも耳に残って、僕はいい兵士になれそうもない」と。

 あなたの手紙を読み終えた時は、戦いが終わった翌日でした。最後のページには、私(彼女)の名前が520回も綴られています。彼女は「あなたは誰のために戦ったのですか?私まで捨てて戦ったのですか?よその国では、若者たちは、素知らぬ顔で楽しそうに遊んでいるというのに。」「誰が撃てと命じたのか?そんな風に育てていないという母の声が残って、いい兵士になれそうもない」「最後のページには、私の名前が520も綴られているのに、あなたの手紙を何度読んでもあなたの声が聞こえない。」「あなたの愛がこんなにも綴られているのに、味方まであと1マイルだったのに」という、戦争の忌まわしい悲劇を綴っています。「誰があなたに撃てと命じたのか?そんな風に母は育てていない、と母の声が耳に残っていい兵士になれそうもない」という彼は、敵にどれだけ銃を向けていたのでしょうか?「やってはいけない、と分かっていても、追い詰められたらやってしまう」そんな弱い人間の心の真実をえぐって描いているのがこの歌です。戦争で追い詰められた時の心情を思うと、自分ならその命令にあらがえるのだろうか?平和で普通であれば、「やってはいけないこと」が、戦争となったらやってはいけないことではなくなってしまいます。「上から社会から、敵を倒すことが正しいことなんだ」と洗脳される状況だったら、行動してしまったとしても、何ら不思議はありません。私だって、あなただって、そんな状況に追い込まれたら、やってしまうかもしれない。そんなことを考えざるを得ない、誰にでも起こりうるそうした、人間の心理の闇を考えてしまう曲でした。それほど追い詰めるような状況を作り出してはいけない、冷静な判断がつかなくなるような社会にしてはいけないと強く感じました。

 この歌には、さださんが憧れの元「ハイファイセット」の歌姫・山本潤子(やまもとじゅんこ)さんがコーラスとして参加しています。2番の歌にさださんと潤子さんの澄み切ったジョイント・ハーモニーが楽しめます。存在感のある美しい歌声、大好きです。彼女の染み渡るような透明感あふれる歌声は、小田和正さんも絶賛されるものですが(1969年「ヤマハ・ライト・ミュージックコンテスト」で彼女の「赤い鳥」が1位。小田さんの「ジ・オフコース」は2位)、2014年に「声の不調」を理由に、音楽活動を無期限休止しておられ、復活が待たれます。♥♥♥

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