則本可哀想だった!でも初勝利

 初勝利が実に遠かった!プロ14年目の巨人・則本昂大(のりもとたかひろ)投手(35歳)が、5月13日、福井で行われた広島戦に、登録抹消を経て今季5試合目の先発登板。7回無失点のハイクオリティスタート(HQS=7回以上、自責点2以下)を達成しながらも、リリーフ陣が打たれ、今季の初勝利を逃しました。チームは延長12回、坂本勇人内野手が逆転サヨナラ3ランを放って、劇的な勝利に沸きましたが、SNS上では則本投手について「ついてないな~」「残念すぎる」「気の毒だな」と嘆く声が続出しました。

 初回を3者凡退に封じる絶好の立ち上がりを見せ、2回1死一、二塁のピンチにも冷静に後続を断ちました。今季最多の99球を投げ、7回まで5安打7奪三振無四球で無失点の力投。1-0と1点のリードを保って、楽天時代の2025年4月27日ソフトバンク戦以来381日ぶりとなる勝利投手の権利を持ったまま、救援陣に後を託しました。しかし8回、2番手の大勢投手が1死から大盛に痛恨の右越え同点ソロを被弾し、則本投手の移籍後初勝利は、この時点で消滅しました。それでも、後続を抑えてうつむいてベンチに戻る大勢投手を、優しく右肩を叩いて気丈に出迎えたのは、本人が抑えの難しさを誰よりも知っているからでしょう。「先発の1試合に懸ける思い。先発の勝ちを絶対消しちゃいけないと思うリリーフの気持ち。両方分かるから。中継ぎが打たれてもアイツらが積み上げてきたものがなくなるわけじゃない」チームは延長12回の末に劇的な逆転サヨナラ勝ち。最後に則本投手が笑顔だったのは救いでした。さらに9回の守備中には、ベンチ最前列でうなだれる大勢投手の横に立ち、声を掛けるシーンも映し出され、ジーンときました。まさに彼の人柄・人間性が表れるシーンでした。宿舎に帰ってからその夜、大勢投手をサウナに誘った則本投手「切り替えて、次にやり返せばいい」と声を掛けてくれ、救われたといいます。

 楽天でエース、守護神として活躍した35歳右腕は昨季、主に救援陣の一角を担って自己最多56試合に登板。巨人にFA移籍した今季は先発に再転向し、開幕からずっと好投を続けています。移籍後初登板となった4月2日の中日戦(バンテリンドーム)は7回2失点とHQSを達成も、打線の援護に恵まれず敗戦投手。同14日の阪神戦(甲子園)は6回無失点で2-0とリードした状況で降板するも、救援陣が打たれて白星をつかむことができませんでした。4月21日の中日戦(長野)も5回1失点と好投。だが、則本投手がマウンドにいる間に援護ができず、最終的にチームは勝ったものの、またも白星はお預けとなりました。前回の4月28日の広島戦(東京ドーム)は5回6失点で2敗目。その試合も則本投手が登板中は打線が無得点でした。この日を含めて、則本投手の登板時の打線は32イニングでわずか3得点。救援陣が則本投手の白星を消したのは2度目ですが、それ以上に打線の援護不足を指摘する声も多く聞かれます。5月26日のソフトバンク戦では、4回で3本塁打を浴び、7失点と打ち込まれました。5月までに6試合に登板して勝ち星なしの3敗目。

 ファンたちは「不憫だわ」「メッチャかわいそう」「もう悲しいよ!」「いつになったら勝ちがつくの?」「またしても移籍後初勝利はお預け」「なんでこんなに勝ちが消されてしまうのだろう?」「勝ちつけたかった」とコメント。「援護なさすぎ」「1点止まりの打線も悪い」「ほんとごめんよ」と謝罪の声もありました。則本投手の援護イニングが32回ありましたが、援護はわずか3点だけ。18安打しか打てていなく、打線の奮起でぜひ白星を贈りたいところです。好投しながらも白星に届きませんでしたが、「勝ちたいけど、僕自身がどうこうしたところで、という感じもする」「勝つためには自分の仕事をちゃんとしないといけない。相手打線にはつながらせないようにしたい」

 さて、6月2日(火)オリックス戦(通算120勝のうち28勝がオリックス戦と相性抜群!)に登板した則本投手。2点は取られましたが、「何とか則本さんを勝たせたい!」というチームメンバーの熱い思いが、数々のファインプレーにつながり(特に坂本選手のスーパープレイはすごかった)、ようやく初勝利を収めました。よかった、よかった!ヒーローインタビューでは「最高でーす!」と絶叫。初回から大ピンチを迎えた登板を振り返ると、「立ち上がりはどうしようかなと思って、ストライクが入らなくて、マウンドを降りようと思ったんですけど」と球場を笑わせました。「早く勝って『則本に初勝利を』というチームメイトの重圧を解き放ちたかった〔笑〕」則本投手の巨人1勝目への執念で全員が一丸となって見事に1点差を守り抜きました。前カードの日本ハム戦で、井上(◎)西舘(◎)竹丸(×)の力投を目の当たりにして「若い投手が頑張っているので、そこに負けないように。竹ちゃんも西舘も温大も粘りながら試合を作っている。そういう姿勢を見ると、自分も頑張らないといけないな」と若手に刺激を受けながら、ベテラン投手は懸命に腕を振りました。「苦しい2ヶ月ぐらいだったが、今日からガンガン勝っていきたい」最後に腹をくくることができた背景には、元巨人・菅野智之の存在があったと言います。オフには食事の席や電話で何度も相談に乗ってもらいました。海の向こうで日米150勝を達成した「菅野さんが帰ってくる時まで、バリバリやってきます」と約束して、ユニフォームに袖を通しています。

 ちょっといい話を聞きました。彼には楽天在籍時代から「自分の中での決まり事」としていることがあります。同僚投手のプロ初勝利を祝して、20万円以上もする「RIMOWA」の高級スーツケースを贈っているのです。「自分では手を出しづらいけど、人にもらったらうれしいモノ」として、移動日の際に重宝するスーツケースを、後輩のために時間を作り、店舗まで足を運んで選んでいるアニキ肌です。巨人でもルーキーの竹丸投手や3年目の又木投手がいただいています。古巣時代には、「スーツケースおじさん」と呼ばれることもありました〔笑〕。「いつか自分がしてあげたいと思える後輩ができた時になにかしらやってもらえたら」と語って、見返りは一切求めません。♥♥♥

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