ジョニー広瀬さん、亡くなる

 関西のマジック界の大御所マジシャンであるジョニー広瀬さんが、白血病のためにお亡くなりになりました。満75歳でした。ご冥福をお祈りします。 ジョニー広瀬さんは、13年のデパートでのディーラー生活を経て、プロに転向され、ステージ・マジックからテーブル・マジックまで幅広いレパートリーを持っておられました。その独創性に富むマジックは海外のファンも多く、2002年「ハンガリー国際サーカスフェスティバル」では、日本を代表してゲストパフォーマーとして出演して、「ハンガリー特別賞」を受賞されました。イリュージョン・マジック界では、 「ジョニー広瀬&霞」として、妻のさんと一緒に活動。 近年は体調を崩し、舞台での活躍は少なくなっていましたが、関西マジック界の重鎮(「西のジョニー広瀬、東のMr.マリック」)として、多くのマジック仲間から慕われていました。2017年2月に「なんばグランド花月」で開催された「舶来寄席2017winter」に、演出としてマジック指導をしたのが最後の舞台でした。2022年に、マジシャンになったきっかけや代表的なマジック解説などを記した『ジョニー広瀬 奇術人生55年』(フレンチドロップ、3,000円)を出版。近年は体調を崩し、舞台での活躍は少なくなっていましたが、関西マジック界の重鎮として、多くのマジック仲間から慕われていました。大御所のMr.マリック「今夏ほど諸行無常を感じざるを得ません」と切り出し、「8月12日大先輩の松旭斎すみえ師匠、8月26日大親友のジョニー広瀬師が永眠されました。ご冥福をお祈りいたします」。奇術師仲間の相次ぐ訃報に思いを綴っておられました。

▲ジョニー広瀬さんの奇術人生と代表作品を綴った本

 最後に発売された巨匠・ジョニー広瀬のオリジナル・コインボックスの手順です。穴の開いたコインボックスに1枚のコインを入れます(ハーフダラーまたは500円玉)。グラスの口にカードを1枚乗せ、その上に先ほどのコインボックスを乗せます。小さな真鍮製のウォンドで穴をつつくと、ボックスとカードを貫通して、コインがチャリーンとグラスに落ちて来ます。ボックスを確認すると中は空っぽです。ここまでは正常で、異常なのはここからです。もう一度同じようにコインボックスをセットし、ウォンドで穴をつつくと、今度はコインは落ちずに、ウォンド自体がコインとカードを貫通してグラスに落ちてきます。カードには穴が開いていないことが見せられますし、ボックスにはコインがちゃんと入ったままです。日々店先に現れるマニアの意表を突きたい。だましたい。一泡吹かせたい。そんな高い熱量で創作された「マニア殺し」の一品です。途中までは既存手順のように進み、最後の最後にドンデン返しで裏切ります。コインボックスに精通した人ほど意外性が強く認識され、その発想に驚くしかありません。「フレンチドロップ」店主の庄野氏は、ジョニー広瀬氏の「奇術人生55年出版記念パーティー」でこれを演じ、好評を博しました。まずはそのライブの様子をフルでお楽しみください。バカウケすることは2人の巨匠が証明済みです。

 フレンチドロップ社の新製品です。上記解説のとおり、古典的(スタンダード)なコインボックスの手順をオーソドックスに一通り演じてみせてから、さらにもう一度それを繰り返そうとするときに予想外の展開となる、という、マニアをも油断させて引っかけてやろうという手順です。「クラシカルな演技」プラス「意外性」、ということで、マニアでない一般の観客に見せても良い手順だと思います。とても良い手順です。

 スタンダードな手順の部分も、動画できちんと詳しく解説してくださいますので、コインボックス初心者の方のための教材としても優れているのではないかと思います。そして「日本式」とも言われるフタと底に小さな穴のあいたオキトボックスは、オールドファンにとっては懐かしく、一部の方にとっては新鮮かもしれません。底の部分が重く作ってあり、ファイナルターンオーバーなども非常にやりやすくなっている(してある)点は、さすがです。真鍮製のウォンドも玄人好みの道具です。ジョニー広瀬氏の素晴らしい手順にまず価値があり、加えて基礎用具としてもクォリティの高い仕上がり、そして充実した解説付きという非の打ちどころのない逸品です。ぜひ実践活用に、またコレクションに加えるとよいでしょう。なお、コインは付いていません。ハーフダラーサイズですが、日本の500円玉でも演じることができます。♠♣♥♦

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