新幹線プロレス

 東京のプロレス団体「DDTプロレス」が9月18日、東京―名古屋間を疾走する午後1時9分東京駅発の東海道新幹線「のぞみ」371号の16号車内で、プロレスの試合を開催しました。狭い通路で繰り広げられた技や攻防の数々に、観客は大盛り上がりでした。あの時速285㎞で疾走する新幹線の中での試合ですよ。あまり報じられなかったので取り上げてみました。

走行する東海道新幹線の車内で行われた「新幹線プロレス」=JR東海提供▲ 走行する東海道新幹線の車内で行われた「新幹線プロレス」=写真:JR東海

 試合は、新幹線の車両を1両単位で貸し切りにできるJR東海「新幹線貸切車両パッケージ」を活用しました。JR東海が需要喚起を目的に昨年12月から本格的に販売を開始。液晶モニターやレッドカーペットなど多彩なオプションサービスも用意されており、これまで企業による新商品発表会などで利用されてきました。DDTではこれまでも書店や工場、キャンプ場などリングのない場所で試合をした経験があり、「新幹線でできたら面白い」と考えて企画したと言います。用意された75席の観覧チケットは、発売からわずか30分で完売しました。最高時速285キロの車内で、対戦した鈴木みのる選手高木三四郎選手は、新幹線に負けじと次々に素早い技を繰り出し、所狭しと30分を超える熱戦の末、鈴木選手が勝利を収めました。

 同団体が得意とする路上プロレスの一環で、今回は東京駅午後1時9分発の東海道新幹線「のぞみ371号」の車内で、鈴木みのる(55歳)高木三四郎(53歳)がシングルで対戦。最初の停車駅、品川で高木が入場すると、車内は大歓声に包まれました。ところが、そこにはなぜか対戦相手のみのるの姿がありません。列車はそのまま西へと進み、新横浜駅へ。ここで入場テーマ曲「風になれ」が流れ、ようやくみのるが登場しました。かつて激闘を繰り広げた2人による因縁のワンマッチは、特別ルールでの開催です。「走行中に座席は回転させない」「車両の設備を壊さない」というものです。しかし、観客が荷棚に置いていた日傘を使う“反則技”も登場しました。

 75人の乗客&観客が詰めかけた車内の通路では、所狭しと2人が攻防を展開しました。高木が電車道ならぬ〝新幹線道〟を仕掛けると、みのるは最高速度285キロののぞみで115キロのパンチを放つ、「400キロパンチ」を決めて応戦です。さらにその後、高木が助っ人として正田壮史を呼び込むと、対抗したみのる佐藤光留を投入。ここまでのメンツを聞いただけで想像できると思いますが、とにかくハチャメチャな展開となりました。その後も男色ディーノが、東海道新幹線では10月末で終了する「車内販売員」として登場すると、なぜかコスチューム姿の秋山準も試合に介入。偶然同じ新幹線に乗っていた(?)という〝平成のテロリスト〟村上和成にいたっては、「うるせえんだよ!」とクレームをつけにやってきました。しかも切符の確認に車内を回ってきた車掌さんは、何と鉄人・小橋建太です。「お前こそ何やってんだ?」と、もっともな突っ込みを入れてきたみのるに逆水平チョップを叩き込みます。最後までカオスな空気に包まれながらも、高木のラリアートをかわしたみのるが、スリーパーホールドからの必殺技・ゴッチ式パイルドライバーで通路に脳天から突き刺し勝利。37分29秒の戦いを制しました。

 みのる「あれはずるいな。サイバーファイトの陰謀だ。金使いやがって。俺なんか佐藤しか呼べなかった」小橋の登場に文句を言いつつも、「新幹線だろうがどこだろうが、俺に勝てるわけねえんだよ。月面だろうが無人島だろうが。次、どこを用意するんだ? 富士山の火口でもいいぞ。新幹線の次はリニア開通記念、やろうよ。世界最速。次は国も巻き込んでやろう」と早くも次なる戦いへヤル気満々です。

 一方の負けた高木は、「こんなに揺れるとは思わなかった…」としつつ(小田原を越えたあたりからカーブも多くすごく揺れる)、JR東海に感謝を述べました。ただし、2017年6月の東京ドーム路上プロレスに続き、2018年8月の日本武道館大会、みのるにシングル戦3連敗を喫したのは事実。「これはまだまだ続くよ。俺が勝つまでは、鈴木みのるを超えるまでは引退できません。次はもっとすごい場所を用意するから」とリベンジの炎を燃やしています。DDTの大社長「北陸新幹線、東北新幹線、山陽新幹線、九州新幹線とかすべての新幹線を使ったジャパンツアーをやって、世界中に日本のプロレスの素晴らしさと、日本の新幹線っていう技術力の素晴らしさをアピールしていきたい」と明かします。

 あ、そうそう、10月1日には山形県南部を走行する山形鉄道フラワー長井線でも、走行中の車内の通路をリングに見立ててプロレスが行われ、プロレスラー14人が激闘を繰り広げました。目の前で繰り出される技、飛び散る汗、息遣い、のどかな風景を走る列車内は観客の手拍子と熱狂に包まれました。2015年に始まり、コロナ禍で4年ぶり6回目の開催でした。♥♥♥

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