アイカサ

 日本で年間に消費される傘の本数は1億2,000万~3,000万本(日本洋傘振興協議会調べ)、そのうち約6割にあたる約8,000万本がビニール傘だとも言われています。気軽に購入できる分、紛失したり壊れたりしても、特に気にしない人も多いのではないでしょうか。そこに商機を見いだした企業が飛躍的に成長して注目を集めています。Nature Innovation Group(東京都渋谷区)が運営する、傘のシェアリングサービス「アイカサ」です。「アイカサ」は「傘を借りる」という新たな選択肢を提案しています。

 「アイカサ」は、2018年12月にサービスを開始。傘はスマホのアプリで借ります。アプリ内の地図で最寄りのスポットを探して、傘立てにあるQRコードを読み込んでロックを解除して傘を借ります。傘は同じ場所に返却する必要はなく、返したいときに近い場所にあるスポットに返すことができます。サービス開始から約4年で、駅やオフィスビルなど約12,000カ所以上で展開しています。現在15都道府県で展開し、東京・横浜・大宮・千葉・名古屋・岐阜・奈良・大阪・神戸・奈良・岡山・水戸・福岡・佐賀・札幌でサービスを導入しています。累計登録ユーザー数は合計45万人以上となっています。傘の返却率は99.5%とのこと。

 サービスを開始したのは、中国で始まっていた傘のシェアリングサービスに、同社の丸川照司社長が着目したことがきっかけです。日本でも自転車のシェアリングサービスなどが定着し始めてきましたが、「自転車よりも傘のニーズが高いのでは」と、2018年にNature Innovation Groupを設立、サービスの提供を開始しました。日本洋傘振興協議会によると、日本では年間約1億2,000万~3,000万本の傘が消費されています。サレジオ⼯業⾼等専⾨学校 デザイン学科 価値創造研究室によると、そのうち6,000~8,000万本がビニール製の使い捨て傘です。ビニール傘購入の主な理由は「突発的な雨」であり、この問題を解決する行動の一つが、駅・オフィス・街中で傘のシェアリングサービス「アイカサ」を利用することにあります。同プロジェクトでは、傘のシェアリングで2030年までに使い捨て傘ゼロを⽬指し、傘シェアを導⼊・推進していきます。シェアリング傘を利⽤することで、傘を使い捨てない⾏動が当たり前になるよう、⾝の回りのステークホルダーから「アイカサ」の利⽤を促進していく仕組みを構築したとしています。傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営する株式会社Nature Innovation Groupは去る5月31日、使い捨て傘ごみ削減を⽬指す「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」を⼤⼿企業8社と共同で⽴ち上げました。

同プロジェクトの取り組み内容は、以下のとおりです。

  • 各参画企業とオリジナルの傘を製作し、傘の製造本数と使いたくなる傘を増やす。

  • 参画企業の従業員は、アイカサを無料で利⽤できる。

  • 参画企業の顧客やステークホルダーが無料で使えるクーポンを発⾏する。

  • 参画企業にアイカサスポットを設置する。

参画企業8社は、旭化成ホームプロダクツ株式会社、NOK株式会社、⼤阪ガス株式会社(Daigasグループ)、サントリーホールディングス株式会社、第⼀⽣命保険株式会社、100BANCH(パナソニックグループ主催)、株式会社丸井グループ、Rethink PROJECTです。「アイカサ」は今後、参画企業の募集を周知し、傘のシェアを推進していく意向です。今後、さらに多くの企業が参画し、同プロジェクトを共同展開していくことで、使い捨て傘ごみが削減されていくことが大幅に期待されます。

▲初めて目にしたときは70円でした

 私が初めてこのサービスを目にしたのは、東京の山手線「高輪ゲートウェイ駅」でした。当時は1本借りると24時間70円でした(写真上)。面白いサービスだなと思い、写真に撮った記憶があります。現在の料金は、24時間110円のプランと、月280円で使い放題の2種類があります。同時にレンタルできるのは2本までです。傘は布製の特注品で強い風雨に耐えられる強度を持っており、最近では日傘のニーズも高いといいます。傘の布部分に企業広告を掲載することなどで、手頃な料金を実現しており、週1回は傘の清掃を行うなど衛生面にも配慮しています。傘の耐久性にもこだわり、2年以上問題なく多くの人が使用でき、経済効果を高めるべく、骨が折れた場合は骨を取り替えるなど、何度も修理することで傘を長寿命化させています。2021年、環境省主催の「グッドライフアワード」「環境⼤⾂賞ユース部⾨」を受賞しています。「すきま産業」の模範的な例と言えるでしょう。♥♥♥

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