審判はスゴイ!

 日本シリーズは阪神が4勝3敗で日本一になりましたね(勝因は最後に)。この日本シリーズ第2戦で面白いプレーがありました。問題のプレーは1回裏の阪神の守備。1死一塁からオリックス3番・の打球は一塁線へのゴロとなり、一塁ベースについていた大山悠輔内野手は少し前に出て捕球、素早くさばいてゲッツーにしたかと思われましたが、一塁塁審の福家審判はファウルとジャッジをしていました。一方で、球審の市川審判はフェアとジャッジしているようにも見える動きをしていました。球審と一塁塁審の判定が正反対に食い違っていたのです。阪神側からすれば3-6-3の併殺打となるはずだったのです。通常、ベース手前の判定の優先権は球審にあります。これは私も知っていました。

 ただちにプレーは中断され、審判員が集まって協議しました。その結果、責任審判で左翼担当だった嶋田審判から「ただ今の打球の判定について協議した結果、ファウルとして再開いたします」と場内アナウンスで説明がなされました。血相を変えて飛び出した岡田監督は、嶋田審判に歩み寄って説明を求めました。明らかに表情は怒気をはらんでおり、市川球審に詰め寄ろうとしましたが、嶋田塁審に制されました。憤慨の表情で約2分間食らい付いた後、あきらめてベンチに引き下がりました。

 試合後、岡田監督は審判からの説明について「協議するんやてな、一塁の塁審と。審判団で協議したとか言うとった。(嶋田審判に)レフトから見れるんか、言うたんやけどな…」と説明しました。「そんなルールあった?ベースまでは主審の判断ちゃうんか?そんなん協議のルールなんか知らんよ。シリーズやからなんにも言わんかったけど。初めて聞いたわ。審判の協議でフェア、ファウルを決めるんやて。そんなルール、オレも初めて聞いた」

 岡田監督の言う通り、本来ベースまでの打球のフェア、ファウルは球審が判断することになっています。しかし、公認野球規則の8・04(c)には、以下の条文も付け加えられており、複数の審判員が異なった裁定を下した場合に関しての取り決めがちゃんとあるのです。

 一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーを交えず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決にあたるようにリーグ会長から選任された審判員)が、最適の位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったのかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する。このようにして、決定された裁定は最終のものであり、初めから一つの裁定が下された場合と同様に、試合は続行されなければならない。

 今回のケースでも、審判員はこの規則に忠実に従って協議し、ファウルという最終判断がくだり、試合が再開されたのです。長い間野球界に席を置いているベテラン監督の岡田監督でさえ知らなかったというルールを審判はきちんと把握していて、的確に判断を下しました。やはりプロの審判はすごい!!勉強になりました。♥♥♥

◎阪神の勝った理由とは?

【阪神の勝因】 選手を信頼して「動かなかった」ことが何よりの勝因です。野手はDH以外は7試合同じメンバーで臨んだ阪神に対して、猫の目打線で毎試合メンバーをころころと代えたオリックスと対照的でした。どんなに打てなくても、選手を信頼して、鉄壁の投手陣を中心とした「守りの野球」を貫き、岡田監督は打線を動かしませんでした。シーズン中と全く同じ姿勢です。「動かずに勝つ」が最大の勝因でした(ついに言っておけば、動けば動くほど支持率が落ちていく岸田総理とは対照的です)。3勝3敗で迎えた最後の大一番で先発マウンドを託されたのは、昨期の投手三冠・青柳でした。今年はエースとして開幕投手を務めましたが、絶不調で二軍落ちも経験し、8勝6敗。防御率は4.57と安定感を欠き、クライマックスシリーズでは出番がなかった6番手扱いの投手でした。重圧のかかる一戦で見事に役目を果たしました。岡田監督「僕で始まったので僕で終われと。楽しんで、攻めるところはしっかりと攻めろ」と直接励ましました。意気に感じた青柳は期待に応えました。短期決戦で選手たちを奮い立たせての勝利でした。どんな組織でもそうですが、部下をやる気にさせるリーダーは強いのです。

 それともう一つ。3年連続Bクラスの2012年9月25日、指揮を執るつもりで到着した京セラドームで短い文章を見せられ、たった2分間で岡田監督はオリックスを解任されました。「紙切れ1枚でクビ」と屈辱を表現しました。あれから11年。因縁の古巣との決戦が決まると「紙切れ、持ってたろか」と、悔しさを胸の内に冗談を発しました。男の意地があります。

【補遺】 野球ファンとして気になったことを二つばかり挙げておきましょう。

①「サザエさんの法則」にも打ち勝った!

 日本シリーズでは、フジテレビ系が試合を中継してアニメ番組「サザエさん」(日曜午後6時30分)が放送休止になると、直近5シリーズ全てでパ・リーグ球団が日本一になる法則がありました。阪神はこれも打ち破りました。「サザエさんの法則」は、フジテレビ局内や野球、「サザエさん」双方のファンの間で知られています。フジ系が日本シリーズの日曜の試合を中継し、「サザエさん」が放送休止になった2010、2016~2018、2022年の直近5シリーズは全て最終的にパ球団が日本一に輝いている――という内容です。過去9回を検証してみると、2009年の巨人を除く8回も、パリーグが日本一となっているのです。

 ①10年11月7日(日)午後6時から第7戦を中継(平均世帯視聴率20・6%)。ロッテが中日に対戦成績4勝2敗1分けで日本一。

 ②16年10月23日(日)午後6時30分から第2戦を中継(同13・8%)。日本ハムが広島に4勝2敗で日本一。

 ③17年10月29日(日)午後6時30分から第2戦を中継(同11・2%)。ソフトバンクがDeNAに4勝2敗で日本一。

 ④18年10月28日(日)午後6時30分から第2戦を中継(同9・8%)。ソフトバンクが広島に4勝1敗1分けで日本一。

 ⑤22年10月30日(日)午後6時30分から第7戦を中継(同13・4%)。オリックスがヤクルトに4勝2敗1分けで日本一。

 阪神は38年ぶりの日本一になると同時に、「サザエさんの法則」すらも打ち破って、日本一をつかみ取ったのです。♦♦♦

②エラーが多すぎる! 

 今シリーズはエラーが多すぎる印象です。阪神の失策数は0→3→1→1→3で計8個。オリックスは1→0→0→3→2→1で計7個。その大半が失点に結びつくという大事な場面でのエラーが多かった気がします。1点を争う緊迫のゲームで、ただでさえ緊張する日本シリーズですから、さらにプレッシャーがかかる展開の中で、信じられないようなエラーが生まれたのでしょう。しかしこれだけは言っておかねばなりません。シーズン中には、阪神のエラー数は85でリーグワーストでした。やはり練習でできないことは本番でもできないのだ、という基本を忘れてはなりません。♠♠♠

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