weekendと週末

 塩田雄大『変わる日本語、それでも変わらない日本語』(世界文化社、2023年4月)という面白い本があります。その中に、日本語の「週末」という語がいつ頃を指すのかという記述があります。みなさんは「週末」と聞いて、いつを思い浮かべますか?

(Q)金曜日は、「週末」に含まれるのでしょうか。また、日曜日はどうでしょうか。

(A)「週末」が具体的に何曜日のことを指すと考えるのかは、人によってかなり異なります。そのため、厳密さ・正確さが求められるような場合には、「週末」ではなく別の言い方をすることも考えてみたほうがよいでしょう。

<解説>

まず、『NHKことばのハンドブック(第2版)』(2005年)の「週末」の項(p.100)では、このように示しています。

「週末」は、指す範囲があいまいなので、注意する。

  1. 土曜日

  2. 土曜日と日曜日

  3. 金曜日の夜から月曜日の朝まで

「週末」が実際にはどのように解釈されているかについては1999年に全国調査をおこなったことがあるのですが、2018年にあらためて調査してみました。

まず全体の結果(図1)を見てみると、「週末」は「土曜日と日曜日」を指すという回答が半数近くを占めて主流派になってはいますが、ほかの回答も決して少なくありません。「週末」の解釈は一様ではないことがわかります。

またこれらの回答を整理して、「金曜日は『週末』に含まれる〔=金曜日のみ+金曜日と土曜日+金曜日の夜から日曜日の夜まで〕」「日曜日は『週末』に含まれる〔=土曜日と日曜日+日曜日のみ+金曜日の夜から日曜日の夜まで〕」という形にまとめ、それを年代別・男女別に見てみると(図2)、こんな違いが表れてきます。

▼全体として高齢層では、金曜日および日曜日が「週末」に含まれるという人が、それぞれ必ずしも多くない(「含まれる」の線が、いずれもゆるやかな右肩下がりになっている)

▼男性は金曜日を「週末」に含める傾向が強く、女性は日曜日を「週末」に含める傾向が強い

日曜日を「週末」に含めないという考え方もあるのは、特に若い人たちにとっては意外に感じられるかもしれません。しかし、たとえば1週間の始まりを日曜日だととらえた場合には、日曜日は「週末」ではないことになるのです。

最後にとっておきのアドバイスを一つ、スーパーの「週末セール」は、金曜や日曜でも安いのかを、必ず確認してから行くようにしましょう。

 「週末」がいつを指すのかは人によって感覚がかなり異なるので注意が必要です。上の本の記述にもかかわらず、元々はカレンダー上の休みである日曜日と休みや半休になることが多い土曜日を指すという解釈が主流でしたが、現在は明日から休みになるという意味で金曜日の夜を含むという解釈も増えています。私の語感でも「週末」=「金曜日夜~日曜日夜」です。

 それでは英語では、weekendという語を聞いて、ネイティブスピーカーたちはいつ頃を思い浮かべるのでしょうか?そんなことを興味を持って若い頃に調べたことがあります。「通例土・日を指すが、金曜の夜を含むこともある」「通例金曜日の夜から日曜日までをいう」「通例土曜日と日曜日、ときには金曜日の夜から日曜日の夜まで」「通例土曜日と日曜日、ときに金曜日の夜から月曜日の朝までをいう」「土曜日と日曜日、金曜日の仕事が終わった夜から月曜日の仕事を始めるまでをさすこともある」「通例、金曜日の夜または土曜日から月曜日の朝まで」と、英和辞典も若干の食い違いを見せています。果たして月曜日は含まれるのでしょうか?アルジオ博士(John Algeo)にお願いして、米国・ジョージア大学でインフォーマント調査をしていただきました。「アトランタに“the whole weekend”いた」と言ったときに、アトランタにいた日を○で囲め」という指示をして回答していただきました。その結果得られたのが次のような数字でした。

◎金曜日⇒土曜日⇒日曜日        40人
◎土曜日⇒日曜日             8人
◎金曜日⇒土曜日⇒日曜日⇒月曜日     1人
◎金曜日⇒土曜日             1人
◎金曜日                 1人

 ここから分かることは、月曜日の可能性もないわけではないが、実際には非常に低いものと推察されます。このような調査結果を踏まえた上で、『ライトハウス英和辞典』(研究社)では、「土曜日(または金曜日の夜)から日曜日の夜まで」としたわけです。♥♥♥ 

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