最後まで解けない

 「共通テストリーディング」で、受験生を指導していて、彼らの最大の悩みというのは、最後まで読み切ることができず、途中で80分の時間切れとなっていることです。私が教えている浪人生でさえ苦労しているのですから、ましてや現役生はなおさらでしょう。最後まで行かない!ということが深刻な問題となっているのです。

 「共通テスト リーディング」の指導をしてきて、生徒たちの最も大きな悩みは、圧倒的に「最後まで行かない!」という、「時間不足」問題なんです。最後の第6問をやっている途中で、制限時間の80分が切れてしまうのです。当然のことながら、高得点は取れませんね。特に現役生に、この傾向が顕著に見られます。4月から徹底指導してきて、最近では何とか最後まで読み切ることができるようになってきて得点率も向上してきました。その原因の大きなものは四つあると観察しています。

 一つは「語彙力不足」です。英文を読む際に、知らない単語が出てきたら目線がそこで止まってしまいますね。知らない単語の度に立ち止まっていたら、どうしても読むスピードは落ちてしまいます。「2秒」で反応できなければその単語を覚えていることにはならない(「2秒ルール」)、というのが私の持論です。私は浪人生たちに、『LEAP』(数研出版)『英単語の語源図鑑』(かんき出版)の2冊を用いて、今まで学習してきた語彙の上に、積み上げを図っています。今までに学習した単語群を、ネットワークで繋げてやることで一層の定着を図り、語源を利用することで応用力を高めています。私は毎時間、口頭で単語の確認試験を行っているんです(⇒私の単語指導実践の詳しい解説はコチラをご覧ください)。「共通テスト」になってから、ずいぶんと試験の総語数が増えていることを知ると、最後まで行かないのは当然と言わねばなりません。読解によりスピード感が求められています。語彙力の強化は本番当日まで手を抜いてはなりません。

▲センター試験時代・・・・・総語数約3,000~4,000語

▲共通テスト2021年・・・総語数5,521語

▲共通テスト2022年・・・総語数6,013語

共通テスト2023年・・・総語数6,130語

 二番目が「基本的な文法力」です。仮定法・助動詞・分詞・不定詞・動名詞・時制(特に過去完了)などの基礎的な文法が定着していないので、正確に英文を読み解くことができないのです。センター試験時代のように「文法問題」は出ないから、文法はやらなくてよい、とは決してならないのです。ここを間違えてはいけません。

 三番目が「問題形式への慣れ不足」です。今までの「センター試験」と異なり、複数の情報を統合して答える問題がありますから、これに慣れておく必要があるのです。「事実」と「意見」の区別問題、時系列に並べる問題、タイトル付け・要約の問題、複数解答の問題、複数箇所を根拠に答える問題、推測して答える問題など、「共通テスト」特有の出題が見られます。『共通テスト2025重要問題演習リーディング』(ラーンズ)に付属している「ナビゲータ-」冊子を使って、大問の特徴と迫り方・解き方を押さえた上で、演習を積み上げると良いでしょう。なお来春から始まる新課程で新たに取り上げられると予想される「試作問題」の解き方も先取りして解説しています。 現時点でここまで踏み込んで解説している教材は、この本だけです。

 四番目は「時間配分の意識の希薄さ」です。「センター試験」の時よりも少なくとも長文2題分は分量が増えているのですから、スピード感を持って読まないと最後までは終わりません。それには各大問をおよそ何分くらいで処理すればよいかを、大雑把に頭に入れておく必要があると思います。全体のペース配分が重要なんです。個人差はあると思いますが、大雑把に次のような時間配分で順に解いていくと良いと思います。私は授業では大問ごとにタイマーをかけて、演習を進めています。日頃の演習や模擬試験などで、時間意識(タイムマネジメント)を磨いておく必要があるのです。

【解答時間の目安】 ※この順に解いていく。第3問までを何とか30分で終える
第1問     8分
第2問    13分
第3問    10分
第4問    13分
第5問    14分
第6問    22分

 さらに厄介なことには、「共通テスト」の問題は、センター試験時代と異なり、問1が易しく問5に進むにつれて徐々に難易度が上がっていく、というふうにはなっていません。問1が一番難しく、問5の方が割と簡単だったということもざらにあります(私は出題者が意図的にやっていると思っています)。こうなると問1に深入りして時間を使い過ぎると、最後の方にしわ寄せがきてしまいます。例えば、今年(2023年)の「共通テスト」リーディングの第1問の正答率を見てみましょう(大学入試センター公表)。「ぐちゃぐちゃぶり」が読み取れると思います。順番にこだわることなく、できる問題から解いていけばよいのです。ただしここで、うっかりするとマークの順番を間違えてしまい、問題番号が狂ってしまうことがありますから要注意です。

   第1問A 問1 44.8%    第4問 問1 53.6%
        問2 69.4%        問2 53.9%
   第1問B 問1 64.1%        問3 48.3% 
        問2 51.5%           45.6%
        問3 86.5%        問4 52.1%
                        問5 75.7%

 「センター試験」の時代は、予備校などでは「大問を解く順番を変えれば何とかなる」などという小手先のテクニックがアドバイスされたこともありました。今でもそんなことを平気で言う人がいますが、「共通テスト」ではそんな姑息なやり方は一切通用しません。読む絶対量が大幅に増えていますから(センター試験時代の約2倍)、今述べた四つのポイントを克服しない限り、最後まで行くことはないでしょう。「英語がきちんと読めていれば解ける」という基本的な姿勢を忘れずに対策をすることが大切(「原文典拠の法則」「同一内容異表現の法則」)ですが、その際にも、「語彙力増強」、「基本的文法力の確認」「問題形式への慣れ」、「時間配分の意識」、この四つがポイントになってくると思います。♥♥♥

▲八幡の「オンライン講演」の資料より

 

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