松下幸之助の人間観察

 上甲晃先生(じょうこうあきら、松下電器産業→松下政経塾→志ネットワーク松下政経塾の面接試験に立ち会われたときのことです。面接を受ける人がドアをノックして入って来る時に、他の試験官たちはどんな人が入ってくるのかと一斉に見るのですが、松下幸之助さんだけは見ようとせずに、手元の資料を見ていました。そして、面接が終了して出て行く時に、他の試験官たちは皆点数を付けるために下を向いているのに、松下さんだけはじーっと出て行く姿を見つめていました。上甲先生は不思議だなと思いました。最初は歳を取ってタイミングがズレ始めたのかと思ったんですが、機会があってそのことを聞いてみました。すると松下さんは、「人間は皆、入って来る時には他所(よそ)行きや。出て行く時に普段の姿が表れるんや」と言いました。確かに、入ってくる時は皆「よろしくお願いします」ときちんと頭を下げる。けれども出て行く時は、試験官に一瞥もくれない人もいれば、きちんと礼儀正しく頭を下げていく人もいます。なるほど、松下幸之助の言う通りだと思わず唸ったと言います。必ずどこかに見ている人はいるのです。

 会社に入社する時には、皆「よろしくお願いします」と殊勝な挨拶をして入って来ますが、辞める時には不満をぶちまけたり、自分の私物も片付けずに行ってしまう様な人もいます。あるホテルの支配人のお話によれば、チェックインする時はよそ行きだけれども、チェックアウトした後の部屋を見ればその人の人柄が分かると。人間の本性は後ろ姿に表れるということです。この話を聞いてから、ホテルの部屋をチェックアウトして出る時には、きれいにしておくように心がけています。♥♥♥

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