「坊ちゃん列車」

 伊予鉄道(松山市)の観光列車「坊っちゃん列車」が運転士不足を理由に、2023年11月1日から当面の間、全便を運休しています。「坊っちゃん列車」は1888年~1954年に走っていた伊予鉄のSLをモチーフに、2001年に半世紀ぶりに復活させたディーゼル機関車です。道後温泉松山市中心部の間を、土曜、日曜、祝日に各8便運行し、観光客らの人気を集めていました。ダイヤ改定では、松山市内を走る路面電車を大幅に減便するほか、市中心部と郊外を結ぶ路線でも土日祝に減便をしています。鉄道の郊外電車郡中線は、土日、祝日の15分ごとの運行を20~30分ごとに改め、ダイヤ改正で1日当たりの運行本数は118便から94便になり、24便減りました。市内電車松山市駅線では、日中から夜にかけての便を、現在の10分ごとから12分ごとに変更。1日当たりの運行本数は178便から154便と24便減。平日のみ運行する本町線では、昼過ぎからの運行を取りやめ、1日当たり14便減となります。路線バスもリムジンバスや松山市内の路線バスなどで減便。鉄道のダイヤ変更に合わせて運行します。

 「坊っちゃん列車」は、伊予鉄道が開業して間もない明治21年から67年間にわたって活躍した蒸気機関車がモデルになっています。明治の文豪、夏目漱石の小説「坊っちゃん」で登場人物が利用したことから、「坊っちゃん列車」として人々に親しまれるようになりました。正岡子規夏目漱石も乗ったという初代「坊っちゃん列車」は、たくさんの人を乗せて昭和半ばまで地域の経済・産業・文化の向上に貢献しました。もくもくと煙をあげて走る蒸気機関車は、電車の進出に伴い姿を消しました。その後、走行場所や技術面で多くの問題があり見送られてきた「坊っちゃん列車」の復元。しかし、復活を願う地元の人たちの熱い声を受けて、また、地域活性化の大きな起爆剤として数々の問題をクリアし、2001年10月、ついに「坊っちゃん列車」が21世紀の城下町に蘇ったのです!「坊っちゃん列車」の煙突から出ている白い煙はみんなに害がない原料を使った特別な蒸気です。黒い煙の蒸気機関車は石炭で動きますが、「坊っちゃん列車」は低硫黄軽油っていう燃料で動くディーゼルエンジンですから地球にもやさしくて安心安全です。

 伊予鉄グループは、運転士の休日を増やすなど、グループ全体で従業員の休日を増やす取り組みを発表しています。今回のダイヤ改正について、伊予鉄グループ広報室は「人員が足りていない状況もあるが、影響を最小限に抑えるダイヤ改正とした。従業員の労働環境を整えるためにも新規の採用を強化していく」と話しています。

 伊予鉄は、「坊っちゃん列車」をはじめとした運休の背景について、「深刻な運転士不足がある」と説明しています。2024年4月から、運転士の時間外労働や休息時間の基準が改正されて、働ける時間が今よりも短くなることも、運転士不足に拍車をかけることになりそうです(物流2024年問題)。私の住む島根県松江市でも、運転手不足から市内のバス路線が大幅減便となったり、路線廃止となったりしています。観光客に重宝する「松江市定期観光バス レイクライン」も減便して運行されています。「坊っちゃん列車」は当面の間は走らないことになりますが、道後温泉駅には展示されています。色々なものがある駅前広場の中でも、特に写真映えするのが「坊ちゃん列車と駅舎」の風景です。

道後温泉駅前広場で「坊ちゃん列車」「駅舎」と一緒に自転車を写した写真

 レトロな外観の駅舎と一緒に写真に収めれば、まるでタイムスリップしたような雰囲気に浸ることができます。先日、電車の停留所で職員の方に聞いた話では、来る3月20日からは「坊ちゃん列車」の運行が再開されるそうですよ。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す