教育は雑草取り

 教育というのは、夏の芝生の雑草取りによく似ています。一度雑草を取ったからもうそれで雑草は生えて来ないというわけではありません。雑草は取っても取っても、2、3日もすればすぐにまた生えてきます。それをまた抜いていきます。そしてまたアッという間に生えてくる。また取ってやる。その繰り返しによって、芝生は綺麗な状態を保つことができるのです。私が長年携わってきた教育も全く同じです。一回教えたから、もうそれで大丈夫というわけにはいかないんです。何度も何度も同じことをしつこく、繰り返し繰り返し根気よく続けて、初めて成果が少しずつ現れてきます。その繰り返しそのものが教育であり、その根気が人を育てるのだということを、教師は忘れてはなりません。一度教えたから大丈夫と考える人がいるとしたら、それは教育というものが分かっていません。

 英語の勉強では、底なし沼の英単語の暗記」に生徒達がとても苦労をしています。ある単語を一回教えればそれで生徒達は覚えてくれているかというと、必ずしもそうではありません。出て来る度に何度も何度も繰り返し確認する必要があります。少しでもその暗記の苦労を軽減しようと、私が若い頃から取り組んできたのが、単語のアタマ・オナカ・シッポを活用することです。最近では、『英単語の語源図鑑』(かんき出版)をはじめ、このようなアプローチを実践した数多くの参考書が書店には並ぶようになりましたが、私の若い頃はそのようなものはほとんどありませんでした。松江北高の先生から、島根県立大学の教授になられた故・山本和夫(やまもとかずお)先生に、ご指導をいただき、そのような勉強法に目覚めました。少しでも生徒の負担を減らしてあげるために、自費出版で『英単語はアタマ・オナカ・シッポで攻略だ!』も作りました。英語学習に何度も何度も出てくる特徴的な「アタマ」「オナカ」を繰り返し指導することで、定着度に大きな差が出てくるのです。これは生徒達や全国の先生方にずいぶんと喜んで頂いた教材となりました。庭の芝生の雑草を楽に取るコツ草取りの回数を減らすコツみたいなものでしたね。

▲八幡成人『英単語はアタマ・オナカ・シッポで攻略だ!』(自費出版)

 かつて、松江北高伝統の「学問探究講座」というものがありました(とっくの昔に負担が大きいと廃止になりました。生徒には好評だったのに)。まず「みなさんはimportant(重要な)という基本語をどう理解していますか?」という問いかけから講座を始めます。生徒全員が丸暗記でした。ここで、port「運ぶ」という語根を示して、port(港), porter(運搬人), portable(持ち運びできる)などを提示します。im+port+antと分解することで、「中に運び込んでくる」→「それほど重要な」という意味が理解できます。import(中に運び込む→輸入する、輸入), export(外へ運び出す→輸出する、輸出)も一緒に覚えてしまいましょう。さらには、support(下から支えながら運ぶ→支持する)、report(後ろに運び戻す→報告する)、transport(向こう側に運ぶ→輸送する)も加えてしまいましょう。興味のある人はportion, opportunity, sportなども調べてみるとよいでしょう。こんな風に、わずか14個の「接頭辞」(アタマ)と約50個の「語幹」(オナカ)の知識で、受験に必要な重要語はほぼマスターすることができるんです。松江北高の2年生の「土曜補習」で1個ずつ解説をし、翌年昼休みに限定100枚のプリントを、毎日午後1時に職員室前に置いた所、興味のある生徒たちがズラーッと長い行列をして求めてくれたのもいい思い出です。これは語彙力養成にとても有効でした。こういうふうに丸暗記でなく、日頃から単語をイメージで捉まえるようにしておくと、(1)忘れない、(2)未知語に応用が利く、(3)一生単語の勉強を続けられる、といった大きなメリットがあるのです。先日訪ねてくれた卒業生たちが、こういう勉強が大学でも役立っていると後輩達に証言してくれました。♥♥♥

▲語根から攻める!

▲接頭辞から攻める!

 

カテゴリー: 英語指導に関して パーマリンク

コメントを残す