プリントパック

 私がまだ現役で勤めていた頃は、センター試験の対策のための教材(「解き方」を解説する)があまりなかったもので、それなら生徒たちのために自分で作ってやろうと、毎年自費で「英語センター対策本」を作っていました。版下は「一太郎」で作成して、地元の印刷屋さんにお願いして、少し多めに作って全国の希望される先生方にもお分けしていました。これが実に好評で、第13版まで作ったものです(写真下)。

 ただ卒業生の強い要望に応えて丈夫な表紙いい紙を使ったもので(卒業して大学に行ってもバイト等でこの本をボロボロになるまで使っているのでもう少し破れないようにしてもらえないか?)、印刷代がべらぼうに高くなってしまいました。そこで最近はテレビ・コマーシャルで有名になった、印刷物のネット通販で知られる「プリントパック」に二度ほどお願いしてカラー印刷をしてもらいました(写真下)。値段がべらぼうに安いんです。しかも印刷の質も非常に高かったので満足でした。私のパソコンの「一太郎」「エクセル」で版下を作り、そのデータをオンラインで会社に送信し、カラー印刷をしてもらいました(写真下)。

 かつて「プリントパック」社は、製版事業を中心に印刷事業を行っていた会社でした。しかしパソコンの普及により、プロを介さずともデザイン、プリントアウトが可能になり、製版の市場規模が大幅に縮小し、今後もその傾向が続くことが予測できました。社内でもこのままでは仕事が減る一方だという危機感が広がりました。それならば、お客さんに製版してもらえばいいのでは、という発想で、インターネットの普及を見越して、お客さんにネット経由でデジタルデータを送信してもらい、リーズナブルな価格で印刷物を提供することに徹することに決断しました。現在では、製版事業からは撤退して、印刷事業に特化しています。安さで売り上げを飛躍的に伸ばしている会社です。1970年創業で製版・印刷を30年以上やってきた会社ですから、パソコンの普及は自社のビジネスにとっては大いなる脅威であったはずですが、いち早くそれを味方につける決断に踏み切ったのが正解でした。

 「印刷通販プリントパック」立ち上げの原点は今からおよそ50年前。創業者である現会長の木村進さんが「プリントパック」の前身となる会社を創業した頃にまで遡ります。当時は印刷工程のごく一部(刷版・さっぱん)の仕事をさせていただくところからのスタートでした。 創業時から「将来は社会に大きく役に立てる会社にしたい」という強い想いがあり、ほどなくして「新卒採用にチャレンジしたい」という話が持ち上がりました。高校を卒業する若い人たちに仲間に加わってもらうべく、採用募集活動に当たり自社の「会社案内」が必要となります。 しかし、当時はまだ社内でデザインすることができません。旧知のデザイナーの方に見積を依頼したところ、上がってきた見積金額を見て大変驚いたと言います。わずか数百部の会社案内が、なんと200万円強の見積もりが出てきました。この金額は20数名のメンバーとともに一年間、一生懸命働いて残した利益とほぼ同額でした。未来に向かって大きくお役に立てる会社を作るため、良き人材に仲間に加わってもらいたい。けれども、そのために必要な金額としては、自分たちにはあまりに高すぎる─。 悩みに悩んだ末、「清水の舞台から飛び降りる」思いで会社案内の発注を決めました。そこから30年、自社で一貫生産できる体制を構築し、「誰もが手軽に印刷を手にできる安さ」を創造することを使命に、ット印刷通販「プリントパック」をスタート。どうにかして印刷物の価格を安くできないかに重点を置く発想がここから生まれました。

 利用いただくお客さんの増加とともに、印刷価格が安くなることで喜びの声をいただく中で、その前段階のデザイン制作に苦労されたり、印刷だけでなくデザインももっと手軽な価格でできないものかという声が多く寄せられるようになりました。こうした声を受けて、現社長は印刷だけでなく、デザインを含めた「トータルコストダウン」の実現を強く想い描くに至りました。無料で提供できる高品質なデザインサービスを起案し、プロジェクトの立ち上げは2020年夏でした。新型コロナウイルス感染症・第2波の到来により、人や企業の活動は大きく制限されました。経済活動は急激に減速し、多くのお店や会社が大変苦しい状況に耐えておられた頃です。 「こんな時だからこそお役に立てる我々だからできる貢献はないか」社長の木村の一声のもと、プリントパックはいくつかの思い切った手を打ちます。そんな中、始めた取り組みのひとつが「オンラインデザインパック」です。もともと「プリントパック」には、自社製アプリで名刺のデザインを作成できる「デザインパック」というサービスがありました。これをチラシや折りパンフレット、封筒、DMなど、あらゆる商品のカテゴリーに対応できるようにし、もっと機能的で、もっと高品質なデザインサービスを無料でご提供できれば、きっとお喜びいただけるのではないか。そしてその先にある、印刷だけでなくデザインまで含めた「トータルコストダウン」は、きっと社会の役に立てるものだと考えました。最も力を注いだのは、複数の商品カテゴリーや業種別にわたって、デザインテンプレートを13,000点以上用意すること。しかも、その内容は種類に富み、高品質であることが必須でした。開発メンバーたちは、日々の業務を抱えながらも、地道にテンプレートづくりを進めていったのでした。デザインが苦手な方はもちろん、普段はデザインを任されている印刷営業の方々やデザイナーの皆さん、いわば目の肥えた方にまで幅広く利用していただくことを前提としており、妥協は許されませんでした。 プロジェクト立ち上げからすでに一年が経過していたこともあり、立ち止まっている時間はありません。緊急でデザインチームの立て直しが行われます。「お客さまをお待たせしてしまっている」そんな焦りもある中、デザインテンプレートの品質と作成スピードは改善されていきました。 デザイン機能においても、さまざまな課題がありました。時には一度完成した機能も、より高次元を目指して追加の改修をするなど、連日チーム一丸となって取り組みました。 こうして2024年3月、ブラウザ上でデザインを作成し、そのまま印刷のご注文ができる「オンラインデザインパック」のオープンにようやくこぎつけます。安い、高品質、使いやすい。お客さまに満足いただけるサービスを追求して オープンすると、「オンラインデザインパック」は、すぐに反響がありました。テキストや画像を入れ替えるだけで、高品質なデザインを作成できる上に、利用料金は「無料」。新サービスにもかかわらず、初日から多くのお客さまに注文をいただくことができました。利用層も幅広く一般の方からプロユーザーの方まで、今もなお増え続けています。「プリントパック」のミッションである、徹底したコストダウンの追求は、「安さは価値」であり「安さは社会貢献」であるという信念とともに、安さだけでなく最高の品質、より使いやすいサービスでお客さんに満足いただけるように取り組んでいます。

 同じものを手に入れるなら、そりゃあ安いほうがいいに決まっています。「プリントパック」はモノクロ印刷並み、もしくはそれ以下の金額で本格的なカラー印刷を手に入れることができるレベル(すなわち、通常のオフセットカラー印刷の半分から1/4以下)で価格を設定しています。ただし、価格が安いからといってその分品質が落ちるのであれば、全く価値はありませんね。「この金額で、ホントにここまでできるのか!?」という驚きや満足感・感動があってこそ、リピータを増やすことができるのです。そもそも印刷というのはそんなに高いものではありません。大量に印刷できれば、高い価格を設定しなくてもよいのです。「プリントパック」は、印刷事業に絞ったことで扱える紙の種類、サイズを増やし、納期を早め、販売量を増やしています。安いので大量に注文が来れば来るほど、さらに安くできるという良い循環が生まれているのです。印刷事業の「価格革命」を引き起こした会社でもあります。製造環境が整った今でも、一台数億円もする最新鋭の印刷機を年間に数台購入し続けています。当然ながら最新鋭の印刷機の方が効率よく印刷できるので、一枚当たりの製造コストを下げることができます。すると価格もさらに安く提示することができるようになり、安くなればもっとお客さんが利用してくれるという「好循環」を生んでいるのです。♥♥♥

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