カシオ電子辞書打ち切り

 カシオ計算機は、先日、電子辞書の新モデルの開発を中止すると発表しました。時代の流れですね。スマートフォンの普及や、学校現場でICT(情報通信技術)の活用が進み、パソコンやタブレット端末の導入が進んだことで需要が減っていました。現行モデルは需要に合わせて生産と販売を続けますが、2025年度は新製品の投入は見送り、体制は大幅に縮小することになります。カシオは1981年に、同社として初の電子辞書を発売しました。1996年からは機能性に優れた「EX―word(エクスワード)」シリーズを展開し、長年にわたり学習・教育分野をリードし、人気を集めてきました。国内ではシャープキヤノン電子辞書を手がけましたが、シェアはカシオが1位を占めています(約8割)。ただ近年は、政府の「GIGAスクール構想」で、全小中学生に学習用端末が配布されたことなどにより、電子辞書の機器を使う学生が急速に減ったといいます。

▲私の愛用する電子辞書

 近年の電子辞書市場の縮小は顕著です。一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会によると、主要メーカーによる2023年の電子辞書の国内出荷台数は38万5,000台で、ピークだった2007年(280万5,000台)の7分の1以下に減少しました。この背景には、スマートフォンやタブレット端末の普及があります。特に学校現場では、文部科学省「GIGAスクール構想」により1人1台端末が導入され、タブレットを用いた辞書アプリの利用が一般的になったことが影響しています。また、少子化も需要減の大きな要因となっています。学生の数自体が減少しており、電子辞書市場の縮小に拍車をかけています。

 カシオは今後、教育アプリなどソフトウェア事業へのシフトを加速する予定です。同日、「日本経済新聞」の取材に応じた増田裕一社長「教育現場でハードの需要が減少しており、すでに展開している教育アプリなどのソフト事業に切り替えていく」と述べました。現行モデル「EX-word」シリーズは引き続き販売を続けますが、新規モデルの開発は行いません。需要動向に応じて生産体制を調整しつつ、既存ユーザーへのサポート体制は維持する方針とのこと。

 カシオ電子辞書事業を転換する一方で、教育アプリやオンライン学習支援などのデジタル分野を成長の柱に据える考えです。今後は、教育現場のニーズに即したサービス展開や、ICT教育市場での競争力強化が課題となります。40年以上続いた電子辞書事業は節目を迎えましたが、教育分野におけるカシオの挑戦はまだ続きます。

 もうずいぶん前のことになりますが、岡山県立笠岡高等学校にお招きいただいて、三年生に「特別授業」をさせていただいたことがあります。その授業に、カシオ計算機岡山支社の所長さんと営業の方が、わざわざ見学に来られました。当時の私は、高校入門期は紙の辞書で徹底的に辞書指導をして、ある程度英語力がついた時期(たとえば大学生)から電子辞書を活用すべきという持論を持っていて、入門期の生徒たちには、かたくなに電子辞書の教室への持ち込みを禁じてきました。松江に帰ってから、「授業に生かす電子辞書セミナー」を米子で開催するからぜひお出かけください、というお誘いを所長さんからいただき、会場の米子・ビッグシップに出かけてきました。神戸市外国語大学野村和宏教授のご講演を拝聴し、非常に勉強になりました。英語教育論だけでなく、実際の機器を試しながら、電子辞書が英語授業にどのように役立つのかを具体例を交えながら教えていただきました。個人的には野村先生の英語の勉強の仕方をいろいろと伺うことができ、とても参考になり、真似てみようというものがいっぱいありました。特に、故・小西友七先生の下で苦労された辞書のお話は、同じく辞書に携わる者として非常に興味深いものでした。野村先生のお話を聞き、特に現在の電子辞書はここまで進化を遂げていることを知り、私の今までの「価値観」が揺らぐ体験でした。

▲神戸市外国語大学野村和宏教授と

 そんなこんなで、カシオ計算機さんと不思議なご縁ができ、学校に来ていただいたり、電子辞書の最新情報をいただいたりしておりました。で、松江北高等学校の英語科の先生方にも、最新モデルを試していただこうということになり、「デモ説明会」を開催し、英語科だけでなく、興味のある他教科の先生方もたくさんご参加いただきました。詳しい使い方・活用法を聞いて、その魅力に魅せられ、ぜひ自分も使いたいということで、多くの先生方が電子辞書をご購入されたのもいい思い出です。下はその際にカシオのパンフレットに書かせていただいたものです。あれだけ幸盛を振るった電子辞書の開発打ち切りのニュースを聞いて、時代の流れを感じるとともに、懐かしく当時を思い起こしていました。♥♥♥

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