ブラザー・ジョン・ハーマン

 カード・マジックをやっている人であれば、この「ブラザー・ジョン・ハーマン」(Bro.John Hamman、1927-2000)という名前を知らない人はいないでしょう。そうです。カード・マジックの世界では基本中の基本技法「ハーマン・カウント」「ジェミニ・カウント」「フラシュトレーション・ムーブ」などの考案者です。もちろん技法だけではなく、有名な作品をいくつも発表しておられます。「ミスティック・ナイン」「マイクロ・マクロ」等のハーマンが生み出した優れた作品・市販トリックを82種類も集めて、1989年にリチャード・カウフマン(Richard Kaufman)が一冊の本としてまとめて出版しました。そのタイトルはThe Secrets of Brother John Hamman。プロのマジシャン達を唸らせた、数多くの作品が含まれていました。日本ではマジックランド小野坂トンさんによるその翻訳本が『ブラザー・ジョン・ハーマン カード・マジック』(東京堂出版、2007年)です(写真上)。さすが、トンさんで、日本語版だけの素敵な特典が付いてくるんです。82種類の作品の中にはトリック・カードを必要とする作品が多く含まれており、原著では自作する方針で書かれていましたが、これを作る手間がとても大変でなかなか実演に踏み切れない人も多かったのでないでしょうか?日本語版では25枚ものトリック・カードミニデック・ケースが付いてきますので、少しの手間暇ですぐに実演する事が可能です。全394ページの大冊です。

▲Brother John Hammanのトリックカード

 私は、ずっと昔に、デニス・ショーン(Dennis Shoen)が、ジョン・ハーマンのトリック・カードを独占販売していたことがあって、今はなきアメリカの老舗マジック・ショップのHank Leeから、直接にずいぶんと買い揃えた記憶があります(写真上)。こうしたギャフ・カードは自分で作ろうと思っても手間がかかって結構大変なんです。少し時間があったので、自宅の「蔵」に入ってみたら、昔のハーマンの作品が数多く出てきて懐かしくなりました。この人の作るトリック・カードは、手が込んでいるだけに、半端でないインパクトがあります。そして最後には予期もしない驚きが待っているのです。

▲アッカーマンのビデオ 大盤振る舞いで使用するトリックカードも付いている!

 メリー派(Society of Mary)のカソリック宣教師であった師は、ブラザーを名乗りました。師の登場によって、その後のカード・マジックの歴史に多大な影響を与えたのです。彼によって編み出されたもっとも有名な技法は、「ハーマンカウント」でしょう。とあるコンベンションにおいて名人と謳われたポール・ルポール師に才能を見いだされ、そのルポール師がハーマンの本を著し、世界的に有名になりました。彼の初期の名作としては「ミリオン・トゥー・ワン・チャンス」「テーブルを通り抜けるキング」「ミスティックナイン」などがあります。これらは高木重朗氏が金沢文庫から翻訳本を出しています。ディーラーズ・アイテムとしては「ファイナルエースルーティン」があります。実はこの手順こそが名人・ルポールを驚愕させたものであり、それまでのフォアエースの手順を凌駕するほどクリアなものでした。それを発展させたのがアレックス・エルムズレイであり、「アトミックエーセス」というタイトルで発表しておられます。スプレッドしたカード一組が、一瞬にしてミニカードに変化してしまうという「マイクロマクロ」も有名で、それらの進化形作品がその後、ジョン・ケネディトミー・ワンダージョニー広瀬、などさまざまな著名なマジシャンによって発表されています。またフーディーニ・マジックショップからは、若き日のハーマンのフィルム映像を名手アラン・アッカーマン(Allan Ackerman)師により解説と再現をしているビデオテープがトリック・カード付きで発売されて折渡は買っていました。連休中に自宅の「蔵」に入ったら、その2巻本のビデオと付属するトリック・カードが出てきて(写真上)、ずいぶん懐かしい思いをしました。時間があれば、久しぶりに遊んでいるビデオデッキに入れて見てみようと思っています。♠♣♥♦

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