まさか

 人生には3つの坂があると言われます。『上り坂、下り坂、そして 突然やってくるまさか』です。人生何が起こるか分からないということを表した表現です。だからこそ、今の状況に満足しているときは『油断してはならない』、今の状況が苦しいと思っている時は『好転するまで辛抱しなさい』というメッセージが込められていると解釈できますね。元内閣総理大臣の小泉純一郎さんもよく使っていましたね。あの松下幸之助翁もよく口にした言葉です。「人生の上り坂、下り坂、まさか」は、実は、誰の言葉かは定かとなっていませんが、この考え方は、仏教の教えに通じるものがあり、親鸞聖人が使っていたと言われています。

 第27回参議院選挙において、比例区に出馬していた鈴木宗男議員(77歳)は初当選以来43年のベテラン政治家でしたが、今回の選挙では敗色濃厚として落選会見を開き、無念さをにじませながら「もう選挙には出ませんから。ひとつのけじめ、終止符です」といったんは引退を宣言しました。そのわずか4時間後に当選確実の報が舞い込むと、「目に見えない力により生かされた。しっかり働きたい」「天が、神様が与えたくださった私への使命だと思っている。77歳ですが、生まれ変わったような気持ち。鈴木宗男は生涯政治家です」と声を詰まらせ、うれし涙を流しました。何が起こるか分からないものです。「まさか」でした。

   私の大好きな巨人の試合でも、最近、この「まさか」を二度も体験しました。7月9日、東北シリーズの中日戦の最終回のことでした。前夜のサヨナラ勝利から気分よく、2点リードのまま迎えた9回、マウンドには絶対的守護神・ライデル・マルティネス。楽勝気分です。ぴしゃりと抑えて東北シリーズ連勝だとてっきり思いながらテレビを見ていました。先頭の代打・ブライトこそ二飛に打ち取ったものの、続く岡林に中前打、辻本に左前打を放たれ一死一、二塁とすると、3番・上林の打席で自らの暴投から二死二、三塁とピンチが拡大sじ、最後は4番・細川に7球目、ど真ん中に入った142キロのスプリットを完ぺきに捉えられ、打球は左翼席へ一直線に飛び込みました。「まさか」です。思わぬ展開に球場内は騒然となると、マルティネスも呆然とした表情。阿部監督から交代が告げられてベンチへと下がると、座り込んで頭を抱えたまま上を向くことはできず、両手で頭をかきむしりながら悔しさを爆発させるなど、取り乱した姿を見せました。こんな「まさか」があるんですね。

 7月21日(月)にもこの逆の「まさか」が待ち受けていました。阪神に連敗して、3戦目も0-5で敗色濃厚でした。球宴前最後となる首位・阪神との3連戦も、前日までの2連敗でゲーム差が11差と広がり、自力優勝の可能性も消滅し、この試合も、先発・井上小幡に二本塁打を打たれるなど、五回までに5点を失い厳しい展開を強いられていました。打線も阪神・伊藤将投手の前に七回まで散発の2安打と抑えられ、二塁を踏めない状態です。阪神に試合の主導権を握られたまま、敗色濃厚で、私ももうあきらめかけていた時でした。7回表の守備でショートの泉口大山の三遊間のヒット性のゴロを逆シングルでスライディングキャッチでさばき、見事に刺しました。まさにプロの美技です。これで流れが巨人に回ってきました。7回裏に2点を返した後に(その2点目は大山の本塁暴投でした。エラーした方が負けるのはこの世界の常識です)、あのリチャードが巨人移籍後、初めて右投手から打った安打が貴重な同点3ランとなったのです。リチャードの先発起用について「なかなかね、ホームランが出ないこう打線なので…ま、冗談で宝くじが当たったらって言ったけど、うん。当たったらね、そういうホームランできる力を持ってるんで、今日は起用してみたんですけど。はい」と、阿部監督流の言い回しで、ヒーローの一人となった26歳を称えました。いつものように三振かゲッツーかなと思って期待もせずに見ていたのですが、その直前にちょっとしたドラマがありました。自打球で倒れ込んだ時には、本人は「あ、折れた!」と思ったそうですが、サーッと痛みがなくなって、アドレナリンが出たんでしょう。もう痛くない。その直後の同点3ランホームラン(今季3本目)でした。いつも期待を裏切られてばかりいた選手ですが、やはり当たるとこの飛距離が出るのは魅力です。四番・岡本の離脱している今、こんなホームランが打てる選手は彼ぐらいのものですから。移籍後初のお立ち台に上がると、「やったな、やっちゃったなあって感じでした。打った瞬間、歓声がすごかったんで、その振動でボールも伸びたのかな思います」とファンに感謝しました。その後5-5の同点で迎えた9回裏には、ツーアウト満塁の場面で、吉川尚輝内野手(30歳)のセンター前ヒットで今季5度目のサヨナラ勝ちを決めました。サヨナラ打を放った吉川、そしてその前に阪神3番手左腕・伊原と名勝負を繰り広げ、11球を粘った末に勝利を呼び込む四球を選んだ佐々木について、指揮官は「本当ね、意地を見せてくれました」と表情を少しだけ緩めました。阪神戦で5点以上をはね返して勝ったのは、なんと35年ぶりのことだそうです。思いもしない「まさか」でした。

 巨人-阪神の伝統の一戦は前半戦ですでに18試合が終わり、5勝13敗と大きく負け越してはいますが、その中の10試合は1点差勝負の僅差の試合です。オールスター後の後半戦にも何が起こるか分かりません。「まさか」を期待しましょう。阪神は付け入るスキがないほどに投打で好調をキ婦キープしていますが、これがずっと続く保証はどこにもありません。どこかできっと落ちる時が来るものと思います。♥♥♥

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