『英語教師のための語法ガイド』

  2025年9月10日発売の最新刊・柏野健次(かしのけんじ)先生『英語教師のための語法ガイド』(大修館書店)を読みました。『英語教育』(大修館)誌上でクエスチョンボックス(QB)を担当する英語語法研究の第一人者が、教師なら知っておきたい疑問が湧きそうな英語語法について、実例を挙げながら明快に解説した、50年にわたる著者の語法研究の成果の集大成本です。177の項目を「Ⅰ 英語の通説を疑う」「Ⅱ 英語の変化に気づく」「Ⅲ 英語をもっとよく知る」の3つのカテゴリーに分け、正しくて新しい語法情報、押さえておくべき語法情報、現場で誤解されている語法情報を提供しています。時折はさまれる「一歩進んで」の欄もとても貴重な情報が満載です。実例を収集し、ネイティブ・スピーカーにあたり、文献(研究書・コーパス)を検索した緻密な語法研究です。

 現場の教師(高校・大学・予備校・塾)にぜひ読んでいただきたい、正しい知識を得るための必読書だと思います。例えば、as soon as possible,  be willing to do,  I’ll do my best,   make it a rule to do,   may well,   be on good terms with,  quite a few,  So much for today,  speak ill of,  take place,  with a view to doing,  be senior to,   cannot but do,   keep early hours,  much more,  of itself,  after all, compromise,  satisfactory,  promise + O + to do などの項目は、現場で誤解している先生方も多いと思われる語法ですので、ぜひ目を通しておいていただきたい項目です。

 例を見てみましょう。

   What time is it (now)?  今何時ですか。

「今何時ですか?」と尋ねる場合、nowをつけずにWhat time is it ?と言うのが普通、という乱暴な参考書をよく見かけます。確かにそれはそうなんですが、ではnowを付けると誤りかというと、決してそうではありません。私の直観では、さっき聞いたけど時間をもう一度確認したい時、知人に「え、今何時になったの?」と聞き返す場面ではnowを付けても違和感はありません。一体どんな時にnowが許されるのかを、本書は簡潔に、それでいて的確に押さえています。かつて南出康世先生が詳しく考察しておられましたから、ご存じの方もおられるでしょう。(1)時間の経過を知るために連続して時間を聞く時、(2)何かの予定までの時間を確認する時、(3)時差がある場合に現地の時間を聞く時 実に勉強になる書です。みなさんに広くオススメしておきます。

 公開されている著者の語法コラムもとても勉強になりますので、併せてぜひお読み下さい。「ジーニアス 英語語法メモランダム」(⇒コチラです) 「英語語法Handy Tips~ネイティブスピーカーは語る」(⇒コチラです)

 私も若い頃、故・竹林 滋先生『ライトハウス英和辞典』(研究社)の編集のお手伝いをしながら、ボリンジャー博士(D.Bolinger)、イルソン博士(R. Ilson)、アルジオ博士(John Algeo)といった世界の一流の言語学者の観察に間近で接し、一緒にお仕事をさせていただいたことは、何よりも自分の英語の勉強の励みになりました。その成果の一部は「ボリンジャー博士の語法診断(1)~(12)」と題して、『現代英語教育』(1990年4月号~1991年3月号,研究社)で連載させていただきましたので、ご覧ください。また、同誌において「ライトハウスQ&A」として、読者からの質問に私が回答しています。雑誌、新聞、小説をひたすら読んでは、分からない、または気にとまった表現をメモしておく、そんなことの繰り返しが英語力アップにつながったように思います。そうやって気がついた事柄をこのブログ「チーム八ちゃん」で発信してきましたが、本書の各所にそれが引用されています。♥♥♥

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