秋山仁先生の「教師五者論」

 『読売新聞』の朝刊で現在連載中の「時代の証言者 秋山仁」を面白く読んでいます。先生の波瀾万丈の人生のさまざまなエピソードに感動です。数学者の秋山 仁(あきやまじん)さんと言えばあの「教師五者論」が有名ですね。教師は学者、医者、易者、役者、忍者の役割を担うものでなければならない、というものです。

●学者・・・膨大な知識を自ら身に付ける必要性
●医者・・・相手の得手・不得手、性格やタイプを見抜く力
易者・・・相手の不安を取り除く力
役者・・・相手を惹きつけ、魅了する力
●忍者・・・タイミングのいい時期まで耐え忍ぶ力

もっともなご意見だと思います。長年の経験から私はこんなふうにまとめてみました。

① 教師自身が常に疑問を持ちながら、日々現在進行形で学び続けることが重要です。100を知って初めて1を教えることができるのですから、一生教わる人、日々学び続ける人であり続けることが肝要です。だからいつまでも『学者』である必要があるのです。科学技術は日進月歩で進歩し、政治・経済は目まぐるしく変化しています。今日的なことにも精通し、学びの醍醐味を伝えなければ、授業は日常生活から遊離した無味乾燥なものになってしまいます。現状維持は退化と同義でタブーなのです。

② 学力に欠陥・問題点のある子を早期発見し、適切なアドバイス・診療を施す『医者』でなければなりません。生徒がどこで悩み、つまづき、何が理解できていないのかを的確に把握・診断し、早期の治療を施さない限り、慢性化してしまい、生涯子どもたちを苦しませることになりかねません。名医としての教師の真価が問われる部分です。日頃から生徒を見る目を養っておく必要があります。

③ 級友達をまとめるのがうまい、縁の下の力持ち的な仕事を黙々とこなす、落ち込んでいる友達に優しく接することをできる、など本人が気づいていない子どもの持つ隠れた適性や可能性を見抜いて、将来的な予見をする『易者』でありたいものです。生徒自身に膨大な可能性があることを自覚させてやることが教師の役目です。生徒の心配や不安を取り除いて言葉をかけ、後押ししてやる必要があるのです。

④ 授業を楽しく面白く演出して、子どもたちに感動を与える『役者』であって欲しい。「もっと学びたい」と、生徒を惹きつける魅力ある授業を教室で飽きることなく展開したいものです。「教室」という舞台で、「教師」という役柄を演じるのです。教えるネタをしっかり消化して、抑揚や間の取り方に気を配り、場の盛り上げ方を上手くコントロールをすべきです。授業にストーリー性を持たせ、知的好奇心を刺激して自発的な学びをススメ、生徒たちを感動のるつぼに誘える、そんな授業は役者』の素養を持つ先生にしかできないことです。

「教えるべきことは教えず、子どもたちに気づかせる」子どもたちが気づくまで、考えさせ、適当にヒントを与えて、成長するまで、いまかいまかとジーッと待って耐え忍ぶ『忍者』の素養が必要なのです。手取り足取り教えてやれば、その場では分かったつもりになります。でもそれではそこどまりです。

 私は今までの長い教師生活の中で、もう二つほど付け加えておきたいと思います。

⑥学校の催し物、日常生活を盛り上げて、子どもと一緒にのぼせて遊ぶ『芸者』である必要もあります。科目内容を詳しく伝えるだけでなく、相手に興味を持たせるような雑談も笑いも勉強のスタート地点になります。楽しく学べる環境を作るのです。そのためには自分自身が明るく元気に陽気に振る舞うことが何よりも大切です。

 私はさらに、⑦教師は集団の向かうべき方向を見据えて、教室内の生徒達を整理し、取り仕切る『指揮者』でもある必要があると考えます。旗振り役次第で集団はどちらの方向にも向かいます。集団をまとめる人望がなくてはなりません。

 今、私の周りには、医学部希望の生徒がかなりたくさんいます。医者の世界も実に大変なようで、「まっとうな勤務医であるということは実に多様でハードな役割を背負わされていることなのだと分かった。隠された重病を見落とさない細心の観察者。患者さんに苦痛を与えない習熟した技術を持つ検査屋。心身の回復のみを考えて大量の抗癌剤を投与する修理屋。そして、生身の人間である患者さんの、死への不安を共に分かち合うカウンセラー。一人で何役こなせばいいのだろう。しかも、相手にしているのは常にかけがえのない人命だから、どの役も気を抜けない。」との意見もあります。そのような強い使命感を持って、挑んでもらいたいと思っています。

 いい先生は丁寧に説明してくれる。もうちょっといい先生は自ら範を垂れ、最高な先生は俄然やる気にさせてくれる。(W.A.ワーズ)

 生徒達を俄然やる気にさせ、知的好奇心に裏打ちされた深い学びに向かうことができるように育てていきたいと思って、私は長年やってきました。♥♥♥

 

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