米子―後藤駅間は電化

 お亡くなりになった西村京太郎先生のミステリー小説『十津川警部シリーズ 空と海と陸を結ぶ境港』(祥伝社文庫、2023年)の中には、こんな場面が出てきます。

 今村が、事件とは関係ない話だが、と断って、続けた。
 「この列車はちょっと面白くて、営業で使われるのは気動車なんですが、米子と三つ目の後藤駅までは、電化されているんです
 「どうしてこの区間だけ電化されているんですか?
 亀井がきいた。
 「この後藤駅には、後藤総合車両所というJRの大きな施設が、あるんです。そこへ故障した電車など、運ぶために、米子とこの後藤駅の間だけ、電化されているので
 今村警部が答える。

▲境線「博労町駅」

  私はこの7年間、週に3回JR境線を利用して米子駅から博労町駅まで通っていますが、この本を読むまではそのことに全く気づきませんでした。そこを走る6種類の鬼太郎列車(「鬼太郎列車」「ねずみ男列車」「ねこ娘列車」「目玉おやじ列車」「こなき爺列車」「砂かけ婆列車」)はディーゼル気動車です。境線で使用している車両はキハ40系キハ47系キハ126系ですから、電気は必要ないのです。境線は少し走っては止まって、少し走っては止まるを繰り返して走り、駅と駅の距離はそんなに長くはありません。でも上の描写に出てくるように、米子駅(ねずみ男駅)から途中の後藤駅(どろたぼう駅)までは電化されているのです。この「後藤駅」という名前は鉄道敷設に尽力した米子の豪商・後藤快五郎に由来します。JR境線は基本、ディーゼルカーのみ走っている非電化路線ですが、後藤総合車両所に出入りする電車があるために、米子駅から後藤駅までの区間は電化されています。元々は電化される予定はなかったのですが、伯備線の電化で電車化された特急「やくも号」で使用する車両(381系)を後藤工場で検査・修理することとなり、後藤総合車両場へ電車を移動させるために電化されているのです。 細かく説明すると、米子駅から後藤駅に入線する手前まで電線があります。 しかし、後藤駅に入線する手前で後藤総合車両場へ入る支線がありますが、その上に電線が伸びています。 その支線のポイントより境港方向へ境線の線路上に電線はなく、そこからは非電化になっています。

▲JR後藤駅 確かに架線が見える

 「後藤総合車両所」(ごとうそうごうしゃりょうしょ)は、鳥取県米子市日ノ出町に所在する西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両基地および車両工場です。境線後藤駅富士見町駅の線路沿いに並行して敷地のある大きな工場です。山陰での最初の鉄道建設の際に、車両工場の土地を提供し、鉄道省当局に代わって足りない土地を買収することで誘致に貢献した後藤快五郎の名が付けられています。敷地面積は82,271㎡。下関総合車両所が管理する以外の統括本部管内の自社車両に加え、金沢総合車両所富山支所の気動車・金沢総合車両所敦賀支所のキハ120系気動車・吹田総合車両所福知山支所豊岡派出所・吹田総合車両所京都支所配置のキハ189系気動車・嵯峨野観光鉄道・京都丹後鉄道・智頭急行・若桜鉄道の車両や東海旅客鉄道(JR東海)大垣車両区配置の285系3000番台の車両検査・要部検査・改造、および日本貨物鉄道(JR貨物)のディーゼル機関車のエンジンや井原鉄道・一畑電車の部品検修、JR西日本に在籍するすべての気動車とディーゼル機関車に搭載されるディーゼルエンジンの整備を行っています。♥♥♥

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