アメリカ流行語大賞

 『現代用語の基礎知識』(自由国民社)では、毎年恒例の『現代用語の基礎知識 選「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」』「ノミネート語30」を発表しました。2025年度は、米国トランプ大統領の再登場をはじめ、物価高や異常気象、政治の動きなど、国際・国内の社会情勢を色濃く反映した言葉が並んでいます。2025年度の傾向としては「前半は新語・流行語が少なかったと言えるが、トランプ大統領の再登場で関税関連、その後、米、物価高、異常気象、首相首班指名等で数多くの言葉が生まれた」。 「それらの言葉は来年にもつながるものだろう(例えば、クマ被害、気象、高市首相関連等)。また、ピンポイントで盛り上がった言葉(ミャクミャク、国宝、古古古米等)に勢いがあった」。 「本年度はスポーツ関連の言葉が少ない珍しい年でもある。分断が叫ばれる昨今、政治のエンタメ化も進み、ネットとオールドメディアの岐路とも言える年ではないだろうか」といった分析がネット上には並んでいます。候補作は次の通りです。私にはさっぱりチンプンカンプン(?)のものがたくさん並んでいました〔笑〕。

■発表された「ノミネート語30」は以下の通りです(50音順)。

「エッホエッホ」
「オールドメディア」
「おてつたび」
「オンカジ」
「企業風土」
「教皇選挙」
「緊急銃猟(クマ被害)」
「国宝(観た)」
「古古古米」
「7月5日」
「戦後80年(昭和100年)」
「卒業証書19.2秒」
「チャッピー」
「チョコミントよりもあ・な・た」
「トランプ関税」
「長袖をください」
「二季」
「ぬい活」
「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」
「ビジュイイじゃん」
「ひょうろく」
「物価高」
「フリーランス保護法」
「平成女児」
「ほいたらね」
「麻辣湯」
「ミャクミャク」
「薬膳」
「ラブブ」
「リカバリーウェア」

 では、英米にはこのような流行語大賞のようなものはあるのでしょうか?アメリカでは、最も権威のある辞典としてウェブスター辞典で知られるメリアム・ウェブスター社が2024年の「ワード・オブ・ザ・イヤー」(Word of the Year)を昨年12月に発表しています。「ワード・オブ・ザ・イヤー」は、日本の「流行語大賞」に当たるもので、文化や言語における重要なテーマを象徴するものとして毎年話題となっています。オンラインでの検索件数のランキングをベースとして毎年、選定されています。

 メリアム・ウェブスター社の2024年の「ワード・オブ・ザ・イヤー」は、「Polarization(分極化)」でした。ウェブスターは、「Polarization」「2つの顕著に異なる対立グループに分裂すること。特に、グループや社会における意見、信念、または利害が連続体ではなく、対立する両極端に集中する状態」と定義しています。また、ウェブスターの編集者であるピーター・ソコロフスキ氏は、「この言葉には少し皮肉なところもありますが、実際には誰もが同意するものです」として、この言葉が米国の選挙の結果の分裂を表現するためにメディアで広く使用された、と指摘しています。

 一方イギリスでは、ウェブスター「Polarization」よりも前に、オックスフォード英語辞典』で知られるオックスフォード大学出版局が37,000人の投票の結果、2024年の「ワード・オブ・ザ・イヤー」を発表しています。オックスフォードが選んだ「ワード・オブ・ザ・イヤー」は、「Brainrot(脳ぐされ)」でした。「Brainrot」はTikTok、X(旧Twitter)、インスタグラムでのSNSで多用された言葉です。ハッシュタグとして#Brainrotや#ThisIsMyBrainrotとして2024年には無数に使われました。「Brainrot」は元々オンライン・コミュニティの言葉でした。たとえば、I have brainrot over this show!(もうこのショーで脳ぐされ) やThis game has completely rotted my brain(もうこのゲームは俺の脳を完全に腐らせちまった)などの用法で使われていました。それが、より一般的に使われるようになり、何かに圧倒されたり夢中になったりすることを指すようになったとされています。オックスフォード大学出版局によれば、「Brainrot」という言葉は、「特に、取るに足らない、または挑戦的でないとみなされる素材(現在は特にオンラインコンテンツ)の過剰消費の結果として生じると思われる、人の精神状態または知的能力の低下。また、そのような低下につながる可能性があるとされるもの」と定義されています。また、同局は「弊社の専門家は、特にソーシャルメディアにおける低品質なオンラインコンテンツの過剰消費の影響に対する懸念を表現する言葉として、「brain rot」が今年新たに注目を集めたことに気づきました。この用語の使用頻度は、2023年から2024年の間に230%増加しました」と述べています。

 言葉の意味について考えてみます。brain rotは脳が腐るようなコンテンツ、または脳が腐っている状態、価値のない低品質なインターネット・コンテンツみたいなものです。基本的に何の価値もない、ただ短い形式のコンテンツを消費しすぎると脳が腐る、ということです。特に最近の子どもたちが脳ミソが腐ったような話し方をするのは、たぶん、そういうものしか消費していないからだと思います。子どもたちが普通に言っているということは、それだけ大量に消費しているということで、それらのコンテンツでいっぱいになってしまうから、脳が腐るということなのでしょう。インターネット上のミームや低品質なコンテンツを大量消費することは脳ぐされ(Brain Rot)につながります。インターネット上に溢れている“無価値なコンテンツ”を取り込み過ぎると「脳ぐされ」を起こすという話です。ネットで得た知識が何層にも重なって、しまいには脳が腐ってしまうということです。Brain Rotが今年の流行語大賞に選ばれた理由は、多用されているからというよりも、「脳ぐされ」が今至るところで起こっていて、すごく重要な意味を持つからだと思います。それがインターネットの現状だということです。ちなみに、Brain Rot以外には、「Slop」が候補に挙がっていました。これは「ドロドロ」を意味する言葉ですが、ドロドロしたコンテンツという意味で使えます。ネットドラマみたいな、ドロドロした作品のことです。クイズ形式のゲームの答えにもなっているほど、Brain Rotは世間に浸透しています。「脳が腐ってドロドロになりそうな、そんなインターネット環境に生きる私たち」Brain Rotは、まさに2024年の言葉にふさわしいものでしょう。

 日本における2024年の流行語大賞「ふてほど」でした。私にはチンプンカンプン。しかし、私は「Polarization」「Brainrot」がアメリカとイギリスで「ワード・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたことは、これらの単語が広くオンラインコンテンツの過剰消費による悪影響に対する社会的な懸念を反映している側面があり、日本社会にも十分に当てはまると感じています。たとえば、2024年には日本の政治の世界でも「〇〇現象」と言われるような特定の候補者がSNSの積極活用の結果当選し、そのあとに反動からかその候補についての批判が高まるような事態が起きたりもしています。このことも「Polarization」の結果ともいえると思います。また、日本でも「Brainrot」的な現象が2024年には数多く発生していたように思われます。たとえば、SNS上での闇バイト募集などです。冷静に考えれば「ありえない」条件の案件に簡単に引っかかってしまう人が犯罪に手を貸し無数に逮捕されることになっています。また悪質な詐欺にひっかかる人も後が絶えません。このようなことはまさしく「Brainrot」の結果と言えるのではないでしょうか?♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す