「トランプの法則」

 「正しい生き方、考え方」とは、「振り子の原理」にたとえて説明することができます。頭に振り子を思い浮かべてください。振り子は、ゆらゆらと左右に揺れます。そして、必ず、中央の原点を通って揺れています。振り子の原点にあたるところが、人間の「原点」です。人間はいつも原点で静止しているわけではなく、振り子と同じように気持ちがゆらゆらと揺れ動き、ぶれることがあるものです。そんな時、原点というものさえしっかりと持っていれば、どんなにゆらゆらと揺れている時でも、原点に戻る、あるいは、原点に気づくことができます。原点を通るたびにどうすればいいのか自問自答できるので、悩んだり迷ったりしてあらぬ方向に進みかけても、最終的には正しい道に踏みとどまることができると思うのです。しかし、この原点を持たない人は、振り子の原点がどこにあるのかすら分かりません。原点という重りがないため、ゆらゆらと揺れ動くだけでいつまでもさまよい続けたり、間違った道に進んだ時に、それが間違いであることになかなか気づかないものです。原点とは、すなわち、「正しい考え方」のことです。ですから、まずは、「正しい考え方」を身につけなくてはなりません。「正しい考え方」を持たなければ、原点を持てないからです。一国の首相や実力者に献金問題や金権疑惑がつきまとう、言っていることがコロコロと変わる、言行が一致しない、会社の経営者が私利私欲にまみれている、親が子どもを虐げる、闇バイトの問題。これらの例は、そもそも「正しい考え方」を持っていないか、あるいは、正しくないのに、当人だけが「正しい」と思い込んで行動するために起こってしまうのです。

 私は、リーダーには「向き・不向き」があると思っています。リーダーになるために、一番大切なことは何でしょうか?それは“動機”です。「なんのためにリーダーになりたいのか?」という動機がはっきりしていないのなら、リーダーになるべきではありません。動機がはっきりしていても、「自分のために」という人は、やはりリーダーになるべきではありません。「力を持って、人を自分の思い通りに動かしたい」などと考える人は、リーダーには向いていません。そんな人間に権力を持たせたら、どこかの大統領のようにろくなことになりませんから。 「自分のため」にリーダーになる人は「嫌われないように」とか「疎まれないように」ということを優先して、組織を弱くしてしまいがちです。言うべきことに口をつぐみ、やるべきことをしない。これでは組織は強くならないでしょう。反対に、「ひとりひとりの持っている力を引き出したい。世の中の進化や向上の役に立ちたい」と思う人なら、リーダーに向いています。「人のため」にリーダーになる人は、個人の能力や性質をよく見抜き、どう伸ばすか、組織にどう活かしていくかを考えることができます。もう一つ、リーダーに求められるのは“実行力”だと思います。誰に何と言われようと、やるべきことはやる。「ああだこうだ」と理屈ばかり並べる人は、迷いが生じて動けなくなります。結局、リーダーの覚悟が問われているのです。自分本位だと“我が身可愛いさ”のあまり心が揺らぎがちです。ところが、「世のため人のため」という他者本位だと、心が決まるのです。自分を捨てて、他者のために働けるリーダーはやはり強いのです。本物です。

 そういう観点で、ドナルド・トランプ米大統領(79歳)のやっていることを見ると、言っていることが毎日コロコロと変わります。ハッタリやウソで満ち溢れています。イラン軍事作戦がすぐ終わる、と言ってみたり、ほぼ完了したようなもの、我々は勝った、問題はいつやめるかだけだ、「我々は勝ったと言わせてほしい。勝利を早々に宣言するのは好ましくない。我々は勝った。最初の1時間で戦争は終わったが、我々は勝った」と言ったかと思えば、4~5週間はかかる、と言ってみたり、決定的な勝利をおさめた、などと二転三転します。イランとの戦争がどれくらい続くかについて、一貫性のない発言を繰り返していました。これまでの世論調査でも、米国民の対イラン軍事作戦への支持率が記録的な低さであることが示されています。やはり原点を持たない人物を国民は評価しないのです。

 ホルムズ海峡が封鎖され、経済的な打撃が世界に広がると、同盟国は艦船を派遣すべきだ、日本・中国・韓国は艦船の支援を送るべきだ、同盟国が関わりたくないと言ってきて失望した、と言ったかと思うと、「もう助けはいらない。艦船の支援も必要ない」と開き直ります。ところが翌日には、未練たらしく「協力して欲しい」とグチります。最近では誰も助けてくれなかった、と不満を表明します。自分で世界に火をつけておきながら、煙に文句を言っているように感じます。もう興味がなくなったと言って、あげくの果てには消火活動もお前たちでやれと言う。こういうリーダーには共感が持てる訳がありません。SNS上でのトランプ大統領の発言は、日に日に自慢と恫喝、口汚さを加速させており、下品で品格のかけらもありません。自分が最も偉大であると思い込み、異論や批判を力で排除し、失敗は断固認めず、責任は他人に転嫁する自分本位の人物です。

 一部の観測筋は、トランプ大統領の対イラン軍事攻撃のスケジュールに関する様々な発言は、トレーダーたちが「TACO(Trump Always Chickens Out、トランプはいつもおじけづいて退く)現象=腰抜けのトランプ」と呼ぶ動きの証拠だと捉えています。このタコ(TACO)という言葉を考案したのは英紙フィナンシャル・タイムズ」(FT)ロバート・アームストロング記者でした。「イランがホルムズ海峡を開放しなければ、48時間以内に発電所を壊滅する」と最後通告したかと思えば、一転イランとの協議を理由に「5日間」の攻撃延期を唐突に表明しました。さらには「10日間の猶予を与えることにした」。今度は「2,3週間」と発表する。総攻撃間際になってもズルズルと先延ばしにする。これなどもTACOる典型的な例でしょう。私は総攻撃に向けての時間稼ぎだと思っていましたが、イランの反抗が思いのほか激しいので、見込みがないと判断してタコったのでしょう。

 4月7日朝ホルムズ海峡への攻撃作戦の意向を示したかと思うと、その日の夜にはイランとの2週間の停戦合意を発表しました。トーク番組の司会者は、「そしていつも2週間だ。彼は良心的な従業員のようだ。いつも2週間前に辞表を出すんだ」と皮肉りました。アメリカではtwo weeks’ noticeと言って、退職の意向は最終出勤日の2週間前に申し出るのが一般的マナーであることを踏まえ、「何事も“2週間後”と言って先延ばしする」という最大限の皮肉でした。

 大統領就任以来のウソや言いがかり、はちゃめちゃにブレた言動を見ていると、私は最近「トランプの法則」なるものを感じるようになってきています。自己愛にあふれ、常軌を逸しており、精神状態を疑問視させる言動ですが、よくよく観察してみると、常に彼の言っていることの正反対が本音なのだ、ということが見えてきます。その見方をしていると、彼の言動の真意がよく分かるのです「我々はとても中身の濃い話し合いをした。完璧だったとも言える」と記者団に満足げに語ったのは、「まだ話し合いは不満足だ」ということの裏返しと見ることができます。「協議は順調に進んでいる」「交渉は順調だ」「難航している」と、「イラン側とは主要な点で合意した」「最終合意に至る可能性が非常に高い」「まだ一致をみることができていない」と、「完全な勝利だ。100%!」「全然勝てていない」と、「完全に破壊した」「まだ残っている」と読み解きます。順調なら艦隊をさらに現地に派遣したり、地上部隊を1万人も派遣する必要は全くありません。世界的な混乱の中での「奇妙な」振る舞いは、トランプ大統領の莫大な個人的資産で説明できるかもしれません。億万長者が、富裕層ではない人々、特定の経済階級に属さない人々の幸福を心から心配することを期待できるでしょうか?ささやかな庶民の暮らしを守ることに気を配ることができるでしょうか?トランプ大統領の行動は、常に“Take and ask for more.”(もっとよこせ)という商売人根性で説明することができるでしょう。頭にあるのは自分の立場だけで、経済的な成功と利益の安定だけが第一目的だということです。

 アメリカ・イスラエルのイラン攻撃(戦争)で、ホルムズ海峡が封鎖され、原油価格が高騰しています。私は車を運転しないのでよく分かりませんが、ガソリン代も値上がりしているみたいですね。私は先日ファンヒーターの灯油を買いに行ったら、前回18リットルが2,142円だったのが、2,772円に値上がりしていました。他にも数多くの商品に深刻な影響が出始めています。自分で火をつけておきながら、思うように潰せないと、消火活動はお前たちでやれと責任を押しつける。何という身勝手な大統領でしょう。かと思うと「海峡を開けろ!ろくでなしどもめ!」(Open the fucking Strait, you crazy bastards)と口汚くののしります。交渉は間もなくまとまるだろう、と口にする一方で、脅しもやめません。「地獄が降り注ぐことになる」「石器時代に」「一晩で壊滅できる」「一日で文明の崩壊」「橋も発電所も全て破壊」[何もなくなる」といった恫喝を繰り返しました。要は手詰まりになっているのだろうと推察しています。「イランとの合意が近い」という発言は、もう39回も繰り返され、ようやく合意が締結されましたが、まだゴタゴタが続いています。アメリカが発表することを、イランはことごとく「虚偽」だと反論しています。一向に出口が見えません。

 80歳の誕生日を祝うとして、あろうことか、ホワイトハウスの南庭「サウスローン」に、金網のリングを設置してUFC(総合格闘技)の試合を行うハチャメチャぶり。独立宣言署名250周年記念行事の一環だとのこと。G7サミットはこのため会合を遅らせる有り様でした。♥♥♥

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