「D&S列車」

 JR九州では、観光列車「D&S列車」(デザイン&ストーリー列車)と呼んでいます。「D」は特別な「デザイン(Design)」を、「S」は沿線地域に伝わる歴史や伝説などの「ストーリー(Story)」を指し、「デザインと物語のある列車」という意味を込めています。JR九州の人気観光列車に共通するのが、この「物語」です。それぞれの列車にそれぞれの物語が備わっています。テーマパークのように地域に個性があり、旅することが楽しくなる九州。沿線の風土や車窓の風景を思いきり楽しんでもらうために、JR九州の列車は、個性溢れる洗練されたルックスやインテリアはもちろんのこと、地元とコラボしたユニークな仕掛けが満載です。移動手段として便利なだけではなく、乗ることそのものが、忘れられないイベントになる「D&S列車」の旅。たくさんのワクワク感と物語を乗せて九州各地を駆け抜けています。JR九州では2013年(平成25年)から、観光列車のことをこの名称で呼んでいます。観光客を呼び込むため、地域活性化のために、「D&S列車」は移動手段としてだけでなく、乗ること自体が楽しみや目的となっており、列車そのものが観光資源となっています。沿線地域の観光資源として活躍を始めているのです。

▲私の一番好きな「ゆふいんの森一世」

 そんな「D&S列車」の第一号、特急「ゆふいんの森」は、国鉄が分割民営化されて間もない1989年(平成元年)3月に運行が開始されました。現在は博多駅〜由布院駅間を2往復(日によって異なる)が運行されています。JR九州が生まれ、専用車両を用意して走らせた最初の観光特急でもあり、「D&S列車」の元祖と言ってもいいでしょう。この「ゆふいんの森」の大成功が、その後、九州各地を走る多くの「D&S列車」を生み出すきっかけとなりました。私も初めてこの観光列車に乗って由布院へ行った時のことは強烈な思い出として残っています。これらの個性豊かな列車はすべてドーンデザイン研究所水戸岡鋭治(みとおかえいじ)先生がデザイン・設計しておられます(最新の「かんぱち・いちろく」のデザインだけは鹿児島に本社を置く株式会社 ・IFOOが担当しています)。「D&S列車」はそのほとんどが、従来から使用されていた車両をリニューアルした車両で運行されており、中には普通列車用の車両を改造し、観光特急と称して運行している列車もあります。下がその「D&S列車」の一覧です。

観光列車名 運転開始時期
ゆふいんの森 1989年3月11日  ★私の一番好きな観光列車
九州横断特急 2004年3月13日
海幸山幸 2009年10月10日
指宿のたまて箱 2011年3月13日)
あそーぼーい 2011年6月4日
A列車で行こう 2011年10月8日
或る列車 2015年8月8日
かわせみやませみ 2017年3月4日
36プラス3 2020年10月16日
ふたつ星 2022年9月23日
かんぱち・いちろく 2024年4月26日

 水戸岡先生のデザインには、彼ならではの独特の「哲学」が存在しています。当時の唐池恒二(からいけこうじ)社長がこんなことを言っておられます。♥♥♥

 水戸岡さんのデザインは、はじめて見たときとても感動する。しかし、はじめて見たとき感動するのは、どのデザインにも共通することだ。デザイナーが手がけたものであれば、彼らはプロだから、それは当然といえる。水戸岡さんのデザインが他と違うのは、何度見てもそのたびに新鮮な感動を覚えることだ、斬新だと思えたデザインでも、何度か見ていると次第に感動が小さくなっていき、やがては飽きてしまう。しかし、水戸岡さんのつくった通勤電車の車両は、毎日同じ駅の同じホームから眺めてもまったく飽きることがない。

 水戸岡さんは、デザインの構想を練るときコンセプトを最も大切にする。そのコンセプトは、どこからくるのか。列車のネーミングだ。水戸岡さんは、列車名をコンセプトにして内外装のイメージを固める。ネーミングは、私の専権事項だ。水戸岡さんは、私が列車名を考えつくまでデザインに着手しない。列車名が固まると、水戸岡さんはあっという間にデザインの“あらすじ”をまとめる。その“あらすじ”が、列車一本一本がこれから身に付けていく物語の始まりとなる。(『鉄客商売 JR九州大躍進の極意』(PHP出版、2016年))

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「キレーナ」

 蛍光マーカーをうまく使えない、という人は本当に多いんです。(株)パイロットが企画段階で行ったアンケート調査によれば、まっすぐに線を引けない、線を引いているうちに太さが変わってしまう、インクが乾く前にこすって紙面と手が汚れる、書いた文字の上から線を引くと筆跡がにじんでしまう、などなどの利用者の悩みが浮かび上がってきました。とにかく、蛍光マーカーには失敗する要素が多過ぎるのです。そう考えると、そもそも蛍光マーカーできちんと線が引ける方が珍しいんじゃないでしょうか?そこへ、パイロットから「太さが変わらない線をまっすぐ引きやすく、手も紙面も汚れない新しい蛍光マーカー」「KIRE-NA」(キレーナ)が新登場しました(2024年10月)。話半分にしても興味はあるし、もし事実だとしたら、それは間違いなく蛍光マーカーの歴史を変える革新的な新製品ですね。製品のキャッチコピーは「キチントトトノウ(きちんと整う)」です。蛍光マーカーは私の毎日の仕事には必需品です。今日、米子市天満屋4階の「LOFT」で手に入れてきました(松江市ではそれまでどこにも売っていませんでしたが、今日今井書店学園店をのぞいてみたらようやく入荷していました)。以下は「文房具の八ちゃん」によるこのマーカーの解説です。

▲米子LOFT売り場にて

 パイロットから2024年10月に発売されたKIRE-NA」(キレーナ)が、そのウワサの“もしかしたら歴史を変えるかもしれない蛍光マーカー”です。学生のニーズに応えて、速乾性に優れたインクとまっすぐきれいな線が引けるガイドを採用したのが大きな特徴で、発売以来多くのユーザーに注目されています。軸のデザインも男女を問わず学生に合うものを目指したといいます。ただ残念ながら、松江市内のお店にはどこにも置いてありませんでした。カラーラインナップに関しては、学生にアンケートを行って決め、目に優しい定番の蛍光ベーシックカラー5色と、女性が好む淡いペールトーンカラー5色の全10色展開です。同じ系統の色味を揃えているので、例えば教科書とノートで使い分けることもできます。外見は、最近のパイロット製品に多い、単色軸にカラーパーツをあしらったシンプルな作りで、軸のデザインは、第一印象も「ザ・普通」という感じ。見た限り、そこまで凄いギミックが仕込まれているようには思えません。しかし開発期間はなんと6年にも及んでいます。「完全に新しいインク」「今までにない構造のペン先」を同時に開発する必要があったからです。

 ラインを引く“太”、文字書きもできる“細”のツインチップ仕様ということで、まずは太い側のキャップを開けると、なにやら見慣れない雰囲気です。その原因は、チップを挟むように両脇から生えている半透明のパーツ。これが、線の太さを変えずまっすぐ引きやすくするための秘密兵器「キチントガイド」です。

▲使う際には、カラーパーツに親指を乗せるとガイドの水平が取れて、線が引きやすい

 ペン先を紙に当てると、まずよくしなる特殊なナイロン素材でできたソフトなチップがフニャッとしなるように紙に触れ、その直後に新開発の「キチントガイド」が突き当たります。ガイドが両側とも紙に当たっている状態でマーカーを水平に動かすと、なるほど、確かに太さが一定の線がスーッと引けています。このガイドによって過剰な筆圧がかからなくなるため、何度繰り返しても、常に一定の太さでスーッと引けて、まったく失敗しません。……えーっ、これ凄いんじゃないですか!? 

 蛍光マーカーの線の太さが変わってしまうのは、ほとんどのマーカーで採用されている斧型チップ(先端が斜めにカットされた、硬いペン先)で書き始める際に、斧の刃にあたる部分が紙に傾いて触れているのが原因です。だから、書き始めは線が細く、書いているうちに刃先の全域が紙に当たるようになって線が太くなってしまうのです。最初からチップをまっすぐ紙に当てれば問題ないのですが、とはいえ常にベストな角度で書き始めるのは、なかなか難度が高い技術なのです。従来にも、チップの傾きを解消するために弾力のあるソフトチップを採用した製品は、いくつか発売されていました。この場合、紙にむぎゅっと押し当てることでチップ全域が紙に当たるため、傾きは発生しなくなります。しかし、引く際の筆圧を一定化させないと、結局のところ線は太くなったり細くなったりで安定しないのです。そこで、その筆圧を安定させるのがこの「キチントガイド」の仕事なんです。どれだけソフトチップへ筆圧をかけても、ガイドの高さまでしか紙に押しつけることはできず、逆に、ガイドが当たるところまで押し付ければ、チップの筆圧は常に同じということになります。その結果、どれだけ線を引いても常に同じ太さになる、というすぐれた仕組みなのです。 

 さらに、ソフトチップは曲面に強いという性質も持っています。例えば分厚い教科書を開いた時のふくらんだページの曲面にもピッタリとフィットします。紙面がカモメの羽のように曲がって広がりますが、柔らかく弾力のあるチップなら、その曲がりに沿って動くため、チップが紙面から外れずに安定して線が引き続けられるのです。今日私が購入した「KIRE-NA」(5色セット)には、初回限定のおまけで、曲面にフィットする塩ビ製の「やわらか定規」が付いてきました。これも使えそうです。線を引く時にちょうど親指が引っ掛かるサイドのくぼみもこだわりの一つです。こういった小さな工夫も筆記の安定感を高めるのに一役買っています。

▲ガイドのおかげでチップが定規に触れないので、フチのインク汚れを拭き取る手間もないのが嬉しい

 従来の蛍光マーカーは、チップを紙に押し当てるとダクダクとインクが出て紙に染みをつくってしまうため、どうしても焦って線を引きがちです。ところが「KIRE-NA」は、不要な筆圧がかからないため、インクの流量もほどよくセーブされます。だから多少ゆっくりと引いても、インクの染みができにくいのです。つまり、チップの傾き筆圧インク染みという3つのトラブル要素を気にしなくて良くなったことで、線を落ち着いてまっすぐ引けるだけの余裕が生まれるのです。

 「KIRE-NA」のもう一つのポイントが、新しいインクです。新開発の「速乾顔料インク」は、書いて数秒もしないうちにサラッと乾いてしまい、以降は指でこすってもインク汚れが広がらない。乾くまでの所要時間は紙にもよりますが、普通のノートやコピー用紙なら1〜2秒、教科書のようなツルツルしたコート紙でも6〜7秒あれば大丈夫でしょう。「速乾性を上げることには限界がありますし、浸透性を上げすぎると紙に対して裏抜けが大きくなってしまいます。そのバランスを調整しながらインクを開発することが一番難しかったです」(企画担当者)。パイロットの速乾インクといえば、超速乾筆ペン「瞬筆」を思い出す方もおられるかもしれませんが、これは紙への吸収速度を高めて乾燥スピードを上げたタイプです。対して「KIRE-NA」のインクは裏抜けを防ぐため、そこまで激しく紙に吸い込まれるようにはできていません。メーカー曰く、紙に吸わせつつ紙表面での乾燥効率もアップさせた、いわばバランス型の速乾インクなのだそうです。そのため正直、乾燥スピードは「瞬筆」よりもやや遅い感じです。それでも従来の蛍光マーカーと比較するとかなり速いのです。乾燥スピードが速いということは、ボールペンの筆跡の上からマーキングした際に、元の筆跡のインクがにじみにくいという効果も得られます。ゲルインクなどは、いったん乾いたとしても、上からさらに水分(この場合は蛍光インク)が乗ると、じわっと浮き出してしまいます。ところが浮き出す前にすかさず蛍光インクが乾いてしまえば、にじんでくるヒマもないというわけです。加えて、にじんできたボールペンのインクでチップ先端が汚れる心配も少ないのも、ありがたいところですね。

 太チップがあまりにも革新的すぎてつい存在を忘れそうになりますが、細チップも速乾インクを共有しているため、擦れ汚れの心配なく書けるのはメリットです。実際、蛍光マーカー「マーキング+コメント書き込み」という使い方でツインタイプを愛用している人も結構多いので、やはり細チップはついていると嬉しいのです。

 私は資料のチェックなどで蛍光マーカーを多用しています。ひとまず3日ほど使ってみて、今まで使っていた蛍光マーカーから「KIRE-NA」へ完全に乗り換えることを決めました。とにかく優秀なのは「ソフトチップ」+「キチントガイド」のコンビで、私のように不器用な人間でもフリーハンドでまっすぐな線が引けたのは、最高です。特に、インク染みが広がる心配もなくゆっくりとマーキングできるのが、ここまで使いやすいとは思いませんでした。個人的にはすでに蛍光マーカーの歴史は変わったということで、以降のマーキングには「KIRE-NA」を使い倒していくつもりです。

 発売後の売れ行きは想定以上で、主なユーザーは、学生と40~50代の方々で、狙った通りの層の方に届いているようです。機能面に対する評価はもちろんのこと、価格面でも「これだけの新機能を詰め込みながらこの価格(132円)はすごい!」と評判です。「サヨナラ蛍光ペンストレス」というキャッチコピーで訴求しています。最近発刊されたばかりの『文房具屋さん大賞2025』(扶桑社ムック、2025年2月)では(写真下)、この「キレーナ」が見事「大賞」を受賞しました。それだけインパクトのあった商品だったということです。♥♥♥

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象使いと象

 今年の勝田ケ丘志学館「入学式」を終え、第一回目の授業で「象使い」と「象」のお話をしました。スタンフォードビジネススクール教授であり、Googleなどの大企業のコンサルタントであるチップ・ハース、ダン・ハースの兄弟は著書『スイッチ「変われない」を変える方法』の中で面白い比喩表現を使っています。もともとは、ジョナサン・ハイトという心理学者が、感情と理性との関係を、「象と象遣い」に例えたのが始まりです。要は感情とは大きくてパワフルな「象さん」のようなもので、私たちの理性はそれを四苦八苦しながら取り扱う「象使い」であると。

「感情」は象 ――「心」
「理性」は象使い ――「頭」

 私たちの象、つまり感情や本能は怠け者で、気まぐれで、長期的報酬(やせること)よりも、短期的報酬(アイスクリーム)に目を奪われてしまう。変化が上手くいかないのは、たいてい象のせいだ。

 私たちの中には「象使い」「象」が住んでいます。感情、心というものの扱いにくさを「象」というイメージはうまく表現していますね。巨大な象にまたがり、ムチを振るうので、一見リーダーのように見えます。しかし「象使い」の支配力には限界があります。何と言っても、「象」「象使い」よりもはるかに巨大で強力です。体重6トンの「象」に比べて、せいぜい50~60キロしかない「象使い」ははるかに軽いのです。だから「象」が勝手にある方向へ進み出すと、「象使い」がそれを止めるのは至難の業です。この「象」があなたの感情です。したがってあなたがどんなに英語を学ぼうと「象使い」のレベルで考えても、「象」の方はやる気もないし「やり方」も知りません。愛や思い遣り、共感など豊かな感情があり、変化を起こすエネルギーを持つ「理性」(象使い)は、長期的に考えて計画を練り、先を見据えようとするあなたの行動は、6トンの「象」さんの上にちょこんと乗っています。「象」の100分の1の重さしかない「象使い」が乗っているのですから、「象」さんと「象使い」がけんかした場合は、勝負は明らかですね。

   理性の御者は、暴れん坊の馬を従えている(哲学者プラトン)

 いくら「受験に絶対必要だ」「英語は現代生活に重要だ」「毎日コツコツやれば必ずできるようになる」と理解して、「象使い」が懸命にムチを振るっても、ひとたび気まぐれな「象」にソッポを向かれてしまったらどうにもなりません。豊かな感情「象」を解放して、自分が楽しみ、人を楽しませ、ここぞという時には感情を上手くコントロールして、効果的なコミュニケーションができる「象使い」にもなれる、そんな技が身に付いてくると、仕事のストレスも減りそうですよね。「英語を学習するのは正しい」とか「この計画なら効率的に学習できる」といった、理性的な判断だけではダメなのです。重要なのは「象」すなわち人の感情、心を味方につけることです。「象」が見方につけば、それまで「象」の弱点と見えていた「御しがたさ」、動きを邪魔するその途方もないエネルギーが、今度はあなたの目的のために使えるようになり、この上ない推進力となってきます。ではその「象」を味方につけるのにはどうしたらいいのでしょうか?まずは「象さんに方向を指し示すこと」です。心()に響く目標が必要です。「象」が喜んで、嬉しがって「象使い」に指示されなくても行きたくなるくらいのワクワク感を感じさせれば良いのです。「旅の価値」を「象」に納得させることができれば、その方向に「象」が行って見たいと本当に思ってくれればしめたものです。「象」をウキウキ、ワクワクさせればいいのです。そしてひとたび正しい方向へ「象」がその大きなエネルギーで動き出すことができれば、成功の確率は高くなることでしょう。自分が向かうべき「目的地の絵はがき」が明確になっていれば、驚くほど人を奮い立たせることができるのです。

 先輩で東北大学に行っている生徒がいます。彼女からは東北大学の素晴らしさをたくさん聞いています。私の大好きなシンガーソングライターの小田和正さん(工学部建築学科)の母校でもあります。そしてこのほど、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)は2025年4月3日、日本の国公私立大学のうち257大学の「教育力」を独自の基準で測って順位づけした「THE日本大学ランキング2025」を公表しました。1位は、5回連続で東北大でした。

1位 東北大
2位 東京工大(現東京科学大)
3位 東京大
4位 京都大
5位 九州大
6位 大阪大
7位 名古屋大
8位 北海道大
9位 筑波大
10位 国際教養大 

 文部科学省が世界水準の研究大学を作るために創設した、10兆円規模の大学ファンドの支援候補に、東北大学は東大や京大に先駆けて選ばれてもいます。

 こういったことから「どんなことをしても東北大学に進学したい」という強い目標が芽生えれば、厄介な「象」も喜んで協力してくれることでしょう。♥♥♥

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soonは「すぐに」ではない!

 「soon=すぐに」と一対一対応で安易に覚えている高校生が多くいます。何でもかんでも「すぐに…」という日本語をsoonとやってしまう生徒が、英作文を指導していて目に付くんです。ここでsoonを英英辞典で引いてみると、“in a short time from now” [LDCE] /at a time that is not long from now [NWALED] とありますから、およそ切迫感はなくのんびり感が漂っています。「ただちに」ではなく「まもなく」なのです。「そのうちに」「もう少し後で」といったニュアンスの単語です。つまり、文脈によっては、soonは「後5分」、「後1時間」、「後1週間」などの“曖昧な期間”という感じを表す単語なのです。これに対して、「ただちに、今すぐに」の意味では、right away, at once, immediately<formal>などを使います。

 では、soonは一体どのくらいの程度に「すぐに」なのでしょうか? 答えは、「話者の主観的な感覚で決まり、時間幅が曖昧である」というところです。soonの時間幅が曖昧なのを明確にするために、「How soon…?」という質問を考えてみるとよく分かります。この議論は日本語でも同じことが言えます。「すぐにやります」と日本人が発言したとき、どのくらい「すぐに」やるのかは極めて曖昧で、本人の感覚に依拠します。英語でも同じことが言えるのです。 あえて曖昧なsoonを使っているということは、つまり明確な時期を明記しなかったり、切羽詰まった表現であるright nowなどを使わないという意思を考慮すると、soonはそんなにすぐではない、ということが何となく分かると思います。 新しい製品が発表されたり、お店がこれからオープンするときに、「It’s coming soon.」という表現をよく見かけますが、来週なのか来月なのか来年なのか、よく分かりません。話者自身も曖昧なのか、むしろはっきりさせたくないという意図があるためにsoonを使っているわけです。以下の用例をご覧ください。

  The bus will come soon.(バスはそのうち来るさ)

  The mailman should be coming soon.(郵便配達員はそのうち来るはずです。)

  It’s my birthday soon.(もうすぐ私の誕生日です。)

  My son will come home from school soon.(息子はそのうち学校から家に帰ってきます。)

  It will be the summer vacation soon. Where shall we go?(もうすぐ夏休みですね。どこに行こうかな?)

  It will be dinnertime soon. Finish what you are doing and come into the kitchen.(もう夕食ですよ。やっている事を終わらせてキッチンに来て下さい。)

 私たちの『ライトハウス英和辞典』(第7版)【類義語】欄の解説をご覧ください。♥♥♥

soon   あまり時間がたたないうちに事が起こったことを意味するが、どのくらいの長さの時間であるかは前後関係によって異なり、かなりの時間を意味することもある: They will soon arrive. 彼らはもうすぐ到着するでしょう。

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「キユーピーマヨネーズはじまりのポテトサラダ」

◎週末はグルメ情報!!今週はキューピーサラダ

 キユーピーマヨネーズは、「キユーピー マヨネーズのはじまりのポテトサラダ」を3 月1日から期間限定で全国のスーパー・ドラッグストアで販売しています。私は黒田町のHOKで見つけて購入しました。

 キユーピー株式会社は、キユーピー マヨネーズ発売100周年を迎えました。1919(大正8)年、キユーピーの前身である食品工業株式会社は、食品の製造会社として、現在の東京都中野区に創業し、ソース類、缶詰などの製造を始めました。中島董一郎(なかしまとういちろう)は創業時に、取締役の一人として名を連ねます。その後、「キユーピー マヨネーズ」の製造を開始するとともに、その後の企業成長において中心的役割を担いました。中島はまた、中島商店(現・株式会社中島董商店)を1918(大正7)年に創業し、同商店が1972(昭和47)年までキユーピーで製造した商品の販売を担いました。中島は1910年代、当時の農商務省による海外実業練習生として英国と米国に約3年間滞在。そこで“オレンジママレード”“マヨネーズ”に出会いました。1923(大正12)年に関東大震災が発生。その復興の中で女学生の装いが洋風化するなど生活様式が変化する様子を見た中島は、食卓にも変化が訪れると感じ、食品工業でのマヨネーズの製造に向けて動き出します。1925(大正14)年、「おいしく、栄養のあるマヨネーズを、生活必需品となるまで広く普及させて、日本人の体格と健康の向上に貢献したい」という想いで、卵黄タイプで栄養価の高い「キユーピー マヨネーズ」を発売しました。ブランド名には当時、人気だったキャラクターの「キユーピー」を採用しました。発売当時、日本ではほとんど知られていなかったマヨネーズはガラス瓶に入っていたため整髪剤(ポマード)と間違われたという逸話も残っています。「キユーピー マヨネーズ」を広めるため、食卓にさりげなく「キユーピー マヨネーズ」が描かれている美しい絵画を広告に使うなど、創意工夫を凝らしました。戦後はあらゆるものが不足し、闇市もごく当たり前にある時代でした。従業員の中にはこのような闇市で原料を調達してでもマヨネーズを早く作ろうと言う人もいました。それを断固拒否した中島のもとを、去っていく従業員もいました。この経験で中島「志を同じくする人と業を楽しんで悦びをともにする、そこに仕事のやりがいがある」との想いを強くします。その想いは、キユーピーグループの社是「楽業偕悦」(らくぎょうかいえつ)につながっています。

 キユーピー マヨネーズ誕生のきっかけとなった「キユーピー マヨネーズのはじまりのポテトサラダ」を、グループ会社のデリア食品株式会社が3月1日(土)から3月31日(月)までの期間限定で発売しています。長年愛されてきたキユーピー マヨネーズのおいしさをお客さまに改めて感じていただくとともに、マヨネーズ誕生のきっかけとなったポテトサラダの魅力を再発見していただく機会につなげていきたいとしています。

 キユーピー マヨネーズ誕生のきっかけとなったポテトサラダをヒントに商品開発をしました。キユーピーの創始者 中島董一郎(なかしま とういちろう)は、今から100年以上前にアメリカでポテトサラダに使われているマヨネーズに出会い、そのおいしさと栄養価の高さに感動し、1925年に日本で初めてマヨネーズの製造・販売を始めました。今回スーパーで発売する「キユーピー マヨネーズのはじまりのポテトサラダ」は、キユーピー マヨネーズ誕生のきっかけになったとされるポテトサラダをヒントに、社内に残されている当時の文献を参考にして開発しました。キユーピー マヨネーズを使用し、具材はじゃがいも・たまねぎ・ゆでたまごのみを使用した、シンプルでキユーピー マヨネーズのコクや口どけが感じられるポテトサラダです。

・キユーピー マヨネーズのコクを生かした味わいと口どけを実現したポテトサラダです。
・具材はじゃがいも・たまねぎ・ゆでたまごのみのシンプルな配合です。
・パッケージ蓋のキユーピー マヨネーズのワンポイントシールが目印です。


 「愛は食卓にある」でおなじみのキユーピー株式会社。マヨネーズを筆頭に、ドレッシングやジャム、パスタソースやベビーフード……などなど、多くの調味料を手掛ける食品メーカーです。中でもやはりマヨネーズの存在感は抜群で、日本のマヨネーズの歴史はキユーピーと共にあるといっても過言ではないでしょう。ここで注意しておきたいのは、実は「キユーピー」の「ユ」は小文字の「ュ」ではなく、大文字の「ユ」を使用しています。発音は「キューピー(QP)」です。ではなぜ、文字にする場合にだけ「キユーピー」になるのかというと、一言で言うと、デザイン上の問題です。小文字の “ュ” ではなく大文字の “ユ” の方がデザイン的にふさわしいと判断し大文字の “ユ” を使用しているのです。商標登録を行った1922年以来のなごりで、デザイン上のバランスを考慮して大きな「ユ」のままとなりました。似たような例に、「キヤノン」「シヤチハタ」でも 大文字で表記していますね。多くの人が見逃しているポイントです。

 キユーピー株式会社は1919年11月30日「食品工業」として設立され、1957年9月に現在の社名に改称しましたが、「キューピー」は当時流行していた人形からとったものでお年寄りから子どもまで、幅広く愛される商品にしたいとの願いを込めて命名されました。そのキューピー人形がどこからきたかというと、1909年の米国画家のローズ・オニールさんによって、キューピッドを元に製作されました。「キューピー KEWPIE」という名を創作したのもオニールさん。「ローマ神話に登場するキューピッドCUPIDは、人々のこころにいたずらをするけれど、わたしのキューピーには愛だけをはこんでほしい…」といった願いがあったのだそうです。そこから陶磁器製の人形が作られ、それが後にセルロイド製となり、最終的にソフトビニール製となって世界に浸透していきました。その著作権を、日本キューピークラブローズ・オニール遺族財団から譲り受けます。食品メーカー、キユーピー株式会社はというと、1922年に「キユーピー」の文字およびイラストを商標登録していました。このため1998年、日本キューピークラブが食品会社のキユーピーマヨネーズのキャラクターに対して、著作権侵害の裁判を起こすということがあったのだそうです。愛されたキャラクターが西洋のものであったことから、日本では後々にトラブルとなりました。それも、我々がキユーピーはマヨネーズから来ているのではないかと思うほど好評を博したからに他なりません。

 ついでながら、キユーピーは年間40億個の卵の殻を再利用し、学校など使われるチョークを作っているということを初めて聞きました。♥♥♥

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魔術館の♥9

 直木賞作家の故・泡坂妻夫(あわさかつまお)さんに『魔術館の一夜』(現代教養文庫,1987年)という作品があります。この本は、あの松田道弘(まつだみちひろ)さんが「奇術書の革命であり奇跡である」とまで絶賛した名著です。「奇術の種明かし」と「読み物」を両立させたものは他に例がありません。その後泡坂さんは、『泡坂妻夫マジックの世界』(東京堂、2006年)という専門書も書いておられまして、この本の最後に出てくる「ワープナイン」名付け親は、あのマックス名人です)というパズル傑作が私は大好きでした。不思議ですよ。これを商品化して発売したのが、小野坂トンさんのマジックランド(東京)のパズルマジック「厚川昌男(あつかわまさお)の魔術館の♡9」で、私は何個も買ったことを覚えています。ついでながら名前の「泡坂妻夫」(AWASKA TSUMAO)さんというのは、本名の「厚川昌男」ATSUKAWA MASAO)のアナグラム」(anagram)ですよ(組み替えてみてごらんなさい)。アナグラム」はある程度単語力のついてきた高校生に使うと、絶好の英語指導材料になることを私は経験から知っています(⇒詳しくは私の解説コチラをご覧ください)。♠♣♥♦

 魔術館の♡96片に切り分けた大きなトランプ(ハートの9)を1枚示します。このバラバラの6片を組み合わせてみますが、なぜかうまくはまることははまるのですが、最後の1片だけが裏向きになってしまいます。今度は裏向きでやってみましょう、と裏向きで組み合わせると、これまた1片だけが表向きでないとうまくはまりません。今度は6片を再度バラバラにして気分も新たに表向きに組み合わせると、ようやくうまく組み上がるのです。巧妙かつ精緻なパズル・トリックです。これを考えた泡坂さんはまさに天才と言わねばなりません。

 巧妙なトリックを凝らしたミステリ-や、職人の誇りと人情の機微を描いた小説で直木賞も受賞された泡坂妻夫さん。直木賞の受賞記者会見では、その求めに応じて奇術の腕前も披露されました。本職は家業を継いだ和服に紋を描く紋章上絵師でしたが、その傍らに作家・創作奇術家として活躍されました。小説家としてだけでなく、奇術愛好家兼奇術師として、1969年には第2回石田天海賞を受賞しておられます。またご自身の名を冠した「厚川昌男賞」という創作奇術家賞が設けられています。泡坂さんは、2009年2月3日午後6時36分、75歳で、急性大動脈解離でお亡くなりになりました。私は泡坂さんの著書『しあわせの書 迷探偵ヨギガンジーの心霊術』(新潮文庫)の大ファンで、この本で不思議な「ブックテスト」を人前で何度演じたことでしょう。⇒コチラです この本は仕掛けを知らない人にとっては、ただの小説なんですが、マニアにとってはあこがれの一冊なんです。価値を知らない人が「ブックオフ」に売り飛ばして、わずか100円で棚に並んで売られているのを見ると淋しくなります。私は目にする度に買い占めているんです。♠♣♥♦

▲とんでもない仕掛け本です 古本屋で見つける度に買っています もう何冊たまったことか!!

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1セント硬貨製造中止

▲一個440円で私は手に入れました

 「教育省」の解体、保健福祉省の一万人解雇、政府系メディアの縮小(私は「VOA」のファンですが、全職員が休職扱いとか)、全世界に向けての相互関税の導入など、もうやりたい放題のアメリカ・トランプ大統領ですが、私は最近面白いものを手に入れました。2025年、しばらくの間はカードマジックの掴みはこれでOK?のカードケースです。「とらんぷのマジックをご覧頂きましよう。」そう言ってこのケースを取り出して観客に見せます。ただそれだけで受けます。ケースの中からトランプを取り出して、私のお気に入りのカード・マジックをやります。ケースは本物の正規品のバイスクルケース(赤・青)を加工したものです。2025年はトランプさんが大活躍すると思い(予言)ますので、きっとこれ役に立つと思いますよ。

 トランプ米大統領は2025年2月9日、「ペニー」と呼ばれる1セント硬貨の製造中止をベッセント財務長官に命じたことを明らかにしました。トランプ大統領は自身のSNSに「あまりにも長い間、米国は文字通り2セント以上のコストがかかるペニーを鋳造してきた。これはあまりにも無駄だ!新しいペニーの製造中止を財務長官に指示した」と投稿し、「偉大な国の予算から、たとえ1ペニーずつでも無駄を取り除こう」と述べました。先日もトランプ米大統領は、連邦政府機関の施設で紙ストローを廃止し、プラスチック製ストローの復活を促す大統領令にも署名しています。「紙ストローは機能しない。これまで何度も使ってきたが、破れたり破裂したりする」と不満を示し、「プラスチックのストローに戻る」と述べました。「プラスチックが海で泳ぎながら食べているサメに大きな影響を与えることはないと思う」とも訳の分からない論理を展開しました。大統領令は「反プラスチック製ストローの理不尽なキャンペーン」が大都市や州、企業によるプラスチック製ストローの禁止を招いたと指摘。バイデン前政権による使い捨てプラスチック製品の削減政策を批判しているとみられます。

 1セント硬貨は、アメリカで1793年に初めて発行されました。廃止を巡っては長年にわたって議論が続いてきました。経済学者のヘンリー・アーロン氏は、2013年「ペニーを廃止しよう。ついでにニッケル(5セント硬貨)も。この通貨の残骸がなければ人生はもっとシンプルになる」と主張。その一方で、1セント硬貨が消費者物価の押し下げにつながり、慈善団体の収入源にもなっているとの指摘もあります。トランプ大統領はその理由について、「米国は長きにわたり2セント余りのコストがかかる1セント硬貨を製造してきた。無駄遣いだ」と主張しています。1セントは100分の1ドル。1セント硬貨を巡っては、実業家・イーロン・マスク氏が率いる、政府の支出削減のための新組織「政府効率化省」もコストの高さを指摘する投稿をしています。

 ではひるがえって、日本のお金の場合はどうでしょうか?「国民の貨幣に対する信任を維持するためや、貨幣の偽造を助長するおそれがあると考えられる」として、日本の造幣局は貨幣の製造コストを公表していないのですが、専門家によりますと、1円玉を製造するコストは3円程度かかると言われています。そんな中、街の人からもコスト面やキャッシュレス化が進んでいることで、「1円玉不要論」が聞かれました。「いらないのではと思っちゃう、かさばるので。作らなくてもいいのではと思う。」「なくても困らない。1円とかそういう単位がなくなっていったら完全にいらないのでは。」

 現在の硬貨の流通枚数は、約851億枚です。そのうち364億枚ほどが1円玉だそうです。1円玉の製造枚数が最も多かったのは1990年。1年間で27億枚以上が製造されていました。1990年前後に1円玉の製造枚数が劇的に増加した理由を専門家に聞くと、1円硬貨の製造枚数は消費税率の変動や経済状況など様々な要因によって変化してきましたが、特に1989年に消費税3%が導入された際には、端数処理の必要性から1円硬貨の需要が増加し発行数も増加したとのことです。ただ一方、ここ数年最も多かった頃の5,000分の1程度、50万枚程度で推移しています。今後アメリカのように、日本でも1円硬貨の廃止論は出てくるのでしょうか?確かにキャッシュレス化が進む中で、1円硬貨の存在意義はますます薄れてきています。将来的には1円硬貨の廃止や新たな活用方法の模索がさらに進む可能性があるでしょう。今後、世界的にもますます進むというキャッシュレス化。「1円玉、チリも積もれば山となる」を小さい頃から教え込まれてきた私にはちょっと寂しい気もしますが、紙幣や硬貨がどんどん減っていくのかもしれません。

 ちなみにアメリカでのコインの呼び方は、penny(1セント)、nickel (5セント)、dime(10セント)、 quarter(25セント)です。♥♥♥

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「MINIATURE LIFE展」

 国内外で大人気の「MINIATURE LIFE展」(入場料金1,200円)がパート2として作品を一新、バージョンアップして米子市美術館に帰ってきました(2025年2月8日~3月24日)。勝田ケ丘志学館の「修了式」の帰りに米子市美術館をのぞいてきました。

 バウムクーヘンが虹に、ハンバーガーのパラシュートで美味しい空の旅を、目玉焼きが南の島にと、本展では写真と立体をあわせて約170点を一堂に展示し、地元限定2作品も登場しています。ミニチュアと日用品を組み合わせて別のモノに見立てる、遊び心満載の田中達也(たなかたつや)ワールドを楽しむことができます。日常的なものを題材に、ミニチュア人形と組み合わせた作品を制作・発表するミニチュア作家・見立て作家の田中達也さん。作品とタイトルは思わず笑顔になり、「さすが!」と唸るものばかりです。ジオラマ用の人形と身近な日用品を組み合わせて、別のものに見立てたミニチュア作品を数多く手がけています。見ると思わず笑顔になる作品たちは、SNSを通じて世界中で共有され、世代を超えて多くの人々を楽しませ続けています。遊び心満載の「見立ての世界」を体感できます。普通の美術展と違って、会場内は全ての作品の写真撮影が可能で、楽しく参加できる展覧会です。

▲ハングリーハンター

▲季節の衣替え

▲マミーサイドアップ

 田中達也さんは日用品とジオラマ用人形をモチーフに、日常にある物を別の物に見立てたアート作品を制作するミニチュア写真家・見立て作家です。彼の展覧会「MINIATURE LIFE展」には、国内外で、約250万人(2024年7月現在)が来場したそうですよ。

▲しばらくここで待ってクリップ

▲おスシティー

 米子市美術館の1階と2階が会場となっていました。こんなに実物は小さいのか!とビックリしました。印象に残ったのは、「しばらくここで待ってクリップ」という作品で、ダブルクリップを使い、待合室の光景を再現していました。「おスシティー」では、回転寿司を高速道路・建物に見立てて、お寿司が回る様子で自動車の流れを再現しておられました。これはすごい発想力ですね。鳥取県米子会場限定作品も2つほど展示されていました。「ベッドに砂丘」では、ベッドの毛布を鳥取砂丘に見立てて展示していました。他にも、あるものを違うものに見立てたり、人に対するサイズを変えたりと、単体作品だけではなかなか気づけないような比較ができる展示もあって実に面白かったです。

▲ベッドに砂丘

 「どうして、アイデアが尽きないのですか?」これは、毎日新作を生み出す田中氏のもとに、最も多く寄せられる質問だそうです。田中さんのアートは、単にミニチュアを並べているだけではありません。形、色、動き、スケール、擬人化など、様々な視点から物事を捉え直し、組み合わせることで、新たな世界を生み出しています。田中さんの作品の魅力に引き込まれるだけでなく、企画やクリエイティブ制作に役立つ新たな視点を手に入れることができます。「見立て」という思考法は、既存のものを組み合わせ、新しい価値を生み出す力、そして人々に共感を与えるアイデアを生み出す力を養うのに役立ちます。田中達也さんの作品は、日常にあるものを何かに“見立て”て作られており、そのユニークな発想と可愛らしい世界観が魅力です。ミニチュア作品の制作には、様々な素材が使用されており、その作品を通して、素材の新たな可能性や面白さを発見することができます。また単に可愛らしいだけでなく、クスっと笑えるユーモアや奥深いメッセージが込められている点も魅力です。田中さんの作品は、小さいながらも、大きな感動を与えてくれますね。♥♥♥

▲XXXXXLサイズの波

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「エイプリルフール」の英語表現

 4月1日「エイプリルフール」です。今から40年前くらいのことでしょうか、これの英語表現についていろいろと思いを巡らせて、調査を進めていました。当日の英米の新聞を片っ端から取り寄せて、実態を把握しようとしていました。その結果を岩崎研究会の会誌に発表したことがあります。それに関して、以下のような文章をブログにも書いたこともあります。私には思い入れの深い表現です。事情は当時と変わっていないと思われますので、再掲しておきますね。


 毎年4月1日が来ると、いつも思うことがあります。「四月バカの日」(エイプリルフール)に相当する英語表現には「揺れ」が見られるのです。今からもう30年以上も前のことになりますが、我が国の英和・和英辞典の圧倒的多数が、April Fools’ Dayを(複数形)見出し語に立てていました。便宜上、これを[A型]としておきましょう。ところが、当時私が、英米の新聞や百科事典を見ていると、[B型] April Fool’s Dayが(単数形)よく使われていたのです。教員になりたての頃に、このことに気がついた私は、ずいぶんこの問題を追いかけたことがあります。「(株)海外新聞普及」から、4月1日付けのアメリカ・イギリスの新聞を片っ端から取り寄せて、細かく検討した時期がありました。その問題点をまとめたのが、八幡成人  「語法ノート:April Fool’s Day」  Lexicon, No.17(1988)(岩崎研究会)でした。今からもう30年も前のことです。しかしそこで指摘した問題点に関しては、今も事情は変わりません。1984年にフィラデルフィアに滞在中であった三木悦三教授(熊本女子大学)のご好意で、少なくともアメリカでは、両方の形が意味の差なしに使われていることを確認していただいています。我が国の主な辞典の扱いは下記の通りです。

◎April Fools’ Day ―  『和英大辞典』(研究社) 『新英和中辞典』(研究社)『ルミナス和英辞典』(研究社) 『ライトハウス和英辞典』(研究社) 『アドバンスドフェイバリット和英辞典』(東京書籍) 『エースクラウン英和辞典』(三省堂) 

◎April [All] Fools’ Day ― 『オーレックス和英辞典』(旺文社) 『新和英中辞典』(研究社)

◎April Fools’ [Fool’s] Day ―  『グランドセンチュリー和英辞典』(三省堂) 『英和大辞典』(研究社) 『リーダーズ英和辞典』(研究社) 『E-ゲート英和辞典』(ベネッセ) 

◎April Fool’s [Fools’] Day ― 『ジーニアス和英辞典』(大修館) 『フェイバリット英和辞典』(東京書籍) 『スーパーアンカー英和辞典』(学研) 『ウィズダム英和辞典』(三省堂) 『ライトハウス英和辞典』(研究社)  『コンパスローズ英和辞典』(研究社)

  当時、私たち『ライトハウス英和辞典』の編集顧問のロバート・イルソン博士(ロンドン大学)に調べてもらったところでも、イギリスでは両型が見られるとのことでした。ブリティッシュ・カウンシルが使っているのも[B型]です。アメリカ辞典界の老舗メリアム・ウェブスター社ミッシュ編集長(当時)によれば、同社編集部の用例ファイルでは、[A 型][B型]の比率は3:1だということでした(ただし用例が少々古いので現代英語を反映しているかどうかは疑問だ、と断っていらっしゃいましたが)。1987年に、八幡がアメリカの4月1日付けの新聞13紙を調べたところでは、逆に2:3で[B型]の方が多かったんです。私たちの編集顧問・故ボリンジャー博士(ハーバード大学名誉教授)ご自身の好みも[B型]だということでした。で、博士は、地元新聞(Palo Alto)の編集者たちに聞いてくださったんですが、やはり同様の結果が得られました。句読法の研究で知られるCharles F. Meyer教授(マサチューセッツ大学)にご協力をいただいて(1987年12月)、先生のクラスの学生の反応を調査してもらいました。[B型]を好む者13名、[A型]を好む者が8名、ということでした。やはり[B型]の方が一般的のようです。少なくとも、[B型]が無視できなくなっていることは、次の記述からも分かりますね。

 The occasion celebrated on the first day of April is officially called April Fools’ Day in the United States. Each word of the titled is capitalized and the fool is plural possessive. The singular fool’s is listed as a variant spelling. However, this is not standardized and the main listing seems to vary from dictionary and dictionary (i.e., whether the plural or the singular is listed as the main spelling). Actual usage seems to support this non-preference, with both spellings being used about the same frequency. (Grammaristより、下線は八幡)

 私は今、間違いなくApril Fool’s Dayの綴りの方が優勢だと思っています。この件については、あまり英米の辞書は役に立たないのですが(私が英語研究で最も頼りにしているロングマンもApril Fools’ Dayだけです。ところがそのアメリカ版であるLongman Dictionary of American EnglishではApril Fool’s Dayとなっています ね)。Oxford Advanced Learner’s Dictionary (9th ed. 2015)では、見出しがApril Fool’s Dayとなっていました。グーグルで検索してみても(Google Ngram Viewer)、やはり[B型]の方が[A型]よりも優勢となっています。グーグルに出現する頻度を比較してもやはり[B型]の方が[A型]よりも圧倒的優勢となっています。私はこのような実態を受けて、『ライトハウス英和辞典』(第6版)『コンパスローズ英和辞典』では、上記のように、[B型]を主見出しとして扱いました。

 現在優勢なはずのApril Fool’s Dayという綴りが、英和・和英辞典からすっぽりと抜け落ちているのは一体どうしたわけなんでしょうか?他辞典の「孫引き」ではなく、自ら裏付けを取ることの重要性を忘れてはなりません。この語の起源に関しては、諸説があって定かではありません(Morris & Morris(1962),  Ciardi(1980), Hendrickson(1987)参照)。どうしてこのような異形が生まれてきたかについての歴史的背景や、そして優勢になる訳については、コチラ“What’s the correct spelling of April Fool’s Day?”という優れた解説が出ていますので、興味のある方はご覧ください。♥♥♥

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キャベッジ大活躍!!

 プロ野球が開幕しました。私の大好きな巨人軍がヤクルトに開幕3連勝で良いスタートを切りました。甲斐、キャベッジ、石川、田中瑛、マルティネスなど新戦力の活躍が目立ちました。今日はその中でも特に活躍が光った新助っ人、トレイ・キャベッジ外野手(27歳=米国 推定年俸2億)を取り上げます。今季開幕戦となった3月28日のヤクルト戦(東京D)で「2番・右翼」に入って先発出場。来日1号2ランを含む3安打2打点と大活躍し、チームの大逆転勝利に大きな貢献をしました。1回の第一打席で右中間フェンス直撃の二塁打を放ちいきなり存在感を示しました。5回の第3打席ではまたも左中間に二塁打。そして、0-5で迎えた8回には来日1号となる2ランを右翼スタンド中段へ叩き込みました。流れが変わります。ここから巨人は反撃を開始し、9回に一挙3点取って追いつくと、延長10回に若林がサヨナラ打を放ちサヨナラ勝ちを収めました。

 試合後、お立ち台に上がったキャベッジ「本当に興奮した気持ちで開幕を迎えました。神様に感謝したいと思います。そして、なによりチームが勝ったので、それが一番うれしいです」と笑顔。記念球については「父親に渡したい。今までも節目のヒットの度に記念球は父親に渡してきましたので今回も同じように父に渡したいというふうに思います」と声を弾ませていた。開幕前日に阿部監督「キーマンはキャベッジになる。そこが一番だと思うよ」と挙げていました。今日これだけの大活躍で監督もベンチですごく嬉しそうでした。「そうですね。そう言っていただけることは非常に嬉しいですし、今日みたいな活躍をこれからもしていきたい。ただ、誰がキーマンとかそういうことよりは、みんながカバーし合って、1人1人が自分の役割をしっかりと果たして、で、その先にリーグ優勝と日本一があるというふうに思ってますので、これからもそういう意識で助け合いつつシーズンを送っていきたいと思います」 開幕戦の日の朝には 「特にやってるルーティンはないんですけれども、今朝に関してはメジャーの開幕戦がテレビでやってたんでそれをゆっくり見ながら朝食をとって、朝のコーヒーを飲んだって感じです」

 第2戦でも右中間へ2戦連続で3ランホームランを放ち、試合を決定づけました。球団の新外国人の開幕2戦連発は球団初の快挙です。第3戦でもツーベースヒットを放っています。

 不振だったオープン戦とはまるで別人のようです。出場14試合で、打率2割1分4厘(42打数9安打)、0本塁打、3打点と全く振るいませんでした。日本の投手とタイミングが合わず、直球には差し込まれ、変化球には体勢をを崩されていました。特に三振が44打席で14個(約32%)と非常に多かったのです。オープン戦では何でもかんでも力任せに振りにいっている印象でしたが、開幕してからはコンパクトに振り始め、お陰で軸がぶれずにバットが素直に出ていました。オープン戦と比べると、スイングにキレが出てきたみたいです。幸先の良いスタートを切りましたね。今後が楽しみです。

 “変身”のきっかけの1つは、打順にもありそうです。キャベッジは今月中旬まで5番を打つことが多かったが結果が出ず、オープン戦期間終盤には7番、6番、1番などで起用されました。巨人打線の課題は、主砲・岡本和真内野手の後ろの5番を誰に任せるか。ここに調子のいい打者を置けば、岡本と勝負してもらえるケースが増えますから。もし、キャベッジがオープン戦でそこそこの数字を残していたら、5番で開幕を迎えていたことだったと思います。状態が良くなかったので、他の選手の中で誰が5番に適任かを考えた時、オープン戦で2番を打っていたエリエ・ヘルナンデス外野手という答えになり、入れ替えたのだと思います。結果的に、これがハマりました。『自由に打て。チャンスを広げろ』と。そこからのスタートが、少し気を楽にしたのかもしれません。メジャーでは近年、最強打者を2番に置くことが多いので、そういう意味でも、キャベッジは決して悪い気分ではなかったと思います。超攻撃的2番です。

 2015年のMLBドラフト4巡目(全体110位)でミネソタ・ツインズから指名され、プロ入りしました。エンゼルス傘下の3Aに在籍した2023年は、打率3割、30本塁打、30盗塁以上を記録する「トリプルスリー」を達成した好打者でした。吉村禎章編成本部長兼国際部長は、2年前から彼のプレーを見て注目していたといいます。

 この27歳は手を抜きません。全体練習前に早出して打ち込んできました。開幕日もチームで一番早くバットを振り始めました。そうした努力が結果に結びついています。足も速く、試合となればヘッドスライディングも厭わずユニホームは真っ黒です。コーチたちもみな口を揃えて「真面目だ」と語ります。昨年開幕を待たずに退団していったプライドの塊のような日本を見下した助っ人とはえらい違いです。

 丸佳浩外野手が故障で開幕1軍メンバーから離脱しましたが、「1番・左翼」で出場した若林楽人外野手も、サヨナラ打を含め6打数4安打2打点。阿部慎之助監督が抜擢した1、2番コンビが見事に功を奏しました。抜擢の妙でしょう。振り返ってみるに、巨人打線は昨季、打棒を振るっていたヘルナンデスが8月に左手首を骨折し戦列を離れると、3番の吉川尚輝内野手(最終盤で離脱)と4番岡本頼みとなり得点力がグッと落ちました。その点、今季は周りでフォローできる態勢が整っていると感じます。覚醒した新助っ人が2025年の巨人打線を牽引するかどうか期待したいと思います。評論家の村田真一さんが「キャベッジ、オレはかならず打つと思ってるよ」と予言していたのを思い出しました。慧眼です。♥♥♥

▲松江大橋南詰の桜

▲千手院のしだれ桜

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