「ホラ」と「ウソ」

 私が尊敬する日本電産会長(現ニデック)永守重信(ながもりしげのぶ)さんは、日本電産がまだ小規模の頃から、一見すると実現不可能とも思える壮大な夢を描き、「大ボラ吹きだ」と批判されてきました。原点とも言えるのが、1973年7月23日創業当初、真夏の暑い中、たった3人の社員が並ぶ前で、永守さん(28歳)は、グローバル企業になると宣言しました。壮大な夢を語り続け、5,6分で終わるどころか何と1時間40分にもわたったといいます。10年後には京都で一番の場所に会社を置き、20年後には自社ビルを作り、30年後には京都で一番高いビルを建てる、とまで言い切りました。

 永守さんのすごいところは、このときの「ホラ」をすべて有言実行して実現していることです。わずか創業10年後の1983年には、本当に京都中心部の烏丸御池に本社を移転。20年後の1993年には西京極に自社ビルを建て、30年後の2003年には、南区に京都で一番高いビル「本社・中央開発技術研究所」を作っています。売上高100億円の1985年頃には1000億円企業、1000億円に到達した1998年頃には1兆円企業、その後、2030年には10兆円企業になると宣言しています。2050年には時価総額300兆円と言っています。わずか4人で作った会社が、今ではモーターの分野で世界一になっているのです。「ホラとウソは全く違う。ウソはウソ。詐欺師みたいなものだ。でもホラは、できると信じてやれば絶対にできる。夢は必ず実現する」と、永守さんは繰り返します。130億円の私財を投じて作った京都先端科学大学(2019年~)に関しても「偏差値教育を打破する」「2025年までに関関同立を抜く」「2030年には世界ランキングで199位内。日本では東大、京大に次ぐ3位を目指す」と壮大な夢を語っておられます。

▲ニデック本社・中央開発技術研究所

 自社ビルに関しては、稲盛和夫さん率いる世界的大企業の京セラのビルが高さ95メートルでした。いずれ抜きたいと考えて100メートルとぶち上げました。すると京都市が、100メートル以上は大文字が見えなくなるからダメだと言って裁判になりました。結局、100.6メートルのビルを作ったのですが、この0.6メートル分は何かというと、100年後に京都の地盤沈下が0.6メートルあると聞きつけ、100.6にこだわったのです。今では京都で一番高いビルです。現在は京都市が条例を作りましたから、もう高いビルは建てることはできません。このビルを壊すまでは、京都で一番高いビルなのです。

 永守さんが、最近京都で一番の料理屋さんを訪ねたら、そこの女将さんが「永守さん、ついに一番にならはりましたね」と開口一番に言われたといいます。「何が?」と問い返すと、「これまでは稲盛和夫さんが京都で一番悪口を言われてはりましたが、今は永守さんです」と。故・稲盛和夫さんは永守さんが創業以来、ずっと目標にしてきた非常に尊敬する大経営者でした。実に多くの人が、稲盛さんの図抜けた経営の才覚と高潔な人格を、熱く敬い慕っておられます。その稲盛さんにして、悪口は避けられないのです。永守さんは毀誉褒貶を気にすることは一切ありませんし、ある意味、悪口をたくさん言われるということは、勲章をいただいているようなものかもしれないと、批判や悪口は有り難く頂戴するつもりだ、と宣言しておられます。♥♥♥

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