「ゆでガエル」

 みなさんは「ゆでガエル現象」という言葉を聞いたことありますか?熱湯の中にカエルを入れると、カエルはビックリして鍋から飛び出します。しかし、カエルを水の入った鍋に入れて徐々にグツグツ熱していくと、お湯は段々熱くなっていきますが、カエルはそれに気が付かずに温度変化に慣れていき、危険に気づいた時にはすでに遅く、ゆで上がって死んでしまいます。「ゆでガエル現象」あるいは「ゆでガエル理論」「ゆでガエルの法則」などと呼ばれています。

   いかにも科学的な実験で証明された現象であるかのように語られていますが、実際には、カエルは熱湯に入れれば飛び出す前に死に至り、水に入れて熱すると、温度が上がるほど活発になり、熱くなる前に飛び出して逃げるそうです。そんな疑似科学的な作り話であるにもかかわらず、ここまで説得力をもって世間に受け入れられているのは、誰にでもいかにも思い当たるフシがあるからかもしれません。つまり、急激な変化には危機意識が働くのに対し、変化が緩慢だとそれに慣れ過ぎて、対応するタイミングを逸しやすい。危機を認識したときには致命的なダメージを負っているという「ゆでガエル」の比喩が、人間の思考や行動の本質を鋭く突いているからなのでしょう。

 「ゆでガエル」になってしまうのはどんな人間でしょうか?尊敬する永守重信(ながもりしげのぶ、ニデック会長)さんによれば、その特徴は「マンネリ・あきらめ・怠慢・妥協・おごり・油断」「六悪」に集約できると言います。「工夫もせずに前例踏襲ばかりを繰り返してはいないか(マンネリ)」「挑戦もせずに望みを捨ててはいないか(あきらめ)」「やるべきことを疎かにしてはいないか(怠慢)」「これくらいでいいや、と手を抜いてはいないか(妥協)」「他人の意見に謙虚に耳を傾けているか(おごり)」「気が緩んで再三ミスを犯してはいないか(油断)」という六つの要素です。この「六悪」現象は、順風満帆のときほど蔓延しやすいので厄介です。競争相手がいなくなると気が緩み、緊張感がなくなってくるのです。「脱皮しないヘビは死ぬ」という格言通り(⇒私の解説はコチラ)、周りの変化に先行して自己変革しなければ、アッという間に「負け組」に入ってしまいます。

 さて、今年の島根県総体が終わりました。松江北高は男女総合成績が第14位でした。2016年に2年連続で総合優勝してからずいぶん遠ざかっています。男女完全優勝したのが懐かしい思い出になってしまいました。男女総合優勝4連覇を二回もした学校は、島根県でも松江北高だけです。私が松江北高で現役勤務をしていた頃は、常に上位を争っていた学校が、いつの間にかこんな学校になってしまいました。間違いなく原因があります。

■第61回島根県高等学校総合体育大会最終結果 男女総合
1位  松江南  179点
2位  大 社  168点
3位  浜 田  125点
4位  松江商業 123.5点
5位  松江東  120点
6位  出 雲  110点
7位  安 来  103.5点
8位  平 田  100点
9位  開 星  96点
10位 出雲北陵 88点
11位 明 誠  84点
12位 松江工業 79点
13位 出雲西  72点
14位 松江北  71点
15位 出雲商業 59点

 企業において、経営や業務のあり方について、いまあるやり方を変えるのは難しいものです。特に、これまでうまくいっていた方法を変えることは、より一層難しいでしょう。しかし技術や働き方が目まぐるしく変化し、過去にうまくいっていたやり方も現在では通用しないケースも珍しくありません。やり方を変えるにはコストもかかり、失敗した場合の責任の所在など、さまざまな問題も絡んできます。「ゆでガエル」の危機的状況を変えるため、企業の経営や業務のやり方を変化させるのは難しいのが現実です。永守さんの言う「ゆでガエル」「六悪」の要因を、心に留めておきたいものです。♥♥♥

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