ガイ・フォークス・マスク

 最近、東京・銀座の高級腕時計ロレックス専門店で仮面をかぶった男らが強盗に入った事件で、事件に関与したとみられ、東京都港区内のマンションに侵入して住居侵入などの疑いで現行犯逮捕された男4人が、いずれも横浜市に住む16~19歳の高校生やアルバイトなど若者であったことが判明し衝撃を与えています。事件は5月8日午後6時15分ごろ発生し、3人組の男が白い仮面をかぶり、バールのようなもので、ショーケースをたたき割って、約70点の商品を強奪して逃走していたものです。私は前途ある若者たちが、闇バイトと称して、こんな凶悪犯罪に手を染めたことに驚くとともに、容疑者の一人がかぶっていた、口ひげを生やし不適な笑みを浮かべた仮面に注目しました。「ガイ・フォークス・マスク」(Guy Fawkes Mask)と呼ばれるものです。

 「ガイ・フォークス・マスク」 は、火薬陰謀事件の加担者として有名な犯罪者ガイ・フォークスの顔を様式化した仮面です。この事件は1605年11月5日に、ロンドンの国会議事堂の爆破と国王ジェームズ1世らの殺害を謀り、カトリックの国家元首を復活させようとするものでした。1534年にプロテスタント系のイングランド国教会が成立すると、イングランドではカトリック教徒への風当たりが厳しくなっていたのでした。宗教政策ではジェームズ1世も同じ路線をとっていたので、それに不満を感じたカトリック教徒の過激派は国王を爆殺して、カトリック教徒の人間を新しい王にすえようと考えたのです。しかし、この暗殺計画は直前にバレて失敗します。貴族院(ウェストミンスター宮殿)の地下室で大量の火薬とともにいたガイ・フォークスが逮捕されました。国王を殺害しようとしたこの大罪人は、拷問を受けた後で処刑されます(絞首刑台からジャンプして首の骨を折って死んだので、最終的には自殺か?)。この事件の犯人の顔をモデルにして作られたのが「ガイ・フォークス・マスク」です。にやけた表情・口ひげとあごひげ・とがったアゴという見た目になったのは20世紀になってからで、マンガや映画に登場して人気者になります。隠謀が発覚した11月5日は、「ガイ・フォークス・ナイト」と呼ばれるイベントが行われています。

 この滑稽な仮面は、古くから祭典の一部となっています。「ガイ・フォークス・マスク」自体は少なくとも18世紀まで遡るものですが、現在世界的にポピュラーとなった、微笑と紅い頬を誇張し両端が跳ね上がった口髭と細く垂直に尖ったあごひげを生やした様式は、20世紀末にイラストレーターのデビッド・ロイドがデザインしたもので、1982年に漫画『Vフォー・ヴァンデッタ』の中で、専制的政府を転覆させようとする自警団員の奮闘に焦点を当て、またその2005年の映画化で、プロットの重要アイテムとして使われました。21世紀以降、この仮面はハッカー集団「アノニマス」の有名なシンボルとなり、反政府・反体制派運動の人々が顔を隠すために、社会的な抗議運動の象徴として世界中で使われています。元々は国王という最高権力者を倒そうとした人物だったことに由来しています。日本ではあまり見ることはありませんが、一般人の仮装にも用いられ、ネット等では500円程度から入手できます。♥♥♥

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